中核自衛隊 球根栽培法 栄養分析表 ~ 嘘と暴力の日本共産党史 2/4

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昭和27年04月22日 衆議院 行政監察特別委員会
[009]
委員長 内藤隆
昨年の12月以降におけるあなたの管内の日本共産党系団体の動向と、日本共産党系団体を主体とする暴行事件の概略をひとつお述べ願いたい。

[010]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
その当時の文書資料がございますですが、それを……。

[011]
委員長 内藤隆
文書をごらんになつてようございます。

[012]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
昨年の12月以降の動きといたしましては、昨年の12月5日の早朝から、広島の自由労組の書記長吉田治平そのほか幹部、自由労働者の一隊が広島の市役所に集まりまして、午前8時半ごろに約1200名ほどになりまして、その後それらのものが3階に上つて、市役所の幹部に対して越年資金の要求を行いました。午前9時半ごろにはそのうち尖鋭分子50名が、市長室の隣りの秘書室の内部に居すわり戦術を行いまして、遂に市当局は午後5時15分に退去命令を発したのであります。しかしながら、依然として退去しない。そこで午後8時5分に、広島市警は約100名の武装警察官を動員して、午後9時ごろ全員を退去せしめたという事件があります。

なおその後3月1日のいわゆる三・一闘争――本年の3月1日でありますが、三・一闘争において、広島の特審局中国支局の庁舎を襲撃して、催涙弾を投ずるとか、玄関のガラス戸をぶちこわすというふうな事件もありました。これは後ほどお尋ねによつて詳細御説明申し上げたいと思います。

なお宇部の宇部窒素が2月以来争議をいたしておりましたが、その争議において、3月30日の午後10時30分ごろに、いわゆる第二組合の事務所の階下と階上の寝室に爆発物を1個ずつ投じております。その当時階下に4名、階上に3名が寝ていたのでありますが、爆発物が爆発した結果、階下にいた3名の者と、階上にいた1名の者が、全治2週間程度の擦過傷を受けております。なお器物の損壞としては、事務室の机、いすをこわし、階上、階下ともに直径約10センチぐらいの爆薬の跡を残していたのであります。そうしてこの爆弾の性能を見ますと、墨汁のあきカンを利用したものでありまして、その性能は十分に人を殺傷する効力があるというふうに認定せられております。

なお広島の自由労組内部における一部急進分子は、今年の1月ごろから中核自衛隊の結成に着手して、最近その結成がほぼ完了したのではないかというふうに見られております。そうして情報によりますと、それらの分子は、今年の1月ごろから、広島の市役所、広島市警、職業安定所、特審局のおもなる職員の住所、電話、家族の実態を調査して、なお軍事科学の研究も指導しておるといわれております。彼らは従来の日和見主義を一擲して、市役所労政課員に対してテロを加えるという計画も持つておるという情報が入りましたので、これはすかさず市当局その他関係機関に特審局の方から連絡いたしまして、現在警戒中であります。そのほか急進分子は、国警、市警、特審局職員に対してテロを加えるという計画の情報もありました。その手段としては、火焔爆弾を投げる、情報機関の職員を強制的に拉致し監禁して、拷問を加えてその調査活動の内容をとる、はなはだしきは、それらの職員の家族の子供を誘拐する、これが最もこたえるであろうというふうな計画をしておるという有力な情報があります。

なお武器といたしましては、それらの爆弾等のほか、拳銃も相当に収集しておるという情報がありますが、実際に起つた事例といたしましては、3月23日の午後11時50分ごろに、宇部市の特審局山口県主任駐在官の私宅にれんが大の石を合計5個、しかも一斉に投げ、ガラス戸をぶちこわし、幸いにして家族がそこより少し離れたところにいましたために、負傷はなかつたのでありますが、そういう具体的な事件も発生しております。

なお3月25日には午後1時30分、白昼であります、松江市において、島根県特審局の主任駐在官の宅の近所の家に、松江市会議員の川島喜代治、これは日本共産党員であるという報告を受けておりますが、この日本共産党員であるといわれている松江市会議員の川島喜代治という人物が、婦女子に対して特審局の家と間違えたらしくて、この家におれの敵がいる、そういうやつを置いておけば、お前もやつつけてやるぞというふうに、脅迫した事実があります。これは島根県松江市の市警において現在捜査中であります。

なお4月18日には、岡山でいろいろのビラがまかれておりますが、そのビラの中には、特審局職員の蜂谷事務官というものをさしまして「小坂(東署)平野(東署)小畑(西署)蜂谷(特審)は悪質である」云々ということが書いてあります。そうして「日本共産党岡山地区委員会」というふうに、はつきりとそのビラに書いてあります。なお同時にまかれた文書によりますと、「破壞活動防止法こそすべての民主的活動を禁止する」云々と書いて、そうして「愛国者の先頭に立つて闘つている日本共産党や朝鮮人進歩的に対しピストルを発砲し弾圧を加えている」云々と書いて、やはり「小坂(東)、平野(東)、福間(東)、畑野(東)、小畑(西)、山口三成、蜂谷(特審)などは特に悪質な番犬だ」そうしてその末尾には「アメリカと吉田の手先悪質警官の末路は白鳥と同じだ」ということが大きな字で書いてあります。

大体管内で現在までに発生しております状況は以上の通りであります。



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朝鮮人関係の証言
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[043]
日本共産党 山口武秀
先ほど証人は中国地方におきまして中核自衛隊が結成され、それがほぼ完了した、このように言われたのでありますが、ここで証人の言われました中核自衛隊というのはどのようなものであるのか、これを御説明願いたいと思います。

[044]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
中核自衛隊は最近われわれの方で入手いたしております五全協の決定、それから、球根栽培法にも出ておりますが、中核自衛隊の組織と戦術を発表するにあたつて、それからなお「当面の組織と戦術」というふうな文書を検討してみますと、日本において人民軍という軍隊を共産主義者がつくる。そこへ持つて行くまでの前提として中核自衛隊という、きわめて初歩的な、しかして軍隊の基本単位となるものをつくる。それが中核自衛隊の性格である、こういうふうに解釈いたしております。

[045]
日本共産党 山口武秀
そうしますと、共産党が中核自衛隊人民軍の初歩的なものとしてつくると決議されていることを、あなたは確認されておりますか。

[046]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
私は日本共産党という言葉は使用いたしておりません。

ただ私は確立しておるという言葉は使つておりませんが、ほぼできておる、しかもある特定の地点にほぼできておるということは、はつきりと申し上げます。

それは山陰Bというところから上部に報告をしたと見られる文書を、私どもは入手いたしております。それによりますと、島根県本庄、生馬、松江、安来の各地には中核自衛隊が結成されており、党は2月10日うさぎ狩りに託して全員を動員し、集合、解散その他の訓練を実施したということがはつきりと書いてあります。大体さような根拠によつて、私どもとしてはそういうふうに推認しておるということを申し上げるのであります。

[047]
日本共産党 山口武秀
推認されると言うならば、これはさらにお尋ねしても意味がないと思いまするが、こうした中核自衛隊というものが何者かによつてつくられつつある。その中核自衛隊というものは、単に人民軍がつくられるということの前提として、第一歩としてだけ生まれたものであるか、それとも中核自衛隊というものは、中核自衛隊として一定の目的を持つて生まれたものであるか、この点はいかがお考えでしようか。

[048]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
それはもちろん中核自衛隊をつくるには、そこにひよつこり無から有が生ずるものではありませんから、私どもがそれらの文書によつて検討しましたところによりますと、まず中核自衛隊をつくる前に、その前提として抵抗自衛運動を全国に巻き起す。あらゆる学校、あらゆる工場、あらゆる職場において、中核自衛隊が結成できるような雰囲気を巻き起す。あらゆる問題に対して国民の不平、不満をとらえて、そこであらゆる闘争を組織して行く。その闘争が巻き起つたところを基盤として、中核自衛隊をつくる。こういう順序であると私は解釈しております。

[049]
日本共産党 山口武秀
そこで私お聞きしたいと思いまするのは、あなたは先ほどかりに推定だということを言われまして、共産党の名前をあげておりますが、共産党が一定の方針を決定する場合に、この方針というものはおそらく主観的にはきめられないだろうと思う。これは客観情勢というものが分析されまして、その客観情勢の中で方針というものがきめられる。そういたしますると、もしも中核自衛というものがあなたの推定通りであるといたしまするならば、ここで中核自衛隊というものが生まれる背景というか、社会的な基礎というか、そういうものがなければならないわけでありまするが、この点に関していかがお考えでしようか。

[050]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
それは一定の主義を持つた人の集団が策動すれば、できるだろうと考えております。

[051]
日本共産党 山口武秀
これは特審局の支局長の言とも思われないことだと思います。おそらく世界の革命運動あるいは民族解放運動を見ましても、一定の社会的条件の成熟というものがなければ、運動も起るものでもないし、またこれが成功するものでもないことは、自明のことであります。

100年も昔に社会主義社会をつくろうという運動があつたわけでもない。これは資本主義の発展があり、その矛盾が累積いたしますと、労働階級の成長がありまして、そこで社会主義が論ぜられるようになる。

私が聞きたいと思いましたのは、そういうような一つの実力的な闘争というものが起つておる事例を外国に見ますときに、その国が主権を失つて、外国の植民地になつておる。しかもその場合そこに軍事的な支配が行われておる。こういう状態のもとにおいて、そこの生活が脅かされ、民族の独立性を失つておる。このような状況において実力闘争が起つておる。こういう点から見まして、たとえばマレーにおける民族の独立運動、あるいはヴエトナムにおける民族の解放運動、いずれもそういうような社会的な条件があつて、このような実力闘争が行われておる。そうした場合において、日本におきましてそういうような方針がともかくどこからか出されておるといたしますならば、あなたはそういう条件を何らお考えにならないで、その対策というものを考えておられるだけなのか、この点をお伺いしたい。

[052]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
これはそのところによつてきまることでありまして、ただいまマレーがどうとかいうようなことをおつしやつたようでありますが、日本は日本で、私ども現在の日本においては、憲法を尊重して生活をしておるわけでありまして、また私ども行政官でありますから、憲法と法律のもとに私どもは職責を果しておるのであります。日本国民として、日本の国家公務員として職責を果しておるのであります。

合法と非合法を使いわけて、巧みに結合し、統一するというふうなものの考え方では、私どもの気持はおわかりにならないだろうと思います。

[053]
日本共産党 山口武秀
大分証人なまいきなことを言われたようですが、現在どこに憲法が擁護されているのですか。

[054]
委員長 内藤隆
山口君に申しますが、証人に議論を吹つかけては困ります。証人に議論を吹つかけずに……。

〔「そんなことを論ずる資格はないのだ」「行政監察の範囲外だ」と呼ぶ者あり〕

[055]
日本共産党 山口武秀
範囲内じやないか。



[078]
自由党(自由民主党) 福田喜東
証人にお尋ねいたしまするが、この在日朝鮮人祖国防衛委員会、略称祖防というものの組織とか性質とかいうものは詳しくおわかりだろうと思いますが……。

[079]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
祖国防衛委員会は、朝鮮における戦争が継続する間、彼らの称する祖国である北鮮を守るために、日本において実力行使を行うというのがその任務でありまして、そのために行動隊を組織して、それを指揮するという関係にあると考えております。

[080]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうすると、この中核自衛隊とか抵抗自衛隊というのは、祖防の下部組織と見てよろしいですか。少くとも祖防の指揮命令を受け、その指令系統に服するもの、こういうふうに見てよろしゆうございますか。

[081]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
そこのところが非常に微妙な関係にあるのでありますが、中核自衛隊は本来軍事委員会がこれを指導するということになつておりますので、やはり軍事委員会の指導を受けておると見るのが至当ではないかと私考えております。

[082]
自由党(自由民主党) 福田喜東
しからばその軍事委員会というのはどういう性質のものでありますか。

[083]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
軍事委員会は、先ほど申し上げましたように、終局的には人民軍、その中間のものとして。パルチザン、そこに至るまでの初歩的な、基本的な単位として中核自衛隊をつくる、その指導をするのが任務であると思います。

[084]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうするとこの軍事委員会というのは、あたかも祖防の作戦本部みたいなものですか。

[085]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
純然たる軍事組織の指導と、祖防はまた祖防としての任務を持つておる関係にあるんじやないかと思います。

[086]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうすると、中核自衛隊、抵抗自衛隊というふうなものは、――第一その組織でお尋ねいたしたいのは、これは散在的であるかもしれませんけれども、少くとも人民軍というものを日本国内において結成する準備の中核として各地にある。これだけは単に中国地区のみならず、日本全国から見て、そういう事実は各種の資料からして推定できるわけですね。

[087]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
各地においてつくられつつあるという状況でございます。できたところもあるでしようし、まだできないところもあるでしようし、ところによつて違うと思います。

[088]
自由党(自由民主党) 福田喜東
組織、指揮系統、指令、編成というふうなものは、軍隊組織並びにその軍隊組織の予備的組織としてできつつあるということも、これは証人お認めいただけるわけでございましようね。

[089]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
はあ。この中核自衛隊は、5名から10名くらいで1小隊をつくる。そうしてその2小隊、3小隊でもつて中隊をつくる。2中隊、3中隊でもつて大隊をつくるという軍隊的な組織になつております。

なおその中に政治委員がおつて、そうしてこの政治委員が隊内の政治教育その他を行う。これは完全な赤軍組織であると思うのであります。

[090]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そうすると、この中核自衛隊、抵抗自衛隊でもつて組織する人民軍は、大体北鮮系の人間がおもでございますか。

[091]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
これはその場所によつて違うのでありまして、北鮮系の者で組織しておるものもありましようし、また日本人ばかりでつくつておるのもあり、いろいろなものがあるというふうに思います。

[092]
自由党(自由民主党) 福田喜東
全国的に見ましてこういうものは、数から見て北鮮系が大部分でございますか、日本人の数が多いようでございますか。その比率は……。

[093]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
そこのところはちよつと……。私は中国管内だけのものでございますから……。

[094]
自由党(自由民主党) 福田喜東
中国管内だけではいかがですか。

[095]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
中国管内では、私ども日本人の方が多いというふうに見ています。

[096]
自由党(自由民主党) 福田喜東
そういう事態が判明いたすとすれば、この人民軍みたいなものを国内に置いて、しかも北鮮系の人間が組織して、少くも軍隊組織の中核となるべきような、そういう行動隊があるということは、これは単なる警察問題ではない。

これは一つの、何と申しますか、あたかも国内において外国軍隊の指揮命令に服し、国内の撹乱を画する、こういう集団があるということは、警察問題だけでなくて国内的の治安の問題として、これに対抗する手段は警察力だけでは足りない、こういうふうにお考えにならぬでしようか。

[097]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
結局将来の発展性いかんにあるのじやないかと思います。



[139]
自由党(自由民主党) 田渕光一
先ほど重大な発言がありましたが、同僚諸君から質問があつたので打ち切つたのであります。取締り公安官あるいは取締り当局の子供までも拉致するというような脅迫状をよこすに至つては、もうそれは言語道断、人道上許されない問題であります。

ことにこの中核自衛隊はだんだん進んで行くと、これがパルチザン人民軍になつて行くのだと球根栽培法には書いてある。このパルチザンのやり方というものは、あのニコライエフスクのような残虐なことをするのである。当時は竹村君はまだ子供であつたからわかるまいが、われわれは青年時代であつた。こういう非人道的な線まで進んで来るということが球根栽培法に書いてある。

これはあの時代から一歩進んで、家庭の婦女子ならいざしらず子供までも拉致するというような問題にまで脅迫状が発展して来ておる。たとえばこういうような脅迫を受けたその官舎なりあるいは私邸なりに対して、中国特審局の情報では、国警なり、市警なりがこれを監視する配置手続をとつておるかどうか、これをひとつ伺いたい。

[140]
証人(法務府特別審査局中国支局長) 梶川俊吉
その問題につきましても、市警、国警検察庁と常時連絡いたしまして、警戒態勢をとつていただいております。現に私どものうちの警戒もやつていただいておりますし、警戒態勢はもう大体できておると思います。

[141]
自由党(自由民主党) 田渕光一
そういうようなぐあいで、徹底的に公安官あるいは取締り当局の取締りができるように、一層の善処をされんことを要望いたしておきます。ことにまた国民の輿論として、これは御参考に申し上げておきますが、昨日来私どもの方に参つており、委員長のところにも行つておると思いますが、国民の方では、憂国の士はこう言つております。何だ、30万や40万の北鮮系統の者には、日本人の愛国心を発動して、不売同盟をやつたらどうだという声まで参つて来ております。ここまで国民がついて来、国会もついて来ておりますから、後顧の憂いなく、どうかしつかりと治安対策については善処されんことを要望いたしておきます。





昭和27年04月24日 衆議院 法務委員会
[079]
自由党(自由民主党) 田嶋好文
最近遺憾なことでございますが、全国的に暴力行為が発生いたしておりますことは、皆さん御存じの通りであります。

警官に対するテロ、税務署の襲撃、また検察幹部に対する投石、関西地方の集団暴行事件等、実に枚挙にいとまがないほどこうした事例が起つておるのでありまして、これらの連続的暴行行為事件が、いかなる背後関係によるものであるかということは、現在まだ確証があがつていないようでございますから、確証があがつてから、それを断ずる以外に道がないのでございますが、われわれの想像することのできる某団体の国内の治安を無力化する恐怖戦術の一端の現われであるといたしますれば、まことにこれこそ憎むべき行為であり、意図であります。私はそう断じてやまないのであります。

日本共産党のかつての機関紙「アカハタ」の後継紙と目せられておりますところの「内外評論」並びに「球根栽培法」の記載の記事が真実のものといたしますれば、日本共産党は明らかに武装革命の段階に入つたものと断ずるのほかはございません。

こうした立場からいたしますれば、今回の立法はいまだ不十分である、もう少し拡充した法案をつくつてもいいのじやないかという気持すらいたすのでございます。しかしながらこれがために、先ほど山口君も言われたのでございますが、善良なる国民の基本的人権が侵害せられ、憲法で保障せられた国民の自由が不当に制限せられてはならないのでありまして、今回の立法に対して、共産党に対してはどうしても何かの線を引かなければならない。しかしこの共産党に対する制限のためにわれわれの基本的な人権が制限せられ、侵害せられるのではないかという国民の懸念もあると私は思うのであります。





昭和27年04月25日 衆議院 行政監察特別委員会
[009]
証人(警視総監) 田中榮一
ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。

なお答えるに先だちまして、昨年の12月以降警察官または警察官署等に対するいろいろな襲撃事件等が、やはり警視庁管内におきましても、相当多数事件として発生いたしております。試みにそれらのうちのおもなるものを申し上げたいと思います。

12月11日夕方、赤羽警察署管下におきましてデモ事件が起りまして、さらに同月26日午後10時30分ごろ、練馬署の印藤巡査が、その駐在所付近の畑の中におきまして惨殺されておつた事件が起つております。これは私どもの捜査の過程から得た資料によりますと、思想的背景を持つ警察官襲撃事件と認定をいたしております。

さらに2月20日、これは全国において行われました反植民地デーの前夜祭といたしまして、東大構内におきましてポポロ劇が開催せられましたときの事件といたしまして、警察官が暴行を受けておる事件があります。

それから2月22日、駒場の東大教養学部構内におきまして、警邏警察官が多数の学生のためにつるし上げにあつて、わび証文を書かされたという事件があります。

それから2月21日、これは全国反植民地闘争デーの日でございましたが、蒲田署管内におきまして、北糀谷の派出所が多数の暴漢に襲撃をされ、またある巡査が1名、多数の暴漢に襲撃を受けまして、身に数箇所の負傷を負い、さらに拳銃を奪取された事件があります。

それから2月28日、荒川署管内におきまして、一警察官が不法にも突然数名の暴漢に襲われまして、警察手帳を奪取された事件があります。

それから4月17日に池上警察署管内矢口派出所におきまして、午前7時ごろでありますが、工員らしい者が7名同派出所を襲いまして、某巡査をだまして屋内の休憩所に導入しまして、いきなり数名の者がこれに襲いかかつて拳銃を奪取いたしました。同巡査も相当格闘いたしたのでありますが、重傷を負い、しかも重傷を負いながら逃走する者を追撃しまして、付近を歩いておりました交通巡査と協力のもとに1名を逮捕検挙いたした事件があります。

それから4月20日第2回東大事件が発生いたしまして、星野巡査が、これも正当なる警邏行為実施中に数10名の東大学生と認められる者に襲撃をされまして、危うく警察手帳並びに拳銃を奪取されんとしたのでありますが、幸いにしてこれは免れたのであります。しかしながら本人は若干負傷をしておるのであります。

それから4月23日教育大学におきまして、渡辺巡査が多数の者につるし上げを受けた事件がございます。これは何ら負傷はいたしておりません。

それから4月24日、京橋横町における朝鮮人学生による同種暴行事件が発生をいたしております。

そのほかにたとえば署長官舎等にいろいろないやがらせ的の行為をやつておりますが、その1、2の例としましては、2月21日志村署長公舎へ催涙弾を投入せられた事件がございます。

それから2月26日万世橋署長公舎へれんがを投入された事件があります。

また3月10日小岩警察署ヘカーバイト爆弾を投入された事件がございます。

以上大体当管内におきまして発生をいたしました事件でございますが、これらの事件を大体通観してみますと、非常に今回の事件は集団的に――必ず1人、2人でなくして、集団的に暴行をなし、しかもその暴行がはつきり権力闘争であり、権力に対していどみかかるという挑戦的な暴行行為であるのであります。たとえば警邏警察官が何ら事由なくいきなり暴行される、あるいは派出所に暴漢が乱入していきなり暴行を加えるというような、きわめて集団的の暴行事件であるということがその第一であります。

それからいま一つは、国家権力を代表するいわゆる警察あるいは税務署その他に対して、まつこうから権力反抗闘争を試みるという一つの特徴であります。

それからいま一つは、時間的に見て、警備の手薄の点てあるとか、あるいはまた1人の巡査が漫然としておつた、そこをいきなり虚をついてやるというような点がきわめてよく似ております。それからいま一つは、いわゆる心理的に警察官にある一つの恐怖心を与えるとか、あるいは警察官の職務執行をにぶらせるとか、あるいは職務を回避させるという気持を起させるべく、あるいは署長公舎に物を投げ入れたり、いわゆるそうしたいやがらせ的の行動をするというのも一つの大きな著しい例でございます。

それからさらに最も重要なことは、いわゆる球根栽培法、これは最近球根栽培法がかわりまして、工業便覧とか何とかになつておると思うのでありますが、これらの中に記載されたもの、いわゆる敵から兵器を奪取する、あるいは反動警察官に対して公然と、敢然としてこれに対抗して行くというような、あの球根栽培法の戦術の線に沿うていろいろ行動をとつておるということであります。

しかも球根栽培法なり、栄養分析法――これは厚生省衛生試験所という名称で発行しておる秘密文書でありますが、厚生省衛生試験所というのは一つのカムフラージされた偽装の名前でありまして、これはいわゆる軍事行動の具体的な戦術に使うところの武器なり、そうしたものを書いた秘密文書でありますが、これらの秘密文書に書かれたいろいろの火焔手榴弾であるとか、あるいはカーバイト爆弾であるとか、燃焼レポ用紙のつくり方などということは、全部この栄養分析法に従つて、企画の統一した同じような武器が至るところに使用されておるということは、何かこの中にある関連したものがあるのではないかということも一応考えられるのであります。

しかもこれらの暴行した者を逮捕すると、申し合せたように、ほとんど一言もしやべらぬ。名前も言わなければ、住所も言わなければ、年齢も言わない。何を聞いても黙否権を行使するという強い申合せと申しますか、そうしたものでありまして、一旦起つた暴行事件を検挙いたしまして、これを捜査いたしますにも、警察といたしましては相当な苦慮をいたしております。しかしながらかりに黙否権を行使いたしましても、傍証を固めて参りますから、かりに本人否認のままでも送検いたしまして、りつばに犯罪を成立させる自信を持つて警察側はやつておるわけであります。

大体今回のいろいろな事件は、風のごとく来りて風のごとく去る疾風的なやり方をもつて、常に集まるときも三々五々集まり、そして集まつたならば、かけ足でもつてデモをやり、一方においてデモをやつておいて、片つ方において陽動作戦で何か事を起す。しかもそのデモは10分なり15分間でやつてしまつて、ただちに解散するというような、きわめて巧妙な方法でやつております。これに対して警察側も大体いろいろな方法を講じまして、十分事故防止に当つておるような次第であります。

[010]
委員長 内藤隆
ただいまの警視総監田中榮一君の証言によつて、大体昨年12月以降からの事件内容等はわかりました。また御説明によつて、そこに一つの一貫した何か背景があつて、その指導によつて動いていたような形が十分に発見し得ると私も考えるのでありますが、ただいま申された事件の中で警備上特に注目されると思うもの、または日本共産党との関連性等があると思うものがありますか。

まず印藤巡査の殺害事件につきまして、これは思想的背景がそこにあるということをお認めになりませんか。

[011]
証人(警視総監) 田中榮一
この印藤巡査の殺害事件につきましては、警察側といたしましては、当初から思想的背景があるものという一つの目途のもとに捜査に当つて参つたのであります。

同時に印藤巡査はその付近のいろいろな執行にあたりましては、相当強い執行をやつておつたのであります。

たまたまその印藤巡査の勤務しております駐在所の付近に小田原製紙という製紙工場がございまして、この製紙工場が11月中旬ころからいわゆる賃上げ闘争が始まりまして、その当時工場労働争議が突発しておつたのであります。その際に、印藤巡査が工場側に加担したとかしないとかいうようないろいろな風評が流布せられました。印藤巡査といたしましては、管内の工場に労働争議が発生をいたしておるのでありますから、警備上の責任を担当しているものといたしましては、当然工場の労働争議をそのまま黙視することはできないのでありまして、経営者並びに労働者の相互のいろいろな生命、身体、財産を常に保護し、またこれを十分に監視をしなければならぬという職責にあるのでありまするが、それがたまたま12月の中ごろになりまして、経営者側が非常に腰が強くなつて来て、遂に労働者側が敗退をいたしたのであります。この労働者側が争議において負けたというのは、少くも印藤巡査等が大いに加担したのではないかというような一つの邪推からいたしまして、印藤巡査に対しまして、労組員なんかが非常に反感を持つておつたという事実はあつたようであります。

そこで労組側におきましては、その後労組の中の外部の団体が常に工場に出入をいたしまして、そうして労働組合を指導する。しかもきわめて過激な思想を持つた外部団体が常に出入いたしまして、労働組合を指導しておつたというような事実はあつたようであります。

その後労働争議は完全に経営者側が勝ちまして、一応争議は妥結に至つたのでありますが、妥結したその翌日、すなわち昨年の12月26日に、ある1人の学生から、その付近の畑に行路病人が倒れておるから、すぐ救済に来てほしいというような申出がありました。

印藤巡査は何か心中に不慮の災害が起るのではないかというような予感があつたのでありまするが、平素はそうしたことがなかつたので、拳銃を身につけまして、その学生の導くままに、心配することはないからと家族に言い残して行つたのであります。

ところが2時間たつても3時間たつても印藤巡査は帰宅しないというので、妻女が非常に心配いたしまして、隣接の駐在巡査に連絡して捜査をいたしました結果、明け方になりまして、約500メートルほど離れておりました畑の中に惨殺死体となつて現われたのであります。

印藤巡査は柔道2段の腕前でありまして、相当武道の自信を持つた男でありますが、数箇所できわめて激甚なる格闘の跡がありまして、最後に鈍器のようなものでしたたか殴打された。それが頭蓋骨折を起している致命的打撃でありまして、この一撃によつて遂にあえなき最後を遂げたのであります。それでただちに捜査本部を練馬警察署に設置いたしまして捜査いたしたのであります。

現在までにそのそばにおつたと認められる者、それから共同謀議をしたと認められる者等をそれぞれ検挙いたしまして、一部は自供をしております。

一部はいまだ否認のままでございまするが、大体においてアリバイ、それからその場にあつた凶器、それから本人の陳述、それらをいろいろ考察いたしまして、いわゆる小田原製紙工場の第一組合員の一部の者がこの事件に関連し、またこれを外部から使嗾いたしたと認められる、相当はげしい思想を持つた人々が数名加わつております。

ただいま本事件は検察庁におきまして調査いたし、起訴されるということになつておりまするが、これらの点から考察いたしまして、もちろん印藤巡査は執行が相当厳格でありましたので、他の点から恨まれたこともあろうと思いまするが、単に執行がはげしかつたということで、計画的にかくのごとく数名の者が共同謀議して惨殺するだけの恨みを買つている巡査ではないのでありまして、かような点から私どもといたしましては、はつきりこれは思想的背景を持つた一つの、一部の者に指導された惨殺事件であるというように推定いたしておる次第であります。また検察当局におかれましても、同様な推定をいたしておるものと考えます。



[035]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そうしますと、先ほどから証人のお話によると、うしろに深いものがある、こう言つておられる。

そのうしろに深いものがあつて、そして行動隊を動かしておる、刑法上いわば教唆といいましようか、いろいろな法的根拠があると思いますが、その線に沿つて、うしろに深くひそんでおるものまで捜査し、検挙しておるのですか。

[036]
証人(警視総監) 田中榮一
これらの東京都内に起りました集団暴行事件はもちろんのこと、そのほか全国各地に起りました集団暴行事件の様相を解剖してみますと、大体いずれにおきましても、一つの方程式にはまり、また一定の様式にならつて、これが同じような形式において繰返されておるというところを見ますと、これは単に突発的、偶発的に発生した集団暴行事件でないということは、これは常識的に考えられるわけであります。

しからばどういうようなことになつておるか。東京都内の集団暴行事件を例にとりましても、球根栽培法にいつておるいわゆる闘争戦術を、そのまま地にやつておる。

あるいは敵から武器をとれというので、拳銃を奪取したり、あるいはまた目つぶしを食わせたり竹やりを持つたり、パンク針を投げたり、いろいろなことが、この戦術の内容から見まして、どうもそれに該当するのではないかともうかがわれるのであります。

それからいま一つ、先ほど申しましたいろいろな武器の製法――これらの集団暴行をやる者はこれを武器と称しておりまするが、こうした武器の製法等は栄養分析表の中に書いてあるものに全部そつくりであります。

それからレポが使つておりまするレポ用紙があるのでありますが、こうしたレポ用紙は、要するに警察官に見つかつてもすぐ焼いてしまうようにできておりまして、これはただちに焼滅する一定の薬品をもつてつくつたものでありまして、これはどこのレポも同様なものを使つております。しかも警察官の手に同様なものが入つておるところを見ますと、これは私はやはり一定の指揮のもとに、指揮と申しまするか、一定の指導のもとに、いわゆる軍事行動の一環としてこういう行為がなされておる、一つの集団暴力行為であるということが一応うかがわれるのであります。



[130]
委員長 内藤隆
国家地方警察本部長官の齋藤君としては、昨年12月以降全国で警察その他に対する襲撃事件が頻発しておるようですが、各種事件を通じまして、事件の状況その他性格等において、何かそこに一貫したものが見出せませんか。

[131]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
ただいまお尋ねの通り、昨年12月以降、警察その他、そういつた関係の官庁あるいは職員等に対しまして、相当の不法事件が発生をいたしておるのでございます……。

[132]
委員長 内藤隆
ちよつとその前に、今あなたの方の国家警察として、どれくらい件数がありましたか、もしお持ちならば、お述べを願いたいと思います。

[133]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
警察機関に対するものといたしまして、これは自治体警察の区域を含めてでありますが、私の方で報告を受けておりまする分は、186件に達しております。このうち検挙いたしましたのが61件で、検挙人員は308名ということになつております。

これらの事犯を通じまして、従前と著しく違つておりまするのは、いわゆる凶器、特に火焔びんでありますとか、あるいはカーバイト弾というようなものを使用いたしておるのでありまして、それがすでに53件に相なつております。

これらを見ますると、日本共産党の非合法機関紙といわれておりまする「平和と独立」の全国一斉取締りに際しましても、発見いたしたのでありますが、いわゆる「栄養分析表」という秘密印刷によりまして、そういつた武器の使用方法、製作方法その他を詳細に示しておるのでありまして、それに書かれておるものが、現実にここに現われておるように見られるのであります。

御承知のような、共産党の軍事方針として知られております「球根栽培法」でありますとか、あるいはこれらに類する印刷物で、すでに相当広く頒布されておる中に書かれておりますような事柄が、現実に行われつつあるように見受けられるのであります。

[134]
委員長 内藤隆
集団的に来るとか、あるいは権力闘争とか、または時間的に見て、警官の警備の手薄なところに来るとか、そういつたやり方は一貫性があるようにお思いになるわけですな。

[135]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
さようであります。

[136]
委員長 内藤隆
それらの事犯のうち、警備上特に注目されねばならないと思われるものを、ここで2、3実例として御説明を願いたいと思うのですが、まず長野県下の南佐久郡田口村に起りました警官に対する集団暴行事件のその後の取調べ状況はどうなつておりますか。またその事件の内容等を簡単に御説明願いたいと思います。

[137]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
長野県田口村の事件と称せられておりますのは、本年2月3日の事件でありますが、当日警戒中の警察官が、1名の挙動不審の者を職務質問いたしましたところ、2、30名の者にとりかこまれまして、袋だたきにされ、2名は重傷を受け、2名は軽傷でありましたが、その際警察官の拳銃と手帳を強奪された事件であります。

当日は事前の情報によりまして、田口村の党員の宅あるいは山林内で、朝鮮人を含めた日本共産党の、武器を所持しての軍事訓練が行われるという情報がありましたので、警戒中であつたわけであります。

ただいま申し述べましたこの警察官に対する暴行事件は、きわめて巧妙であつたのであります。相当訓練をされなければ行われないようなやり口であつたと私は記憶いたしております。

その後捜査の結果、被疑者22名を検挙いたしまして、現在そのうちで7名が起訴せられておる状況であります。これは今裁判所において裁判中でございます。

[138]
委員長 内藤隆
長野県は全国でも特に思想的に非常に進歩したというか、社会主義的な思想が昔から強かつたようでありますが、この田口村というのは、特にそういう共産党系もしくは共産思想を持つた者がたくさんおるような村じやなかつたのですか。

[139]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
田口村は、長野県の南佐久郡のうちでは最も戦闘的な分子が多いといわれておるところでございます。届出党員が22名ということになつておると思いますが、ここの世帯数が1153戸でございます。そのうち同調者等を入れて約200名くらいおると思います。

[140]
委員長 内藤隆
さいぜんの証言のうちにあつたが、ともかくその襲撃の状況等を見ると、相当に軍事訓練のようなものを受けなければできないほどの巧妙なものであつたということである。それは、そういう共産党員がたくさんいる村だから、軍事訓練等に類似した訓練をやつておつたということが、何か事前にわかつておいでになりましたか。

[141]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
この村で訓練をやつておつたということは、事前に知つておりませんし、またこれはわかりません。だが当日は他からも朝鮮人等も相当入つておりました。某住宅においてひそかに会合を続けておりました中に、相当訓練を受けた朝鮮人等もまざつておるようであります。

[142]
委員長 内藤隆
村民のみではなく、朝鮮人等も加わつておつたわけなんですね。

[143]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
さようであります。



[173]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そこであなたの取扱われた事件自体で、球根栽培法栄養分析表に影響されてやつていると合理的に判断できる事案は、そのうちどれくらいの比率になりますか。

[174]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
大部分をさように判断をいたしております。

[175]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そうしますと、とにかく現在の治安を守る責任者としてのあなたは、この球根栽培法栄養分析表の出場所を追究しておりますか。

[176]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
共産党の非合法の出版物の検挙の際に得ました資料、及び検挙をいたしました人たちというものを中心といたしまして、さらにまたその他の捜査によりまして、極力これを確かめたいと思つて努力をいたしております。

[177]
自由党(自由民主党) 高木松吉
あなたはその立場において、この球根栽培法及び栄養分析表、こういう地上的な指導がなかつたならば、現段階において、今のような事件は起きないとお考えになりますか。

[178]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
球根栽培法、栄養分析表のみではありませんが、この種の文書、この種の指導がなければ、かようなことにはなるまいと思います。

[179]
自由党(自由民主党) 高木松吉
そこでお尋ねしたいのですが、とにかく講和条約も今月28日に発効するということになりますが、そうしますと、占領治下において依存しておる法律のある部分は効力を失うことになる。

こういう状態になつた場合に、少くとも国民大多数の仕合せを根本的に破壊するこの球根栽培法、栄養分析表のような地下運動をはつきりとつかんで、一掃するためには、そういう状態になつた場合においてのいわゆるよるべき法律がなくて、治安維持ができないというような窮地に陥ることはございませんか。

[180]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
私どもといたしましては、さような意味合いからいたしましても、ただいま提案をいたしておりまする破壊活動防止法の成立の一日も早いことを希望いたしておる次第であります。

これがありませんと、取締り上著しい不便を来すものと考えております。



[204]
日本共産党 山口武秀
田口村の問題にしましても、あるいは小河内村というのですか、そういうところでこのような問題が起ります際に、ここで幾人かの関係者が出ておるわけでありますが、この人たちが先ほどからの証言のような問題が起されたとしますると、そこには何らかの主張とか、あるいは一定の目的というものがあるわけでありますが、この点はいかがでしよう。私の今言う目的というのは……(「みんながわかるようにやれ」と呼び、その他発言する者多し)

たとえば現在日本が外国の軍事的な支配のもとにあり、あるいは日本が外国の軍事基地になりまして、このために日本の独立と平和が脅される、こういうものに対する独立と平和を要求するというような、一貫して流れるものはなかつたのかどうか、この点をお尋ねしたわけです。

[205]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
これらの事件において現われておりまする点から見ますると、現地においてやつておりました行動から判断するしかないのでありますが、さような意味合いの宣伝というよりも、むしろやはりいわゆる球根栽培法等に書かれてあります事柄の実現を目標にしているというふうに私は考えます。

[206]
日本共産党 山口武秀
その球根栽培法に書かれている目的と言いますが、それは何と書いてありますか。(「君らがよく知つているじやないか」と呼び、その他発言する者あり)

[207]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
簡単に言えば、暴力革命が最終の目的であつて、それに至るまでの諸段階の組織及び訓練、これを達成して行くというのがこのねらいであると存じます。

[208]
日本共産党 山口武秀
暴力革命と言われますが、何のために暴力革命をやると言われているのですか。

[209]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
共産主義社会と申しますか、共産党の目途としておられるような社会の実現ということであろうと思います。

[210]
日本共産党 山口武秀
たとえば、考えられますのは、一つの手段がとられるといたしますならば、日本の平和と独立を要求するために幾つかの行動が起つており、それらの行動を阻害する国家権力の動きがあるから、そこで必然的にそういう実力的なものが巻き起される、こういうようなことは一般的には考えられませんか。(「それは一体何だい」と呼び、その他発言する者あり)

[211]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
もう一度おつしやつていただきたい。

[212]
委員長 内藤隆
山口君、もう一度説明を聞かないとおわかりにならぬそうです。(「ほら、だれでもわからぬ」と呼び、その他発言する者あり、笑声)

[213]
日本共産党 山口武秀
国家権力との衝突という問題が起つているのでありますが、国家権力が、日本の独立と平和という国民の要求に対して、不当な圧迫を加えている、あるいは実力的な圧迫を加えている。そういうことから、民族的な憤激というものと国家権力の衝突というものが、実力的な形をとつて現われて来るということは考えられないのか、こう言つているのです。

[214]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
そういうような指導をこういつた文書等でしておられるようでありますから――民族的の憤激をそういうように持つて行くというような指導のように聞いております。しかし現実は、さような憤激が国民の中に多くあろうとは私は考えておりません。

[215]
日本共産党 山口武秀
国警長官はそのように考えるかもしれませんが、しかしながら世界の歴史を見ても、現在の世界の状態を見ても、その国の主権が失われ、あるいは外国の軍事基地になつているというところの植民地におきましては、そうしたことが例外なく起つているので私はお尋ねしたわけなんです。



[224]
自由党(自由民主党) 田渕光一
いろいろ数日間にわたる審査と本日の齋藤国警長官の証言によりまして、日共の球根栽培法あるいは軍事活動の極端な現われが、全国的に186件という統計が出て参つたのであります。その最も顕著なものが札幌の白鳥事件だと思います。

やるぞやるぞという日共党員の脅迫状が100何通それから日共札幌地区委員会のビラ、日共札幌地区委員の新聞記者団との会見、あるいはまたその後に発行されたあらゆる文書等によりまして、はつきり日共党員がやつたということがわかつておるのに、これが黙否権を行使されて、何ともいまだにわからぬということでは、186件の事件の審理、あるいは今後の検挙に非常に影響を来すと思うのであります。もちろん取調べは慎重でなければならないと思いますが、あれほど歴然たる証拠があれば、黙否権を行使しても日共党員の尾谷豊がやつたということははつきりしており、われわれもそう断定しておる。

あの拳銃のたまの科学的な捜査等、あらゆる手をやつておると思いますけれども、自警がやつておるからわからぬのであるか、国警が調べたらわかるのであるか、これは別問題としまして、ただいまの齋藤長官の御証言では、合同でやつておるけれども、札幌市警当局が調べておるということでありますが、札幌市警当局が断定を下されずにおるその報告によつて、国警も下されないというのであるか、こういう点はいつごろ見通しがつくということがおわかりになりますかどうですか。

[225]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
白鳥事件は、北海道の国警と札幌の市警と一体になつてやつておるのでありまして、最後のきめ手という点も、市警の報告というのではなく、一緒になつてやつておるわけであります。にもかかわらず、まだ若干の日時をかしていただかなければ、最後のきめ手は、軽卒に過ぎてはいけないと思つて、慎重にいたしておるわけであります。

[226]
自由党(自由民主党) 田渕光一
そこでまず白鳥事件は時日をかすといたしましても、白鳥事件のほかに現われた事件でも100何十件、つまり日共の指導による球根栽培法にある軍事行動の陽動作戦というものが各地区々々で行われておりますが、独立後において全国的な陽動作戦をとられて、最も手薄な県、あるいはブロツク的にいうならば、東北なら東北で一つの問題を起し、ただちに中国、四国で起し、九州で起す、こういう陽動作戦のために翻弄されるようなこともなく、中央が全国の情報網あるいは通信網等によつて絶えず適所に臨機応変の処置をとつて、全国の治安が維持できるという御確信がおありになるかどうか、この点をお伺いしたい。

[227]
証人(国家地方警察本部長官) 斎藤昇
こういつた類似のような事柄がなお若干起り得る、また若干ふえるかもしれないという考えは持ちますが、しかしこのために全面的に治安が乱れて、警察の統一あるいは国の部分的な統一を害されて、そこに解放地区ができてしまうということにはならないという確信を持つております。



[273]
自由党(自由民主党) 高木松吉
日々新聞を拝見し、またいろいろの問題のあることを国民が知つて、まつたく日本の治安に対し相当の危険を感じておる。

そのもとを調べてみると、大体において球根栽培法という一つの本を出して、それに指導原理を書いて、地下運動の動きが見える。それから栄養分析表と称するものでいろいろの軍事行事を指示している。

先ほどから国警長官及び警視総監を証人として尋ねると、やはりこれらの地下運動が大きな作用をして、現象的なものが現われているんだ、こういうことを言われております。





昭和27年04月25日 衆議院 法務委員会
[028]
政府委員(検事(法務府特別審査局長)) 吉河光貞
最近のわが国におきまする暴力的破壊活動の実態の概況につきまして、概略御説明をいたすことにいたします。

法務総裁の御説明になりました通り、最近わが国におきましては、あるいは集団暴力により、あるいはゲリラ戦法により、治安機関及び税務署等を襲撃して、暴行、殺傷等の犯罪をあえてする組織的な暴力主義的破壊活動が全国各地に頻発しているのでありますが、これらの事件の概況と、これと背後的関連の疑いのある事実につき、客観的な資料に基いて申し上げます。

第1には、最近全国各地に頻発する不穏な破壊活動の概況につき申し上げます。

まず、警察署、税務署、特審局、検察庁等に対する集団的襲撃暴行事件の、最近の発生件数について申上げますと、昨年12月24件、本年1月7件、2月41件、3月92件、合計164件となっており、なお4月は、24日現在までの間で、合計34件に達しておりまして、年末の12月を別といたしましても、本年1月以来急激に増加いたしております。

以上のうち特に暴力主義的破壊的な行為として注目されるのは、税務署に対する放火並びにその未遂6件、爆発物使用3件、警察官及び派出所等に対する殺人、強盗殺人並びに致傷4件、放火並びにその未遂4件、爆発物使用2件、傷害9件等の、きわめて悪質な犯罪行為が頻発いたす傾向が見受けられるようになつたことであります。

また鉄道妨害事件について見ますと、線路妨害、運転機妨害、信号通信妨害、その他の妨害を合せて、昨年11月557件、12月514件、本年1月464件、2月472件、合計2007件の多きに上っており、列車放火等の悪質事犯が、本年2月、3月にはおのおの2件の発生を見ております。

次に自由労働者関係の職業安定所その他官公庁等に対する暴行、公務執行妨害事件について見ますと、昨年12月28件、本年1月5件、2月6件、3月18件、合計57件となつており、これらの事件は日本人及び朝鮮人によつて行われたものであります。

次に在日朝鮮人関係の、政府機関に対する不法事件の発生状況を見ますと、12月6件、2月2件、3月29件、合計37件となつているのであります。

これら事件のうち、最も悪質な組織的の破壊活動の代表的なものについて述べますと、本年2月21日、東京蒲田における反植民地デーにからむ集団暴行事件のごときは、まつたく組織的計画的な破壊活動の事例として見るものであります。また同月23日京都市内で開催された、青年婦人統一懇談会主催の、再軍備反対青年婦人大会にからむ集団デモを利用して、一部破壊的分子が巡査派出所、税務署等を襲撃した事件のごときも、事前に周到の計画を立て、団体組織を基盤として行つたものではないかとの疑いを深めざるを得ないのであります。

次にこれら事件の方法、手口を見まするに、第1に犯行時間は警戒手薄でであり、また犯人秘匿に便利である夜間を利用して、単独犯は少く、3人以上の隊組織で行われている。第2に犯行のリーダーは、組織を基盤とする急進的な破壊分子である疑いのある人物が多く、かつ攻撃目標地域外の人物の参加が非常に多いのであります。第3に、攻撃方法は攻撃、遭遇戦を避けまして、先制攻撃が非常に多い。第4に、大衆行動の場合は警官隊との正面衡突を避けて、陽動作戦を行い、間隙をついているというようなことであります。第5は個人攻撃の場合、夜間など、誘い出しまたは帰途でやる。第6、犯行目的に応じた武器、凶器を使用して、その目的効果を得んとしている。これらの武器といたしましては、殺人にはピストルその他の凶器、放火には火焔びんなどを投入、爆破には爆薬装置、ダイナマイト、妨害には、犯行を確認されたり逮捕されることを妨害するため、目つぶし、催涙弾、パンク針の類を使つておる。

次に脅迫につきましては、文書の郵送、貼付散布、投石、類似行為、人糞入りびん投入、音響弾。次にピストルの強奪事件は長野、練馬、蒲田等に発生しております。

次に襲撃目標が一定しておりまして、治安機関とその所属個人または税務署、鉄道、米軍施設などが目標とされておりまして、昭和26年12月から本年3月までの間、手口別数は催涙弾2個、火焔びん3個、人糞入りびん2個、音響弾、ピストル、パンク針、羅針、空気銃、つるはし、カーバイド入りラムネびん、ダイナマイト、爆薬、竹やり、こん棒等のものが各1個などのことが指摘できるのであります。

以上によりまして明らかなごとく、今やこの種の破壊的活動は、ますます組織的計画化し、特に本年3月に入つてから急激に増加しており、今後もますます頻発する傾向が予想せられるのであります。

以上攻撃方法並びに攻撃目標のところに申し上げました火焔びんについてでありますが、最近「栄養分析法、厚生省試験所」と題するパンフレツトが配布されている事実がございます。その内容は時限爆弾、火焔びん、手榴弾、催涙ガス弾等の化学的製法を詳細に述べているのであります。右は一部破壊的分子が破壊活動に出る準備として、かような文書を流布したものと認められるのであります。

なお昨年12月より本年4月までの間、警察職員が拳銃を奪取された事件は4件を数えて、一部破壊分子の家宅捜索に際しまして、武器、凶器等が多数押収されていまして、たとえば本年3月28日に執行いたしました「平和と独立」紙の発行停止に伴う家宅捜索に際しましては、刀剣類75振、拳銃7ちよう、拳銃、小銃弾等40発、爆薬類34件等を押収いたしております。これは国警本部よりの通報によりましても、明瞭なる事実であります。

以上の事実から徴するに、一部の破壊分子が将来の破壊活動に備え、武器を収集しておる事実がうかがわれるのであります。

第2には、これら事件の背後に流布されている武装暴動等の企図を扇動する不穏な出版物について御説明します。これらの不穏文書は、中央地方を合すれば数100にも上りますが、その中で特に指摘いたしたいのは、昨年11月14日連合軍司令官指令によりまして、発刊停止措置をとりました「内外評論」、及び本年3月28日同様停刊措置をとつた「平和と独立」であります。これらはいずれも発行人、発行所の記載のない定期刊行物で、秘密に配布されているのでありますが、その内容の主張より見て、急進的な共産主義を信奉する者によつて発行されているものであるとの疑いが濃厚であります。これらの出版物には、昭和25年10月ころより、武力革命の必然性、非合法活動の必要性、社会秩序の混乱、警察等治安機関の内部撹乱、麻痺の唱道、革命的危機の急速な醸成等を主張した論文が掲載されているのであります。すなわちそのおもなものを説明すれば次の通りであります。

(イ) 共産主義者と愛国者の新しい任務――力には力をもつて戦え(内外評論特別号第4号)
(ロ) 高まる波を権力獲得の革命闘争へ(平和と独立第8号)
(ハ) 暴力には力で戦え、共産主義者と愛国者の新しい任務(同第9号)
(ニ) 権力獲得の武力革命のために党をボルシエヴイーキ化せよ(同第13号)
(ホ) 権力獲得のための革命的指導を(同第14号)
(ヘ) 共産主義者は蜂起をやり始めているか(同第15号)

等文の中には、左のような主張、扇動の記事が見出されるのであります。すなわち「内外反動勢力を打倒するには、広汎な大衆の政治的動員と組織及び武力闘争が必要である。あらゆる形の人民武装反抗闘争とその組織の積極的強化を進め、国家権力の機構を外部から強力的に破壊することによつてのみ、人民の解放が可能である。これら一切の闘争の指導は共産主義者を先頭部隊とする権力闘争の観点で貫かねばならぬ」として、武力革命の必要性を唱道し、あるいは、「本質的に革命は、権力機構の許す合法のわく内で遂行することは絶対に不可能で、非合法活動の全面的強化なしには、あらゆる闘争の前進と発展はない」として非合法活動の強化を主張し、あるいは「支配機構の孤立と混乱動揺と麻痺をして大衆の革命的憤激を高める必要があり、武力蜂起には革命的危機の存在が前提となり、それには支配機構の動揺混乱、大衆の不満と憤りの激発及びこれらの条件を革命の勝利に導くボルシエヴイーキ的共産党の存在が必要である。今日の日本では、かかる革命的危機は明らかに成長しつつあるが、まだ成熟していない。従つてわれわれの全努力は、これらの条件を急速に成長させ、成熟させることに向けられるべきである」と述べ、暴力革命の必要性を具体的に強調しているのであります。

次いで昨年2月、これら破壊分子の第四回全国協議会が開催されたと伝えられていますが、この四全協において、正式に軍事方針として武装闘争の方針が決定されたと伝えられているのでありまして、「内外評論」第16号に記載されております。

この「内外評論」の記事によれば、従来散発的にただいま申し上げたような非合法出版物等に掲載されて来た武装闘争に関する意見をとりまとめ、さらにこれを発展させ、一つの方針として打ち出しているわけであります。

次いで昨年10月開催されたといわれる第五回全国協議会で決定されたと伝えられておりますが、「われわれは武装の準備と行動を開始しなければならない」と題する記事が「内外評論」通巻第31号に登載されているのであります。

並びに本年2月非合法に発行された「中核自衛隊の組織と戦術」等において、武装闘争をさらに具体的に発展した形において明示しており、ことに後者においては、中核自衛隊の組織方法、その行動特に武器の入手方法及びその使用方法、軍事訓練、資金獲得方法等を具体的に指示しているほか、必要ある場合には特定人の殺害等の暴力の行使も避くべきではないと主張しているのであります。

最近また「さくら貝」と題する文書が軍事方針の理解と実践のための方針書として、地方ビユーロー、府県ビユーロー、軍事委員会の責任者に配付されたといわれておりますが、同文書は、第五回全国協議会の後に、従来の武装闘争に関する方針書を一層明確に具体化せしめるため、実践の経験を累積検討したもののごとくであります。

なおこれらの不穏な文書を総合するに、次のような恐るべき武装革命への三段階の構想が述べられているのであります。まず革命の発展段階を三段階にわかち、第一段階においては、革命軍事委員会の指導統制のもとに中核自衛隊を組織して、これを中心としてあらゆる大衆闘争を権力に反抗することに意識化せしめて、これを抵抗自衛闘争に盛り上らしめること、すなわち武装暴動の必要性の唱道、そのための暴力行使の扇動により、大衆を革命的闘争にかり立てる段階であつて、現在はちようどこの段階に当るとしておるのであります。第二段階においては、大衆をかり立て、抵抗自衛闘争をさらに発展せしめて、中核自衛隊の指導統制のもとに、パルチザンを組織せしめるものとし、最終段階である第三段階においては、大衆闘争は国民武装蜂起と化し、抵抗自衛組織は人民軍に転化して、その中心部隊としてパルチザンが行動し、指導部隊として中核自衛隊が行動する段階で、この段階がすなわち総反撃の革命段階としているのであります。

従つて現段階においては、全国的に抵抗自衛組織と中核自衛隊の確立強化が緊急事とされて、着々と全国各地にこれの結成を見つつあると伝えられ、前述の各非合法出版物の記事を総合するに、抵抗自衛組織が121、中核自衛隊が27、すでにその結成を見たことになつており、地域的には関東、近畿、九州、北海道等に多いとされているのみならず、各地において中核自衛隊の入隊宣誓文が発見されているのであります。

次に軍事組織について見まするに、これらの文書には革命を闘い取るために、権力機関を倒す手段として軍事組織をつくり、武装し行動することが必要であるとし、そのためには、あらゆる手段が許されるので、この場合には通常の支配者の道徳は適用されず、またそれに影響されてはならないとしており、この軍事組織の指導、発展に当る者は、中央から地方府県地区に至る一連の軍事委員会で、その任務は、軍事組織の基本である中核自衛隊を発展させることによつて、パルチザン人民軍を組織して行くことにあるとされています。中核自衛隊は工場、部落、町、学校その他至るところに組織し、軍事組織の最も初歩的、基本的組織で、10人以内で1隊を組織し、5人ないし10人を小隊、2ないし3小隊をもつて中隊、2ないし3中隊をもつて大隊を編成することになつており、各隊には隊長のほか必ず1名の政治委員を置いて、軍政の一体となつた指揮指導のもとに遊撃戦を主任務とするものとされているのであります。

次に彼らの戦術についてでありますが、遊撃戦術の目的は、敵の弱点、間隙等を攻撃し、その分散した力に対し、味方の集中した力で打撃を与えることにあつて、攻撃のために結集し、攻撃の後には大衆の中に解け込まなければならぬとし、敵の武装力に対する直接的攻撃を加えることが必要であるとし、また一面権力機関に対する内部工作を強調しているのであります。これが具体的実践として、いわゆるY工作対警工作が打ち出されていると疑われるところであります。

次に攻撃のための使用武器については、その主要な補給源を米軍、警察、その他武装機関とし、直接これを襲つて武器を奪わねばならぬことを指示しており、なお武器としては、最初は必ずしも近代的武器でなくともよく、刀、竹刀、くい、工作道具、農具、石、目つぶし等手当り次第に使用し、またパンク針、催涙ガス弾、手榴弾、爆破装置等簡単なものは自製せよと指示しております。昨年12月以降、今年3月に至る間に惹起された組織的集団暴力事犯において使用された武器の種類は、次のごときものであります。催涙弾2、音響弾1、ピストル1、目つぶし2、パンク針1、羅針1、空気銃1、ガソリンびん――火焔びん3、カーバイド入りラムネびん1、ダイナマイト1、爆薬1、竹やり1、こん棒1、人糞入りびん2、つるはし1、スコツプ1、計16種21点で、かくのごとき悪質破壊的な内容を持つた出版物がいかに配布されているかについては、法務総裁の御説明にもありました通り、全国的に相当広汎な秘密配布網を持つていると認められるのであります。

昭和25年8月「平和と独立」、「内外評論」の両紙誌が発行された当初は、その部数もきわめて少く、読者数も極限されたもののようでありました。しかるに翌昭和26年1月には、「平和と独立」紙上に読者組織の拡大を指示する論文が掲載され、同年2月ごろからは読者の拡大を主張して、読者集団の組織化をも提唱しており、その印刷方法も独得な方法に切りかえられて、発行部数の急激な増加に即応することとしたもののようであります。

「アカハタ」の後継紙同類紙発刊停止指令に基く捜索の結果、全国各地の共産主義者らの自宅あるいはアジトから、しばしば「平和と独立」「内外評論」を発見しており、本年3月28日「平和と独立」の停刊執行に伴い、全国2300余箇所の捜索の結果、「平和と独立」2万4642部、「内外評論」4099部を押収いたしております。これは国警本部からの報告によりましても明瞭な事実であります。

以上により、「平和と独立」及び「内外評論」が全国的に相当広汎な配布網を持つているものと認められるのであります。

なお、右両紙誌はその輸送には、種々偽装を施し、荷受人も偽名を用い、荷受人との文書連絡には別のアジトを使用するなど、この秘密的方法は、きわめて巧妙であり、荷受け場所から読者に配布するにあたつても、すべて手渡し主義をとつている模様であります。

昨年2月に開催されたと称せられる第四回全国協議会において決定されたといわれる「組織問題について」と題する論文は、非合法組織活動についての詳細なる指示をしております。さらに昨年8月開催されたといわれる第二十回中央委員会、及び前に述べた第五回全国協議会にてこの問題は一層深く論議の上、推進されたといわれております。これらによると、すなわち非合法組織活動の目的は、党組織を秘密にし、合法舞台を活用しながら武装革命を推進することにあるとなし、非合法組織の系統は、いわゆるビユーロー組織となし、中央より細胞に至るまで地方分権組織の単純化を主とし、中央と細胞との直結をねらつているのであります。中央ビユーローは少数の幹部によつて構成され、まつたく秘匿されております。なお、中央指導の各地方ビユーローが確立せられ、その数は全国で6つになつていると疑われるのであります。

前述の捜索、押収による資料によれば、ビユーローは、Vの文字をもつて表示されていることが認められるのであります。中央ビユーロー及び細胞はいずれも非合法機関紙の発行をなすことになつておりますが、さきに申しました「アカハタ」の後継紙同類紙の発行停止指令によりまして行われた発行停止処分中には、これら中央ビユーロー及び細胞の機関紙ではないかと疑われるものが含まれておるやに見受けられるのであります。なお非合法組織活動は、絶対秘密保持の原則に立つているのでありまして、さきに「平和と独立」及び「内外評論」の配布関係の際にも申上げましたように、連絡の迅速正確を確保し、アジト印刷所等の確保のために技術活動を担当する組織、技術部すなわちテクと称するものが中央より細胞に至るまでこの原則に書いて行われているのであります。当局におきましては、さきに申上げましたようなV通達なる文書をしばしば入手しておるのでありますが、それらによれば、Vにおきましては、種々の調査活動を下部に指令している事実がうかがわれるのでありまして、国内治安機関に対する調査活動の一環として、「人民監視網」と称するようなものがつくられて、治安機関の動静をビユーロー組織自体において調査をいたしておるというように疑われるのであります。

以上申し上げました事実から推測いたしますと、冒頭に申し上げましたような一連の暴力主義的破壊活動と、内乱や武装暴動の必要性を主張し、その実現のための暴力の行使を扇動するこれら不穏の文書とは深い関連があり、いずれも全国的に秘密に組織されたと疑われるような団体によつて、指導推進されているとの疑いを深めざる得ないものであります。

以上客観的な資料に基きまして事実を申し上げました。どうぞ御審議の資料に願います。

[029]
委員長 佐瀬昌三
ただいまの破壊活動に関する古河特審局長の報告は、法案の審議上また一般治安対策上国会としても注目すべきものがあると思います。もとより政府はその調査の方法等において十分責任を持たれるものと信じますけれども、一応その点をただしておきたいと思います。

[030]
政府委員(検事(法務府特別審査局長)) 吉河光貞
ただいま申しました概況の御説明は、すべて客観的な文書の資料に基いて申し上げたものであります。また事件につきましては、実際に行われた事件についての報告であります。特審局あるいは政府の主観的な判断は一つも入つておりません。



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