AIIB アジアインフラ投資銀行 1/3

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平成26年06月11日 衆議院 外務委員会
[012]
自由民主党 小林鷹之
もう時間も限られておりますので、最後の質問をさせていただきたいと思いますが、アジアインフラ投資銀行、AIIBについて伺いたいと思います。

先月カザフスタンで開催されましたADB総会の脇で、AIIBの設立に向けて中国が主導する会合が開催されました。このAIIB構想というのは昨年の秋に習近平国家主席が打ち出したものでございますけれども、もちろん、日本、アメリカは招かれておりません。世間ではADBに対抗する動きとも見られる中で、このAIIBの意義や必要性について大臣としてどのように捉えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

[013]
外務大臣 岸田文雄
AIIB構想、アジアインフラ投資銀行構想ですが、この構想につきましては、ただいま委員の方から御指摘がありましたように、昨年10月に、アジアにおけるインフラ整備の資金ニーズに応えるということを目的に、中国の習近平国家主席が東南アジアを歴訪した際に表明したものであります。中国は、本年秋には参加国との間で同構想の枠組みに関する政府間覚書を締結したい、こういった意向であるということを承知しております。

アジア諸国の持続的な発展に係る支援につきましては、従来、我が国が最大出資国でありますアジア開発銀行、ADBが中心的な役割を果たしてきました。近年急速に高まっているアジア地域のインフラ需要に対しても、ADBの果たす役割は引き続き大変大きいものがあると認識をしております。

こういった中にあって、このAIIB構想ですが、アジアにおけるインフラ整備への資金供給にも影響を与えることになります。ADBに加えてAIIBが必要かどうかといったことも含めて、これは慎重な検討が必要ではないかと認識をしております。

[014]
自由民主党 小林鷹之
大臣、ありがとうございました。

中国財政部は、貧困削減を目的とするADBとインフラ投資を目的とするAIIBは補完関係にある、すなわちすみ分けは可能としているようなんですけれども、おっしゃるとおり、そう簡単に割り切れる話ではないと思います。

特に、ADBを含む世銀グループの場合は、融資を決定するに際して、環境面ですとか社会面に配慮するセーフガード、あるいは構造改革などを求めるコンディショナリティーと呼ばれる条件を付して融資を決定することになりますけれども、一方でAIIBは、まず貸し出しありきということで、甘くて緩い条件をつけて域内各国に働きかけていくことも考えられるところでございます。

そうすれば、結局のところ、借入国にとってみれば、持続可能な発展を阻害される、そういう結果にもなり得ますので、この点については、大臣今おっしゃったとおり、ADBの最大出資国として、我が国としてはこのAIIBをめぐる今後の動きをしっかりと見きわめた上で、仮にこの機関が無秩序な貸し付けを行うような機関として誕生する場合には、一線を画していただいて、そうした資金を借り入れる国への融資には慎重な姿勢を堅持していただくなど、しっかりとした、また慎重な対応をとっていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。





平成26年10月15日 衆議院 外務委員会
[090]
民主党(民進党) 若井康彦
そこで、お聞きをしたいと思いますけれども、最近、中国の提唱によりまして、アジアインフラ投資銀行、この間も議論が出ておりましたけれども、この構想が非常に大きな検討の課題になっているということを仄聞しております。

我が国の政府として、この中国が主導するAIIB、これについて、どのようなスタンスで取り組もうとしておられるのか。

報道によれば、我が国はこれには参加をしない、そして、周辺諸国についても参加をしないように示唆をしているというような報道もありますけれども、その点について、大臣、どのようにお考えになっておられるでしょうか。

[091]
外務大臣 岸田文雄
御指摘のAIIB構想ですが、昨年10月、中国の習近平国家主席が東南アジアを歴訪した際に表明したものだと承知をしております。

この構想につきましては、我が国として、まずは、このAIIBに先立って、ADBを初めとする既存の国際開発金融機関が存在いたします。こうした既存の国際開発金融機関に加えて、新たな国際機関を設立する付加価値があるのかどうかという点、あるいは、一国が非常に大きな出資割合を占める機関が、国際機関と名乗るに値する公正なガバナンスを確立できるのかという点、さらには、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにならないか、こういった点を含め、慎重な検討が必要であると考えております。

以上の点も踏まえまして、日本政府としましては、AIIBへの参加について慎重な立場であります。

[092]
民主党(民進党) 若井康彦
先ほど来議論になっておりますとおり、世界における、例えばインフラの投資の需要というのは飛躍的に拡大をしている、そしてまた、今お話があったADBとか、そうしたこれまでの既存の枠組みの中では、それに十分対応し切れるのかどうか、そうした問題もあるかと思います。

そうした中で、毎年1兆ドルを超えるという世界の、あるいはアジアのインフラ投資に対して、新しいそうした供給元が出てくるということ自体は、私は、ある意味でいうと、歴史の流れでもあり、また、これまで我が国が行ってきたODAの成果でもあるというふうに思うわけですけれども、慎重な立場というのは、そうした流れについてほかの道筋を考えようとしておられるのか、あるいは、AIIB、これについて、条件をつけて、ある意味で参画をする、あるいは協力をする、外側から支援をする、さまざまな対策があると思うんです。

これは、ある意味でいうと、先行の投資として、我が国としても一歩前へ踏み出すべき課題ではないかというふうに思いますけれども、重ねて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

[093]
外務大臣 岸田文雄
インフラ整備に対するさまざまな国々の要求というものがますます大きくなっているというのは事実であります。

しかしながら、こうしたインフラ整備に対する要求に対しての融資等に関しましては、従来から、既存の多くの国際金融機関があり、この金融機関のもとで、さまざまなルール、秩序のもとに、さまざまな取り組みが行われてきております。

こうした既存のルールや秩序、こういったものはしっかりと大事にされなければなりません。こうした基本的なルールや秩序をしっかりと守った上で、増大するインフラ整備に対する需要にどう応えていくのか、この点、大変重要だと考えております。

そういった観点から、AIIB構想につきましては、先ほど申し上げました諸点について、我が国として慎重な検討が必要であると考えているところであります。こういった点から、慎重な立場であるということを申し上げているわけです。

ぜひ、今後とも、こうしたインフラ整備の需要に対してどう応えていくのか、責任ある議論を進めていかなければならないと考えています。

[094]
民主党(民進党) 若井康彦
我が国の姿勢いかんにかかわらず、この問題はある程度前へ進んでいく話だろうと私は予想をいたしますけれども、それについては、最低限、しっかりと我が国としても見守っていく必要があるというふうに思います。

余談ですけれども、さきのエルサルバドルの隣のニカラグアに中国が資金を出して、第2の大西洋、太平洋運河を開削するという話もあるようですが、現実的に、お金の話でありますから、きちんと筋が通った話になるかどうかは別問題。

そのような意味で、さまざま出てくる開発案件、そしてそれに対する投資、市場の状況によって淘汰もされていくと思いますし、その点については、この間の中国の国際協力の不明瞭性、先ほどからお話にありますけれども、そうしたところも含めて、一定の時間を経過する中でもう少し具体的な方針が見えてくるのではなかろうか、そのように思います。よろしくお願いいたします。





平成26年10月16日 参議院 財政金融委員会
[175]
公明党 西田実仁
この国際会議におきましては、新興国のインフラに対するマネーの供給ということも随分話題になったように聞いております。新興国の成長の鍵を握るインフラ整備に世界のお金をどう振り向けていくのかということが議論の焦点になりました。議長国の豪州では、シドニーに拠点を置いて各国のインフラ事業の情報を集めてマッチングをするという、そうした仕組みをつくることを提案されておられたり、あるいはこうしたことが既存の世界銀行やADBの、アジア開発銀行の側面支援をするという趣旨だろうというふうに思います。

一方、話題に最近なっておりますのは、中国がAIIBということで、それを設立をして、そしてアジア諸国の中にも、私も何人かの方から直接お聞きしましたけれども、こうしたAIIBに出資をするという諸国も出てきているわけでございまして、背景には、今の既存のADBに対する様々な不満というか、もっとこうしてもらえないかという、そういう問題意識もくすぶっているのではないかというふうに思います。

こうしたアジアのインフラ整備について日本が主導してきたADBが今後どのような役割を果たしていくのか。また、AIIBに関心が向くということは、既存のADBに対する様々な改善ということも促しているんだろうというふうにも思われますので、どう改善していくのか。AIIBとADBの関係はどうなっていくのか。そして、日本はAIIBに出資をするようなお考えもお持ちなのか。こうした諸点につきまして、現状でお答えできる範囲でお答えいただきたいと思います。

[176]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
AIIB、最近、聞かない言葉ですけれども、エイジアン・インフラストラクチャー・インベストメント・バンクというものを新たに中国が主なスポンサーとなって設立をしたいということを打ち上げております。

アジアの新興国にとりましては、今、インフラストラクチャー、電力とか港湾とか水道とか高速とか鉄道とか、そういった基本的なインフラストラクチャーにかなりな遅れが出ているために経済成長にキャッチアップできていない、経済成長を助長できない等々の悩みがありますので、インフラストラクチャーに対しての希望は非常に大きなものがあります。

中でも、例えばいろんなやり方をやっておりまして、例えばインドの場合は、ニューデリーからアンコールワットじゃなかった、マハラジャのお城、何と言ったっけ、お寺……(発言する者あり)タージマハル。サンキュー・ベリー・マッチ、タージマハル。タージマハルに行くのに、昔は飛行機でとにかく乗り継いでえらい騒ぎで行ったんですけれども、今は完全に車でぼんと行けるようになった。それは全部PPPでやっております。プライベート、パブリックというあれで全部やっているんです。PPPだけでこれを造り上げてきておりますので、この話も、現実問題として、その高速道路料金のいわゆる料金代でちゃんとペイするというのを向こうの頭取も言っておりますので多分そうなんだと思いますが、そういうのをいろんなことを考えてやっているんですが、基本的にインフラが足りないことはもうはっきりしております。

したがいまして、そういったものに対して応えるだけの金を誰かが出すということになったときに、それは銀行で、ADBとか世界銀行とかODAとかいろんなことをやっておるんですが、そこになかなか、今各国、そのADBの増資をやるとか、そういったことに関してはなかなか乗りにくい。で、今、別の方法として、そこに増資をするのではなくて金を貸す、増資の金ではなくてADBが貸す金を貸すという融資みたいなものもやるということを認めておりますので、IMFにしてもこれにしても、そういったことをやり始めておりますので、日本としてはそれには応じられますということを私ども言っております。

傍ら、このAIIBの方は、今、主に融資を募っておるんですが、アジアの国でとにかく中国が巨大なシェアを持ちますものですから、占有率を持ちますものですから、よく中身が見えません、正直なところ。したがって、失礼ですけど、おたくら、そんな融資する審査能力がおたくはありますかと。中国さん、おたくはそんな融資の審査能力がありますかと。シャドーバンキングを見ながら、そんな融資を審査する能力なんかなかったじゃないですかと、これは各国が言うわけです。

それで問題は、でき上がった後、その金を貸した、ところが取りっぱぐれた、返ってこない、その国からといったときに、これまで貸しているADBの金、貸している世銀の金、これまで貸しているODA等々いろんなものの融資の金が、その国が財政破綻をしたために、今までだったら順調に返ってきたものが、中国がどんと貸したがために返ってこなくなったときには、おたくは返済順位は一番劣後ですよと、これまでうちが貸している分が最初ですよということは約束してくれるんでしょうねとか、いろいろな今交渉をしている最中でありますので、こういったものがはっきりして、その中のトランスペアレント、中の透明性が確保されない場合に、日本とかアメリカとかそういった国でADBとか世界銀行にシェアを持っております国としてはなかなかそういったもの、自分たちのこれまでやっておるのが傷つく可能性がありますので、そういったものはなかなか乗りにくいというのが我々の今置かれている状況だと理解しております。

[177]
公明党 西田実仁
そういう状況の中で、しかしながらADBの役割も、もっとこういうふうにしてもらいたいというのが多分要望としてインフラ需要のある国々からもあろうと思いますので、それに対する対応、対策も必要であろうというふうに思います。





平成27年03月20日 参議院 予算委員会
[312]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
次に、このところとても話題になっています中国が主導をするアジアインフラ投資銀行、AIIB、一昨日は、麻生財務大臣は、透明性とか運用にいろいろと問題がありそうだから、かなり慎重な御意見でした。ところが、昨日になると、これはもう少し参加の可能性について協議する、透明性が確保されればという条件付ですけど、かなり姿勢が変わってきました。

今週末にはソウルで日中韓の外相会議、開かれる予定です。その場でもこのAIIBについてはいろいろと議論されるんではないかと想定されているんですけれども、これ、中国が世界を取り込んで世界銀行とかIMFに代わる中国主導の世界最大の金融機関をつくろうとしているわけですよね。ドイツもイタリアも、イギリスまでここには参加する。韓国や台湾もそういう方向で検討が進んでいる。日本は、オバマ大統領からの要請もあって極めてこれには慎重な姿勢なんですけれども、どうなんでしょうか、世界がこの新しい世界最大の金融機関になびいているときに、日本だけが、この中国の動き、中国には透明性がないという理由で一歩距離を置いたままでいいんでしょうか。

その辺りについて、今週末の日中韓の外相会議、この問題にどう取り組まれるのか、是非総理の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

[313]
内閣総理大臣 安倍晋三
そもそもAIIBはIMFあるいは世銀やアジ銀と性格を異にするものと言ってもいいと思います。AIIBについては、日本政府としては、これまでも明らかにしてきているとおり、公正なガバナンスを確立できるか、そして債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことにより他の債権者にも損害を与えることにならないかといった点を含め、慎重な検討が必要であると考えています。

中国に今後どう向き合うかということにつきましては、日中両国は地域の平和と繁栄に大きな責任を有しているわけでありまして、世界第2位の経済大国となった中国が国際社会のルールや法の支配を尊重する形で平和的発展を遂げることは日本にとっても大きなチャンスであると、こう考えているところであります。

いずれにいたしましても、AIIBにつきましても先ほど申し上げましたような課題があると、このように承知をしております。その中で慎重に検討していく必要があると思います。

[314]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
AIIBに課題があるということは各国とも認識していることだと思います。しかし、課題があるからこそ、逆にアメリカや日本が一緒にこのAIIBをスタートさせることによって、今入らないと議決権とか拒否権は与えられない。だからヨーロッパ各国は、オーストラリア、ニュージーランド、アジアの国々も含めて、AIIBに草木もなびくというような動きがあるんですよね。

ですから、その辺りをどういう形で向き合うのか。これは日本にとっても、これはドルに代わる人民元の通貨圏をつくるという動きにも関連しているし、TPPにも水面下で絡んでいる話だと私は理解しています。是非とも、日本が、気が付いたときには日本だけが孤立しているというようなことにならないように、是非、総理にも、麻生財務大臣にも、岸田外務大臣にも取り組んでいただきたいと思います。

なぜ各国が草木もなびくようになっているかというと、やっぱり中国マネーの力ですよね。シベリア鉄道の40%も長い、中国からロシア、ヨーロッパにまたがるユーラシア鉄道、インフラを造って物流を変えようとしている、そういう動きに対して各国が中国に。

ですから、安倍総理がインフラ輸出、盛んにトップセールスやっておられますけれども、中国とライバル関係、あるいは中国と協力する可能性もあるのかどうか、その辺りについて最後に総理のお考えをお聞かせください。

[315]
内閣総理大臣 安倍晋三
インフラ輸出については、日本のインフラ輸出というのは極めて質の高いものでありますし、その後のメンテナンス等を含めれば、あるいはそれには人材の育成も伴ってきますし、質の良いファイナンスも伴っているわけでありますから、その中で競争力を我々は得ているわけでございまして、我々、政権獲得前から比べれば、インフラ輸出は3倍に増えているところでございます。

同時に、中国は、先ほど申し上げましたように、今後も大きく発展していくということが期待されるわけでございます。そういう中におきまして、中国の発展はチャンスであるとも考えているところでございます。

[316]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 浜田和幸
是非そういう、中国に限らず、アジアの発展のチャンスを積極的平和主義の中で生かし、安全と繁栄のために日本がイニシアチブを取る、そういう意味での安倍総理の決断、行動を期待し、質問を終わります。





平成27年03月24日 衆議院 安全保障委員会
[049]
民主党(民進党) 大串博志
時間がなくなりました。最後に外務大臣に、アジアインフラ投資銀行の件です。

私は、この最近の進展を非常に危惧しているんです。アジアインフラ投資銀行、中国がリード役として引っ張っているものです。このガバナンスが本当に民主的なガバナンスで行われるのか、そして、案件に関しても、いろいろな国際的な常識感の中で行われる、選別される、そして、償還可能性も含めて確認されるという形になっていくのか、非常に不透明。

不透明な中で、私が非常に驚いたのは、イギリス、ドイツも含めて先進国も手を挙げるという形になっています。これは、日本にとっては非常にある意味懸念の多い案件だと私は思っているんですね。こういった内容においては、かなり早期の段階から、イギリスやドイツ、こういったところが申請に手を挙げるということになっていくと、なかなか外堀も埋まってくるような感じもしますので、そうなる前に、外交努力を通じて、この取り組みがそう軽々には前に進まないように、先進国でがっちりスクラムを組んで、ブレーキといいますか、声を上げるような立場を、ポジショニングをとるべきだと私は思うんですね。

私は、実は、アジア通貨危機の後に、アジア・マネタリー・ファンド構想というのを当時役所でやっていたんです。これは中国が物すごく反対しました。結局、うまくいかなかった。これは中国の根回しも非常にうまいなというふうに思ったこともありました。やはり表に浮上すると、なかなか事実関係としてはとめにくくなるんです。かなりその前に物すごい働きかけがありました。

そういった外交努力がまず非常に大切だったんじゃないかと思うんです。しかし、その外交努力に、今、若干もう敗れぎみになってきているんじゃないか、これは事態が走っていくんじゃないか。そのときに、私たちとして、このアジアにおいて中国の影響力が一気に増すようなボディーとなっていかないかというのが非常に心配なんです。

この点に関して、十分な外交努力がなされてきたのか、そしてこれからどうしていくのか、これに関する外務大臣の所見をいただきたいと思います。

[050]
外務大臣 岸田文雄
AIIBにつきましては、中国政府は、2015年6月までにAIIBに関する協定の交渉、署名を行い、2015年末までに協定を発効させ、業務を開始することを目指していると承知をしています。

これに対しまして、我が国の立場ですが、公正なガバナンスを確立できるのか、さらには、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより他の債権者にも影響を与えることにならないかなどの点を含めて、慎重な検討が必要であるというのが我が国の立場であります。

そして、今日まで外交努力を行ってきたのかという御指摘をいただきました。

当然のことながら、G7各国とこれまでも意見交換、情報交換を行ってまいりました。そして、その中にあっても、英国あるいはドイツ、これはAIIBへの参加を表明したわけですが、英国、ドイツ等においても、引き続き中国との交渉に当たりガバナンス等の確保のために取り組んでいかなければならない、こういった問題意識は明らかにしています。

こういった英国、ドイツを含めて、関係各国とは引き続きしっかり連携協調しながら、中国に対して、AIIBの透明性ですとか意思決定のあり方ですとか、こういった点につきましてしっかり働きかけを行うことは重要であると思っています。

我が国の立場は、先ほど申し上げたとおりであり、変わりませんが、今申し上げたような観点から、AIIBのあり方につきましては、関係各国と連携しながら関心を持って注視していきたいと考えています。

[051]
民主党(民進党) 大串博志
終わりますけれども、ぜひ、特に先進国とスクラムを組んで、よくない方向に行かないような外交努力を最善、早い段階でやっていただきたいということをお願いし、かつ、集団的自衛権や安保法制、これも非常に重要な問題がありますので、これからさらにしっかり議論させていただくことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。





平成27年03月24日 参議院 外交防衛委員会
[053]
自由民主党 三木亨
続きまして、アジアインフラ投資銀行についてお聞きしたいと思います。

中国が主導するアジアインフラ銀行、AIIBについて、ASEAN10か国を始めとする途上国を中心に参加をすることになっておりましたけれども、ここに来て、イギリスに続きドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルク等々の国が参加を表明するなど、3月末の創設国締切りに向けて参加の意思を示す国が今相次いでいるというふうに聞いております。

欧州は、日本とは地理的な条件というものが全く違います。目はウクライナに向いておって、中国の脅威というのは余り感じていないようにも思えます。また、ウクライナ問題でロシアとの政治あるいは経済関係が冷え込む一方で、中国の経済力にこのEU各国は大きな期待を寄せているというふうにも考えられます。

日本は、中国とは、昨年11月の首脳会談、そして今月21日の日中韓外相会談、大臣も御出席いただいたようで本当にお疲れさまでございました、対話の機会を着実に重ねておりますが、いまだに緊張関係は続いておりまして、経済的には競争関係にもございます。

政府は、これまでアジアインフラ投資銀行に対し、アジア開発銀行との役割分担、あるいは環境や人権への配慮、ガバナンスの問題等を指摘しておられました。また、アジアインフラ投資銀行を既存の国際金融秩序への挑戦と見る向きもございます。こうした理由から、米国、韓国などは、関心は示しているものの、参加を表明しておりません。そして、一方でアジアの成長力と巨大な市場、2020年までの10年間で8兆ドルと言われているインフラ需要を世界銀行やアジア開発銀行だけでは賄えていないとの指摘、そして政経分離ということを考えますと、アジアインフラ投資銀行に対して柔軟な姿勢があるいはあってもいいのではないかというふうにも思われます。

これまでに報じられているところでは、アジアインフラ投資銀行は、中国の出資比率が非常に高くて、本部は北京に置き、総裁には中国人が就くということで中国主導のものになることが想像されておりますけれども、中国側に十分な説明を求め、西側先進国がそろって参加することによって、アジアインフラ投資銀行における中国の相対的な発言力や地位を弱めてガバナンスを高めることということも可能であるというふうに思います。

アジアインフラ投資銀行についてどのような認識を政府の方は抱いておられるのか、そしてそのアジアインフラ投資銀行の参加についてどのように対応されるのか、お伺いをさせていただきます。

[054]
外務副大臣 城内実
ただいまアジアインフラ投資銀行についての御質問がございましたけれども、アジアインフラ投資銀行につきましては、これまでも累次明らかにしてきておりますとおり、公正なガバナンスを確立できるかどうかと。

具体的には、恣意的な組織運営がなされているのかとか、あるいは運営の透明性が確保されているのかと、こういった公正なガバナンスを確立できるのかということが1つと。

2つ目は、債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことにより他の債権者にも損害を与えることにはならないかと。こういった点を含め、現時点では慎重な検討が必要であると考えております。





平成27年03月24日 参議院 財政金融委員会
[077]
民主党(民進党) 大塚耕平
さて、今日は残された時間でアジアインフラ投資銀行、AIIBについてちょっとお伺いしたいと思いますが、この動きはここのところ急に報道されるようになってきておりますけれども、AIIBに関して日本は参加をする意思が多少なりともあるんでしょうか。

[078]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
この話は昨年のG20の前後ぐらいから我々のところにいろいろ耳に入ってくるようになった話だと記憶をしますけれども、今この種の話で、アジアにおいてインフラストラクチャーの絶対量が不足しておるということに関しましては、これはひとしく皆認めているところであります。それに対して世界銀行、IMF、アジア開発銀行等々のいわゆる持っております資金量を上回る資金需要があるということも事実なんだと思いますけれども、現実問題として、資金需要があっても、その金を借りてきちっと約定どおりに返せるだけのものができるか、あるかという話はこれは全然別問題でありまして、お金を融資する立場に立てば、その金が返済できるような計画に基づいて金は融資されるべきものだと思っております。

このアジア・インフラストラクチャー・インベストメント・バンクですか、AIIBに関して言わせていただければ、このAIIBは、じゃ、その融資をするプロジェクト、融資をする相手国、融資をする額等々は誰が決めるんですかと。誰が決めるんですか、すると、理事会はないと。じゃ、誰が決めるんですって言ったら、中国の総裁がお一人でお決めになると。ほう、ああ、そうですか、そんな有能な方がおたくにいらっしゃるんですかと、それが最初の会話です。

それから何回もお見えになりましたので、何回となくその話をして、質問に答えてくださいと。

これはどこにつくられるんですかと。北京ですか、どこにつくられるんですと。誰がやられるんです、そのリストだけ見せてくださいと、それから規約も見せてくださいと。それがない限りは我々は、少なくともアジア開発銀行等々を通して金を貸してある先に、後から追っかけでむちゃくちゃな感じの融資が入ってきて、このおかげで取りっぱぐれたといったら、こっちの今まで貸してある分の返済が滞るのなら割食うのはこっちだから、俺たち、そんな人良くないですよと。だから、失礼ですけれども、その話は私どもとしては乗れないと。

だから、これを見せてくださいということを今言っているのは、日本とアメリカははっきりそう申し上げていると思いますが、今のところ、3月31日までに出せと言うから、3月31日までに出すのはそちらの方の、私らの出した答えを出すのが先ですということを申し上げております。

[079]
民主党(民進党) 大塚耕平
それでは、これは事実確認ですが、中国からAIIBにできたら参加してくれという要請なり打診があったということでいいですねということが一点と、アメリカからは参加するな、ないしはしない方がいいというサジェスチョンをもらっているかどうか、事実関係について教えてください。

[080]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
まず最初に、アメリカとはこの話をしたことは何回もありますけど、常識的に考えればそうですから、別に要請も何もありません。そうだよなと、それで終わりです。

それから、向こうから正式に私に向かって何々大臣、最近誰が大臣かよく分からないんですけれども、楼継偉が来たことは、直接来たことはありませんので、私どものところの財務官とか国際局長のところのレベルでの話合いというものが間接的、直接的にあっていることは、この1、2か月、事実であります。

[081]
民主党(民進党) 大塚耕平
中国からの要請があったんですか。

[082]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
今私の申し上げましたのは、最初の部分がルー、ルーというのはアメリカの財務長官からの話で、お互いに話をしたのがジェイコブ・ルーの話で、後半の部分でいろいろ私に直接ではなく財務官、国際局長等々に間接的に等々、いろいろ直接的にもこの話に参加の要請があったのは中国からであります。

[083]
民主党(民進党) 大塚耕平
かつてのニクソン大統領の頃のように、日本の頭越しに、はたと気が付いたらアメリカはAIIBに参加するという意思表示をするというリスクは全くないと考えておいてよろしいですね。

[084]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
この種の話は、アメリカの場合ころっと変わるのはよくある話ですから驚くことはありませんけれども、別にそういうことが起きても、私どもとしては、この条件が満たされないままでいくというのは、それはとても危ない橋を渡ることになろうかと思いますので、正直言って、私の立場としては、誰が、いつ、何を、融資の対象国をというようなことがきちっとルール化されていない前に参加するとかいうような形で、AOA、アーティクルズ・オブ・アグリーメントというような、AOAをサインするというようなつもりはありません。

[085]
民主党(民進党) 大塚耕平
金融機関のガバナンスあるいは国際金融機関の健全性という観点からいえば、もう今大臣のおっしゃったとおりで何の異論もありませんが、この問題はそういう判断基準だけで動いているわけではないということはもう皆さんそれぞれ御理解なさっているはずであります。

中国は2000年にWTOに参加をして、共産主義国家がなぜWTOに参加するのかというのは驚きでありましたけれども、軒先を貸して母屋を取られるような状況に西側諸国は経済的にはなっているわけでありまして、2010年には日本は中国にGDPを抜かれて、中国は世界2位の経済の規模の国になり、そして2015年には言わばブレトンウッズ体制の国際金融ネットワークの一角を崩しにかかっているという文脈から理解するべきであって、そういう中で日本は適切に対処していかないと、気が付いたら一人取り残されていたということにならないようにしっかり御対応いただきたいということを申し上げておきます。





平成27年03月25日 衆議院 外務委員会
[170]
維新の党 木内孝胤
当たり前のことを当たり前にやるということは、非常に大切なことだと思います。海外に出る企業を支援したりとか、正直言って、こんなことは30年、40年来、外務省はやり続けてきたことですし、わざわざ三本柱の一つに経済外交というのを据えるのであれば、今までにない何か新しいことでも入っているのかというような期待感もありましたのですが、正直、率直に申し上げて、残念な答弁というのが私の印象でございます。

経済外交といった場合、これは必ずしも外務省の所管ではないところもあるわけですけれども、現在、アジアインフラ投資銀行が話題になっております。これは、世界の金融秩序、これをどういうふうに変えるのかという非常に大きなテーマだと思っております。

大臣は、わずか5年間ではありましたけれども、金融機関にも勤務された経験もありますし、私は、大臣が経済外交とおっしゃるからには、こうした例えば例えば人民元が国際化をしようとしているさなかに、どうやって日本がこれを取り込むのか、あるいはどういう新しい秩序をつくるのか、こういうことが大臣に求められている経済外交であり、まさに戦略的な経済外交とおっしゃるのであれば、こういった点を一言二言述べていただきたいという期待がありました。

そういう意味でいうと、今まで30年間、40年間やり続けてきた当たり前のことを繰り返すだけで、しかも、この喫緊の課題であるアジアインフラ投資銀行につきましては、これからお伺いしたいんですが、アメリカ、日本は明確に慎重姿勢を従来から言っているわけでございます。官房長官答弁もそうですし、麻生財務大臣もそうです。岸田外務大臣も、これに関して非常に慎重姿勢であるというのを幾度となく答弁されていらっしゃいます。

一方で、今月に入りましてからイギリスが参加表明をしております。あるいは、G7諸国のうち、英仏独伊、これも参加表明されております。

おととしの10月にこの構想を中国が発表してから、一体どのような働きかけをしてきたのか、どのような情報収集をしてきたのか。これは一言で言いますと大失態じゃないですか。これは後追いでこれから入るということですか。審査基準が明確でない、ガバナンスが明確でない、中国に主導権を握られるかもしれない、こうした新しい金融国際組織をつくるかもしれないとさんざん言われてきた中で、大臣はこれに関してどういう手だてを打ってきたのか、どのように財務大臣と連携をしてきたのか。

正直言って、先週来のニュースで、イギリスが急に参加を表明したことによって慌てふためいているというようにしか私は見えません。過去一年半、大臣のこれに関する取り組み、アジアインフラ投資銀行の構想に対する取り組み、情報収集、これをお聞かせください。

[171]
外務大臣 岸田文雄
まず、先ほど、経済外交について当たり前のことしか言わなかったという御指摘をいただきましたが、この30年間とおっしゃいましたが、30年間の間、国際社会は大きく変化をいたしました。プレーヤーも大きく変わりました。経済をめぐる環境、大きく変化したのは委員御自身がよく御存じだと思います。その中で当たり前のことができるかどうか、これは我が国にとりまして大変重要なことであります。

ぜひ、時代の変化の中にあってもしっかり対応できるように、経済外交はしっかり進めていきたいと考えています。

そして、AIIBについて御指摘をいただきました。

中国政府は、このAIIBの目的として、アジアのインフラ等への投資を推進することを通じて、アジア地域の経済発展と地域経済協力を促進することにあると説明をしております。

しかしながら、まず我が国の立場を申し上げるならば、日本の参加につきましては、公正なガバナンスを確立できるのか、あるいは、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにならないか、こういった点を含めまして、慎重な検討があるということ、これをずっと申し上げてきました。今現在に至っても、中国側から、こうした透明性あるいは意思決定につきまして、明確な説明は受けておりません。そして、こうした問題意識は、引き続き中国側にしっかりとぶつけていかなければなりません。

今日まで何をしていたのかという御質問でありますが、今申し上げた視点から、国際社会、欧米各国、さまざまな国々と連携をしながら、この問題を検討してきました。

そして、英国、ドイツ等が参加を表明いたしました。御指摘のとおりでありますが、この英国、ドイツ等であっても、今申し上げました中国の透明性あるいは意思決定、ガバナンスにつきましては問題意識を持ち、その立場から引き続き中国側に働きかけていく、こういった努力を続けていくということについては引き続き表明しておりますし、変わっていないと思います。

今、我が国は我が国の立場でありますが、我が国の立場にあっても、引き続き、英国、ドイツ、そして米国を初め関係各国としっかり連携しながら、このAIIBというもののガバナンス、透明性、意思決定等につきまして明らかにするべく、しっかり働きかけを行っていかなければならないと思っています。

[172]
維新の党 木内孝胤
かなりのんきな、危機感のない答弁という印象を持ちましたが、英仏独伊、参加表明しているんです。入れば、ルールをつくるときに一緒につくることもできるんです。3月末に創業メンバーになるかならないかという明確なデッドラインがある中で、今の答弁というのは全く期待外れです。

そうした中で、日本として3月末までにこのAIIBに入るのか入らないのか。さっきおっしゃっていたような懸念点があることは十分承知しております。しかし、この懸念点というのは1年以上前からわかっていた懸念点で、そうした事態を踏まえて、ほかの国は入るけれども日本は入らないという御決断をするんですか。あるいは、ここ1週間ぐらい、財務大臣とどういう膝詰めの議論をしてきたのか。この2点、お聞かせください。

[173]
外務大臣 岸田文雄
我が国としましては、先ほど申し上げたAIIBの問題点、これを明らかにしなければならないと思っています。現状において、慎重な立場は変わりません。

財務大臣と連携をしてきておりますし、引き続きしっかり意思疎通を図っていきたいと思っています。

[174]
維新の党 木内孝胤
これは国際金融の問題でございますので、やはり今の世界の国際金融の体制のリーダーであります米国との連携、情報共有、これも大切なことだと思っております。

アメリカもAIIBに対して非常に慎重な姿勢をとり続けてきたと思います。一方で、報道にありますとおり、ほかの国際金融機関と共同融資をするなど、そうした報道も出ております。

そこのアメリカとの情報共有あるいは連携体制について、状況をお聞かせください。

[175]
外務大臣 岸田文雄
アメリカにつきましてもさまざまな報道があることは承知をしています。例えば、シーツ米財務次官が本年1月に発表した寄稿文において、AIIBと既存の国際金融機関との協調融資の重要性について言及したということであります。

これ自体は新しいものではないとは思いますが、いずれにせよ米国政府からは、新たに設立される国際金融機関はガバナンス等に関する高い基準を満たす必要があるという米国政府の今日までの基本的な立場は全く変わっていない、こういった説明を受けていますし、我が国としてもそのように認識をしております。

[176]
維新の党 木内孝胤
変わっていないとおっしゃいますけれども、イギリスが参加してから、あるいは英仏独伊が参加すると決めてから、状況の変化というのはないんですか。ここ1週間で状況は大きく変化していると思います。その後、アメリカはスタンスを変えていないということでよろしいでしょうか。

[177]
外務大臣 岸田文雄
米国政府、基本的な立場は変わっていないと説明を受けていますし、そのように認識をしております。

[178]
維新の党 木内孝胤
そういう状況のようでございますので、アジアインフラ投資銀行についてはこの程度にしたいと思います。

先ほど小熊委員からもODAの問題等で話がございましたけれども、予算をふやしたといいながら、こちらの図、2枚目にございますとおり、日本のODA予算というのはこれだけ減り続けているんです。日本の国力が、経済の面でいえば、相対感でいえば非常に低下しているという厳しい現実がございます。

こういう厳しい現実がある中で、これだけ国際金融秩序を変化させるこういう事態において、しかも英独仏伊が参加表明をしている中で、私は、外務大臣は危機感がなさ過ぎると言わざるを得ません。これは、もしかしたら財務大臣が所管だから、外務大臣としては余り、自分の担当ではない、そのような問題意識があったのか。主管大臣は財務大臣というお考えということでよろしいんでしょうか。

[179]
外務大臣 岸田文雄
厳密な意味での主管については確認はしたいと思いますが、AIIBは、国際金融社会におきまして今大きな注目を集めています。そして、今、インフラ整備につきまして国際社会において大きな需要があるということ、これは事実であります。

こうした問題にかかわる問題でありますので、外務大臣としましても、財務大臣と緊密に連携をしながら対応しなければいけない課題だと認識をいたします。

[180]
維新の党 木内孝胤
創業メンバーになるかならないか、今月いっぱいがデッドラインのようでございます。私は、中に入って、きちんとガバナンスを強化したり、あるいは体制を日本に有利な形に持っていくというのも一つの選択肢だと思っております。

細かい中国サイドの情報は私どもは持ち合わせておりませんけれども、あと残された1週間の間に、日本政府としてどういうふうに対応するのか、今後、明確にしていただければとお願いをいたします。



[202]
公明党 岡本三成
続きまして、AIIB、アジアインフラ投資銀行について質問させていただきます。

先ほども、維新の木内委員の質問に大臣はお答えいただきましたが、私は、この1週間、アメリカのスタンスは急激に変わってきているというふうに認識をしています。

もともとは、1月、2月ぐらいには、例えばルー財務長官は、米国主導の多国間の枠組みに挑戦をしている許されない企画だというふうにおっしゃっていますし、ラッセル国務次官補は、高い水準のガバナンスと透明性が重要であり、それを満たされていないというふうにおっしゃっていましたが、先ほど大臣が言及をされたシーツ財務次官、これはレポートを出された後に、今週になりまして、3月22日、ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えていらっしゃいます。そのインタビューの中では、オバマ政権は、中国政府に対して、世銀やアジア開発銀行と共同でAIIBに出資をする提案もしたというふうに具体的に述べられています。

それに呼応するように、一昨日、23日には、アジア開銀の中尾総裁、北京を訪問されていまして、李首相と面談をしていらっしゃいます。その中で、AIIBの成立は地域の経済発展の需要に沿うもので、ADB、アジア開銀も協力を始めたいというふうにおっしゃっています。

私は、当然、この動きは、ADBと競合してはいけないということで、日本がアメリカと歩調を合わせながら、これまでさまざまなスタンスを慎重にはかってきたということは評価しますし、そうしなければいけなかったと思いますけれども、この1週間、急激に変わってきているアメリカのスタンス、世銀、ADBのスタンス、これは全て認識をされていて、同じ歩調で日本も修正している、行動をとっている、ちゃんと連携をとっているというふうに認識してよろしいんでしょうか。

[203]
外務大臣 岸田文雄
先ほども答弁させていただきましたが、AIIBにつきましては、日本政府として、公正なガバナンスの確立ができるか、あるいは、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより、他の債権者にも損害を与えることにならないか、こうした点を含めまして、慎重な検討が必要であると考えています。この立場は、今現在全く変わっておりません。

そして、アメリカの動き等について御指摘がありました。

先ほど申し上げましたように、報道等は承知しておりますが、米国政府に確認をいたしましたところ、政府として何か新たな提案を行ったという事実は全く認められておりません。新たに設立される国際金融機関はガバナンス等に関する高い基準を満たす必要がある、こうした米国の基本的な立場は全く変更はない、こういった説明を受けています。我が国としてもこのように承知をしております。

こうした米国としっかり連携をしながら対応を考えていきたいと思っています。

[204]
公明党 岡本三成
ちゃんと連携をとっていただいているのであれば安心をいたしますけれども、私は何を危惧しているかというと、イギリスやフランスやドイツが参加を表明した後に、実は日本が知らないところで一歩先に同盟国のアメリカも参加を表明して、最後に日本だけがラスト・マン・スタンディングになっていまして、後から最後の一人として参加を表明するというようなことが万々が一にあってしまいますと、その後の日本の発言力また日本企業が受ける恩恵等々に大きな支障を来すようなリスクがありますので、その平仄だけしっかり合わせていただきたいというふうに期待をしております。

私自身は、3月末までに参加をすれば、これは創業メンバーで、仕組みづくり、ガバナンスについても発言できます。これは来週の火曜日が期限ですから、まだアメリカも新しい動きをとる可能性はあると思っていますし、それに合わせて日本も1週間しっかりと検討して決断していただきたいんですけれども、その次に6月末のラウンドというのがあります。

このラウンドまでに参加するかしないかということで参加をすると、その時点ではオーディナリーメンバーになりますので、ちゃんとした活動の枠組みの中に入っていけるということもありますから、拙速に判断していただく必要はないんですけれども、特にアメリカとのコミュニケーションはそれこそ毎日毎日とっていただきながら、日本だけが置いてきぼりになるというようなことがないということをぜひお願いしたいと思います。

アメリカや日本が突きつけた質問に対して、中国もメンツがあるでしょうから、回答状は送ってきておりませんけれども、さまざまなメディアに対してその回答になるようなことを発言しています。例えば、ウォールストリート・ジャーナルには、中国が案件について拒否権を発動することはないというふうに発言をしたりとか、ガバナンスについても、さまざまな国際標準を、西側の国際標準とは違うかもしれないけれども、取り入れていくような準備もあるというふうに発言していますので、そういうことも収集をしながら最終的な判断をしていただきたいと思うんです。

私個人としては、早目に参加をして、そしてそのAIIBのルールづくりにも参加をして、ADBにも共同で入っていただいて、日本の企業のビジネスチャンスを最大化して、アジア地域のインフラの構築の発展に貢献をするような一翼を担うべきだというふうに思います。

大臣、先ほど既に一度答弁をされましたが、日本の目線に合って、米国とも歩調が合うようなことがあれば、決して否定することなく、参加についてもオープンに考えていく、そのつもりでいるということを最後御答弁いただければと思います。

[205]
外務大臣 岸田文雄
まず、この課題において米国との連携、意思疎通が重要だという御指摘は、そのとおりだと思います。ぜひ今後ともしっかり連携を図っていきたいと考えます。そして、今の御提案につきましても、貴重な御提案として参考にさせていただきたいと存じます。

いずれにしましても、先ほどAIIBの担当大臣は誰かという議論もありましたが、確認いたしましたら、主管は財務省だそうでありますが、外務省としましても、財務大臣としっかりと連携し、この問題に当たっていきたいと考えます。





平成27年03月25日 衆議院 経済産業委員会
[013]
民主党(民進党) 渡辺周
最後に大臣に伺いたいのですが、いわゆる中国主導で進められているアジアインフラ投資銀行、AIIB。このAIIBは、きょうの日経新聞にも出ておりましたけれども、日本サイドとしては、現在は参加することについては検討していないということであります。

既に、もう韓国あたりも、アメリカが配備しようとしている最新鋭の地上配備型迎撃システム、THAADと呼ばれるものです。北朝鮮のミサイルを高高度で撃ち落とすというミサイル配備と、しかし、中国が主導するアジアインフラ投資銀行の中で、将来的には北朝鮮のインフラ整備もその金でやってもらえば韓国としては助かるではないかというようなことが、実は韓国の新聞の中でも書かれています。板挟みになって、アメリカと中国の。

その上において、やはり北朝鮮のインフラ整備ということも、当然この投資銀行は検討をしていくと思うんです。そうしますと、我が国の北朝鮮に対するさまざまな制裁も含めて、果たしてどれだけ効果が将来あるのだろうかということをまた懸念するわけですけれども、改めて経済産業大臣に伺いますが、AIIBに対して我が国はどのような態度で臨むのか、そして将来にわたってどのような影響が、アジアの中で中国のプレゼンスが大きくなるということで、どのような御認識をお持ちなのか、ぜひ伺いたいと思います。

[014]
経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構) 宮沢洋一
AIIBにつきましては、これは財務省においていろいろ検討されていると思いますけれども、きのうも記者会見で私も聞かれました。

財務省の対応というのは、まずAIIB自体のガバナンスがしっかりしているかどうか、また、ちゃんと融資の審査ができて、それ以外の債権国に損害が生じないようなしっかりとした融資の審査ができるかというところをまず見きわめなければいけないけれども、残念ながら、今の時点では、両方とも、ガバナンスがある、また融資審査能力がしっかりしているというような見きわめはできていないということが今の状況でございまして、慎重に対応されているということだと思っております。

一方で、今後、中国が、北朝鮮云々というところまでは私は存じ上げませんけれども、やはり我々の対応としましては、アジア開発銀行というものを日本が主導してつくったわけでございますから、これは、しっかりとアジアの国の信頼を得て、今後、これまで以上にアジアの開発また発展のために寄与していくということが、我々にとってもアメリカにとっても大事なことだと思っております。

[015]
民主党(民進党) 渡辺周
AIIBの創設メンバーの中には、G7のうち、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアという4カ国。つまり、通貨であればユーロとポンド、この世界の基軸通貨を持つ国が創設メンバーになる。

そこで、質問時間がなくなりましたのでお尋ねしませんが、中国の影響力がどうなっていくかということについて、これは当然、産業界からも大変な要請があると思います。その上でぜひ御判断をするように政府の方では取り組んでいただきたい、我が国の国益に資するような形で、いろいろな形で、どうあるべきかということを検討していただきたいと思います。

時間が来たので、終わります。





平成27年03月26日 衆議院 安全保障委員会
[028]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
残りの時間、AIIB、いわゆるアジアインフラ投資銀行について質問したいと思っております。

報道は幾つかなされておりますけれども、私は、この間のこのAIIBの構想をめぐる中国の動きというのは外交的に極めてやはり巧みだったなというふうに思います。

このアジアインフラ投資銀行の動きについて、先日、国会での答弁で、麻生大臣は、まず、中国からのアプローチに関して、財務官とか国際局長のレベルで話し合いがあったとの趣旨を述べていますけれども、改めて確認しますが、これは事実なのか。中国側からどのような形で参加要請を受けたのか。改めて、事実だけ端的に教えてください。

[029]
政府参考人(財務省国際局長) 浅川雅嗣
お答え申し上げます。

アジアインフラ投資銀行に関する中国とのやりとりでございますが、具体的な中身やタイミングに関しましては、相手国政府があることなので差し控えさせていただきたいと思いますが、ただし、先日、財務大臣から答弁申し上げたように、この銀行、AIIBに関しましては、さまざまなレベルで、それからさまざまなタイミングを捉えて、中国側とやりとりを行っていることは事実でございます。

[030]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
参加要請はありましたか。

[031]
政府参考人(財務省国際局長) 浅川雅嗣
中国側から、本銀行に関しての意義を、日本側に詳細な説明がございました。

[032]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
詳細説明があっただけで、要請については、ではなかったという理解でよろしいですね。

[033]
政府参考人(財務省国際局長) 浅川雅嗣
正式な要請かどうかは別にいたしまして、中国側としては、本銀行に対する意義を日本側に説明して、日本側に理解を求めたということでございます。

[034]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
これは麻生大臣の3月24日の財金委員会での答弁なんですが、参加の要請があったのは中国からでありますというふうに答えているんですけれども、では、これは、大臣の答弁と今お答えになったことは違うということでよろしいですか。

[035]
政府参考人(財務省国際局長) 浅川雅嗣
財務省同士の議論の中で中国側から積極的なアプローチがあったことは事実でございます。それが正式なものだったかどうかは、済みません、私としては、財務省同士のやりとりの中でそういう話があったということ以上には把握してございません。

[036]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
何か曖昧でよくわからないですね。

外務大臣にお伺いしますけれども、21日に行われた日中韓の3カ国の外務大臣会合の場で、このAIIBの話は出たんでしょうか。中国側から、何らかの説明及び参加要請はございましたか。

[037]
外務大臣 岸田文雄
21日に行われました日中韓外相会議におきまして、AIIBについて言及はありました。そして、私の方から、日本側の考え方、立場について説明をさせていただきました。

[038]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
大変慎重な姿勢だというふうに、いろいろ報道ぶりを見ていると理解しているんですけれども、3月末の期限の中では、日本としては今月末までには参加表明はしないという理解でよろしいですか。

[039]
外務大臣 岸田文雄
AIIBに対する我が国の立場ですが、公正なガバナンスを確立できるのか、あるいは、債務の持続可能性を無視した貸し付けを行うことにより他の債権者にも被害を与えることにならないか、こういった点を含め、慎重な検討が必要であるというのが我が国の立場であり、この慎重な立場は今現在全く変わっておりません。

[040]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
外務省にもお聞きしましたけれども、単なる金融のどうのこうのという話ではなくて、安全保障も含めた、それはやはり、アジアの秩序に対する、どちらがどうイニシアチブをとるのかという、私は、ある種のこれは挑戦だと思います。特に、戦後まさに今70年ですけれども、いわゆるブレトンウッズ体制というようなもの、あるいはワシントン・コンセンサス、そういった秩序に対する、私は、これは非常に無視しがたい大きな流れを中国がつくろうとしていることは事実だと思いますね。

その意味で、もう時間がないので最後にお伺いしますが、アメリカ側の意向であります。アメリカについては、極めて慎重だというふうに理解しておりますけれども、一方で、少し柔軟にそれを捉えていこうというような発言もあるやに聞いておりますけれども、日本として、アメリカがAIIBに対してどのような方針で臨んでいるのか、どのように認識しているのか、日本の、アメリカ側の認識についての理解、これを、大臣お答えいただけますか。

[041]
外務大臣 岸田文雄
米国政府からは、この新たに設立される国際金融機関はガバナンス等に関する高い基準を満たす必要がある、こういった米国の基本的立場を説明を受けておりますが、この米国の基本的な立場は今現在全く変わっていないという説明を受けており、我が国としましても、そのように受けとめております。

[042]
民主党(民進党) 玉木雄一郎
終わりますけれども、知らないうちに、アメリカが慎重だろうと思って慎重にやっていたら、米中で急に結びついて、日本だけが知らなくて、かつてのニクソン・ショックみたいなことにならないようにということ。

もう一つ、お願いは、財務当局と外務省の連携をもっと強めてほしいんです。これは金融の話だから財務省といって、我が国の縦割りを、安全保障とか世界の秩序の変化を捉えるときに国内的な縦割りを持ち込まないで、ぜひ一層の連携をとって、しっかりとこの新しい動きに対応していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

ありがとうございました。





27年03月27日 参議院 予算委員会
[256]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 中野正志
ところで、この頃ニュース、出てきますのが、中国主導で設立準備中のアジアインフラ投資銀行の問題であります。参加について、政府は6月以降に判断を先送りしたと。だとすれば、私はその慎重な姿勢は高く評価をしたいと思っております。

この銀行、御存じのとおり資本金は1000億ドルなんだそうでありまして、出資比率は半分程度が中国だ、本部は北京だ、ここまで一国の影響力が強くなるというのはほかの国際的な金融機関では例はないよな、そこへイギリスやらドイツやらフランス、イタリアも参加をするというんでありますから、まあ本当に本当になという残念な気持ちでいっぱいでありますけれども、しかし、やっぱり私たちの日本は、米国、アメリカ合衆国と連携をしっかり密にしながら対抗戦略をしっかり練っていくのでなければならないなということを感じるわけであります。

どうあれ、どうもこのアジアインフラ投資銀行、いまだいろいろ不透明だよな。組織の統治の問題あるいは融資基準の問題、その他挙げればいろいろ出てくるわけでありますけれども、私たちはやっぱり、有識者のお話を聞いてみますと、国際通貨基金、いわゆるIMFによる人民元の国際通貨認定をされる、このことは私たちの立場からすれば阻止していかなければならない。そうでないと、中国が、国際通貨ともなれば元をどんどん刷りまして、それで先端技術、いわゆる兵器を何ぼでも買うことができる。そうすることで、結果的にはアジアのみならず世界の安全保障のバランスを壊したり、経済面でまたいろいろな問題も出てくるようになる。

そんなところに、実はアジア開発銀行の中尾総裁、アジア開発銀行とこのアジアインフラ投資銀行、協調融資ができる関係もあるよねと一言お話をされたようであります。ある一部では、確かに私たち、年間にアジアのインフラ7300億ドルだというのでありまして、アジア開発銀行はとてもとてもそんな、3桁ぐらいの融資はできても4桁というのはとても無理だということであれば、一部は理解できるのかな。

そんな中で、安倍総理に是非、6月末に最終的な参加の結論、参加、不参加の結論を出すとのことでありますけれども、何が参加、不参加の基準になるのか、日本への参加を促す声もありますし、駄目だという声もありますけれども、是非総理としてのお考えをお伺いをしておきたいと思います。

[257]
内閣総理大臣 安倍晋三
まさにアジアは今後大きく成長していくわけでございまして、成長をしていくアジアにおいてインフラを整備をしていく、このインフラ需要は相当大きなものになっていくことが予想されるわけでございます。この予想されるインフラ需要に対してどのように資金を手当てをしていくか、これも大きな課題でございます。

その中におきまして、IMF、あるいはまた世銀、そしてアジ銀、アジア開発銀行がございます。よく言われることは、なかなかうるさいことを言われて使いにくいじゃないかという意見もあるわけでございます。しかし、そこで、例えばアジ銀におきましては、大切にしているのは、もちろんガバナンスもそうでありますが、インフラの量と同時に質も大切でありまして、環境に十分に配慮されているものなのかどうか、そして持続可能なものになっていくのかどうか、効果はどうか、そして、あるいはまた腐敗の観点から大丈夫か、そうした様々な点からしっかりと理事会がそうしたものを見ていく仕組みが必要ですねと。

これが基本的に世界の常識になるわけでございまして、AIIBについては、日本政府としてはこれまでも明らかにしているとおり、公正なガバナンスを確立できるのか、債務の持続可能性を無視した貸付けを行うことにより他の債権者にも損害を与えることにならないかといった点を含め、慎重な検討が必要であると考えています。

中国に対しては、これまでも累次にわたりこうした点について問題提起をしていますが、残念ながら明確な説明は得られていないわけでございます。

アジ銀の中尾総裁の協調融資という発言が出ておりましたが、当然、ADBが協調融資する場合はADBの基準をクリアしていなければならないというのは、これは大前提でございます。ADBの基準にクリアしているものであれば、それは当然そういうことは問題ないんだろうと私も思うところでございますが、政府としては、引き続き関係国と連携をしながら、中国側に対して今言ったようなことを働きかけていく考えでございます。





平成27年03月31日 衆議院 財務金融委員会
[027]
民主党(民進党) 鈴木克昌
そこで、お伺いをするんですが、中国が、アジアインフラ投資銀行、いわゆるAIIBを提唱されております。きのうまで40カ国というふうに思っておったんですが、きょうの報道では44カ国ということで、続々と参加を表明されておるようであります。

麻生大臣は、AIIBについては、公正なガバナンスの確保、特に理事会がきちんと個別案件を審査、承認すること、債務の持続可能性や環境、社会に対する影響への配慮が確保されていることなどが重要であり、AIIBはこれらが明確ではないということで、我が国の参加については慎重な立場である、このように伺っておるわけであります。

しかしながら、G7諸国では英国、ドイツ、フランス、イタリアが参加を表明し、カナダも参加を検討しているとの報道がなされておるわけでありまして、慎重な立場であるのは我が国と米国の2カ国しかないという状況ではないのかなというふうに思います。さらに、韓国やオーストラリアといった比較的我が国に近い立場である国も、相次いでAIIBに参加を表明しておるわけであります。

政府は、日本再興戦略において、2020年にインフラシステム輸出戦略で掲げた約30兆円のインフラシステムの受注目標を達成するというふうにされておるわけであります。そして、アジアでは鉄道や道路などインフラ投資の需要が10年で総額8兆ドルに上るとの試算もあるというふうに報道されておるわけであります。

AIIBにガバナンスの問題等があるのは確かかもしれませんけれども、今後のアジア圏のインフラの需要を考えると、経済界からも、日本企業が競争上不利にならないように対応してもらいたい、こういう話もあるわけでありまして、経営者としての御経験もある麻生大臣のお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。

[028]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
AIIB、アジアン・インフラストラクチャー・インベストメント・バンクを略したAIIBという言葉が最近よく聞かれるようになり始めました。

これは、インフラストラクチャーの整備というものがアジア地域で急激に伸びているのに対して、世界銀行、IMF、アジア開発銀行等々の資金というもの、それに対して需要の方がはるかに上回っておるという実態があります。

確かにそういう傾向はありますので、私どもとしてはそれに対応していかないかぬというんですが、これはこっちへ金を積み上げていかないかぬわけですけれども、その金を積み上げるに当たりましては、各国が出資せないかぬということになります。したがって、出資といったものになりますと、出資比率というものは発言権に非常にいろいろ影響しますので、各国はそれをいろいろな形で割り振って、長いこときちっとしたものができ上がっておるという実態があります。

傍ら、インフラストラクチャーの急激な要望に対して応えようではないかというので、今そこに中国が出てきたということなんだと思います。

私、中国がなさるのは、それなりの御自分なりの御意見がおありなんでしょうから、やられるのは結構ですが、間違えないでもらいたいのは、金を貸すということは、金を返してもらうんですよね、銀行なんだから。これは単にODAで上げますという話じゃなくて、融資、もしくはそちらに対して金を貸すということになりますから、金を返してもらう。

そうすると、既にIMFとか世界銀行とかADBとかは、いろいろな国に貸している金があります。この国だったらこのインフラに関して100億、この国に関しては80億、こっちに関しては150億だといって、いろいろな物件、道路、鉄道、ダム、電気、いろいろあるんですけれども、そういったものに貸してあるのが既にあります。それを経済成長に合わせて今返還しておる。日本も昭和39年に新幹線を世界銀行から金を借りてつくったわけですから、あれと同じことです。しかし、日本は約定どおりきっちり返しましたから。しかし、これらの国々は、約定どおりに返すための計画はできますかということを見ますと、なかなかそのとおりできていないというこれまでの例がありますので、我々としては、何回となくそれをチャラにした経験というのが各国皆あります。

私どもとしてはそういった過去の例がありますので、失礼ですが、今需要があることははっきりしていますが、それを満たしたときにはちゃんとその金が戻ってくることがきちんとしているか否かを審査する、検査する、ちゃんと融資の資格審査という銀行でも皆やっておられるのと同じことを、このAIIBはしてくれる技術、ガバナンス、能力がありますか、おたく、それがちゃんとできるんでしょうね、かつそれは理事会でちゃんと審議していただけるんでしょうねということを我々は聞いております。

今に至るもその答えは返ってきておりません。まだ返事が来ていない。きょうが期限だというんですけれども、期限をつけているのはこっちの方で、ぜひ教えてもらいたいという話を申し上げておりますけれども、一向に返事は返ってきません。

我々も、アメリカも同様ですけれども、それはきちんとそういうガバナンスができるというのであればいいですよと。しかし、できないとどういうことになるかというと、取りっぱぐれるのがAIIBだけならいいですよ。しかし、これまで金を貸している国も、全部の国には返らないけれども、こっちはちゃんと優先的に返してくれます、後から入ってきたこっちは後ですよということができますか。みんな一緒だなんと言われたら、割を食うのは最初に金を貸した方で、きちっとした融資計画を立ててやっていたところが後から来られたところにがちゃがちゃにされたらとてもたまらぬというのが世界銀行、IMF、ADBの立場でしょうから。

みんな一緒に計画をして一緒にやってくれるというガバナンスがあればそれなりのものはできるんだと思いますが、そういったお話は今に至るも聞こえてきません。きちっとそこらのことをしていただければ我々としても考えるということであって、私どもは、アジアですから影響を最も受けますので、出資も多分一番出させられる可能性がありますから、出させられておいて取りっぱぐれましたといったら、それは一番割を食う、税金を預かっているこっちとしてはなかなかそんな簡単には応じられぬということをずっと申し上げておる。

これは同じことしか申し上げておりませんので、こんなに余り長くしゃべることもないんですけれども、初めての御質問でしたので、私にしては珍しく丁寧に御返答申し上げました。



[059]
維新の党 丸山穂高
大臣、午前中に鈴木委員からもありましたAIIBのお話を伺っていきたいんですけれども、きょうのお話で、もう初期の加入国には入らないというお話がありました。一方で、6月までに恐らく枠組みを決めていくだろうと中国の方が言っていて、合意していく。報道によると、年内までに日本も来ないかなみたいなニュアンスの報道も、本当かどうかは別にして、あるという意味で、このあたり、非常に国際的な駆け引きの舞台になっているなというふうに感じます。

しかし、本当に中国という国はしたたかで、国際社会の中で戦略を描いているんだなというのを強く感じます。ブレトンウッズ体制、70年以上続いているこの体制を崩していこうとしている中国がいて、その中で米国、オバマ政権が今なかなか外交上うまくいっていないなというのを感じる中で、この日本という国が、いかにこの国を守っていくために、そして国益を追求するためにやっていくかという点で、中国に負けてはいけませんし、かといって国益を損ねてはいけないという非常に難しい中でかじ取りをされていることに対して、本当に尊敬をさせていただきますし、絶対にこの国をいい方向に導いていただきたいんです。

一方で、きちんと御説明いただかないと、今の感じだと、特にガバナンスの面でAIIBが不透明だから参加しないというのであれば、例えば一部の市場の方々からは、投資に関して、ほかの国からおくれをとるんじゃないかと。また、もう1つお伺いしたいのは、ADBの相対的、戦略的位置づけも下がってしまうんじゃないかとか、そのあたり、懸念の声があると思うんです。

まず、期限について、6月までにある一定の方向性を出すという、財務大臣、お考えでいいのかということが1つ。そして次に、中国を含めた国際社会の中で国益をどうやって出していくのかというところについてお伺いしたいんです。

[060]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
まず、何で6月なんだかよくわからないんですけれども、本当は3月、きょうまでですから。だから、きょうまでに返事していないから、もう終わりよ、その話に関しては。

だけれども、それでどうかなったかといったら、どうにもならないわけだから。では、次は何とかといって、次は6月ときて、そのときがだめだったらまた9月と、大体そういった話でしょう、こういう話というのは。そういうものがわかっている方じゃないと、何となく焦って、あしたにも日本がパンクするんじゃないかなんということを言って、全然関係ないですよ、そんなものは。

別にこっちは中国からお金を借りているわけでもありませんので、今のままで別に、私どもが言っているのはけさほど鈴木克昌先生に御説明したとおりなので、私どもとしてのスタンスはずっと変わっていることはありません。

少なくとも、金を貸すというのは、ADBと一緒になって金を貸すというのであれば、それはADBの融資の基準をまねるということですから、それなりにちゃんと返ってくる当てのあるところにある程度融資をする、また返せるように指導もするということをADBとかIMFとか世界銀行というのはみんなやり切るところですけれども、そういったことができていない。少なくとも未経験。

国内の中においても、バブルになってみたりいろいろしている真っ最中ですから。ましてや海外、東南アジアというところで金を貸す、インフラで貸す。融資ですから、どうして返せるのという、ちゃんとその返済ができるという条件でないと金は貸せないというのは、これを審査する能力が開かれていないと、日本も出資してといって出資させられて、どこだか、理事会でもわけもわからず金を取られて、はい、なくなりましたと言われたって、こっちは税金ですからそんな簡単にはいかないんですよという話を私どもはしているだけですから、きちんと話をしていくということだと思いますけれども。

[061]
維新の党 丸山穂高
本当にしっかりやっていただけると信じています。本当に、いわゆる戦後70年の国際金融の枠組みを変えようとしている流れの中で、この国がどうあるべきかということでございます。

確認なんですけれども、今の大臣の御発言であれば、6月で区切ることもなければ、年内で区切るという、時間を区切って交渉を焦る必要はないというお考えでよろしいんですよね。それをお聞きしたかったんです。その必要はないと思うんですけれども。

[062]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
こういうのは交渉事ですから、どうなってくるかよくわかりませんけれども、例えばアメリカも一緒にということになると、これは出資するわけですよ。

そうすると、アメリカは今、IMFの増資にも、5年前に決まっているんですよ、5年前にみんなで決めた、いまだに金が払えない。アメリカは議会が拒否なんですよ。国際連盟を自分でつくっておいて国際連盟に自分で入らなかった国ですから別に驚くことはないんですけれども、今回もといったって、TPPの話ばかり日本では出るけれども、TPAという、大統領にちゃんと交渉権を議会が渡してくれない限りは、間違いなくTPPなんか、サインしたってそのとおりにならないということだって十分にある国ですから。

そういった意味では、今回も、少なくともちゃんと出資をすると決めても、出資をするという話も、IMFにもまだできないのにAIIBに出すかねと言われたら、なかなか議会はそんな簡単なものじゃなくて、今、共和党の方が強いアメリカでそれはないとなると、これは、アメリカを入れてもらいたい、日本に入ってもらいたいといえば、ずっと先に延びていく可能性というのは十分にあると思いますけれどもね。

[063]
維新の党 丸山穂高
この話はしばらくずっと、財金委だけじゃなくていろいろなところでされると思いますので、ここで全てをお聞きすることはできないと思っているんですけれども。

申し上げたいことは、最初からお話ししていることでございまして、つまり、アメリカも、議会のせいにしてはしごを外す可能性もあるということは大臣も重々御認識されている。それが国際社会の交渉であって、海千山千の大臣は一番わかっていらっしゃると思うんですけれども、これをきちんと国民の方に御説明できるようにお願いしていきたいですし、この委員会でもその話は伺っていきたいと思います。

最後、今回の中国の国際社会での動きについての大臣の御感想を伺って、終わりにしたいと思います。

[064]
財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎
アジア開銀は日本、IMFはヨーロッパ、世界銀行はアメリカで大体リードされているというところに、その一角に中国もというので、なかなかこれまで努力をしてきたんですけれども、全然そういったわけにいかなくなっちゃって、おたく、自分のシャドーバンキングの方の整理もできないで何を言っているんですかというような話になっちゃいますからね、どうしたって。みんな言わないだけで、そうみんな思っているわけですから。

そうすると、もう自分でやりますという話に多分なっているんだと思いますよ。何せ金は、外貨準備高だけは、我々、外からよく数字が見えませんけれども、相当あるということを前提にしてやっておられるんだと思いますので、その金を貸してさらに利益をというのは、金融業をなりわいとしようと思えば当然考えられるんでしょうけれども、それは世界から見て需要があるけれども、その需要のあるところはちゃんと返せるというように、少しずつ少しずついかないと、こういった形で急成長はしませんから、こういうものは。

だから、そういったようなことを考えて、ほかの国はインフラというのを少しずつ少しずつやって、間違いなくインドは道路なんかきれいによくなってきまして、よくなってきているんですよ。でも、さらにという話になったときにいきなりそこにぼんと100億ドルと言われても、それを返せますかという話になるんだと思いますので、やはり金を貸すというのは、ちゃんと返せる人に金を貸すようにしていかないとどうにもならぬということが基本的にわかっているのかなという感じはしますけれどもね。



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