民主党ネクスト法務大臣 平岡秀夫「加害者にも事情がある」

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平成23年10月25日 衆議院 法務委員会
[140]
自由民主党 平沢勝栄
今、柴山議員からいろいろ質問がありましたけれども、ダブりますけれども、大臣にお聞きしたいと思います。

最初に、滋賀県大津で2001年に少年がリンチで殺害されたという、本当に痛ましい、むごい、悲しい事件なんですけれども、この事件について、4年前、大臣はテレビに出られて被害者のお母さんと一緒になられたわけです。

この事件について簡単に見てみますと、余りにもむごくて、残酷で、読むにたえないような事件なんです。

被害者の方は、交通事故で体がちょっと不自由な高校生なんです。それで、定時制に通っていた。ところが、勉強して、今度全日制に移ることになった。それで、非常に喜んでいたと。そこで、仲間の2人が、では全日制に受かったんだからお祝いの会をしてやるというのでその被害者の方を呼び出して、それからどういうことをしたかというと、要するに、障害者のくせに全日制に行くのは生意気だと言って、それから、顔、頭、足、腹、所構わず無抵抗の被害者を70回以上殴った。それで、被害者のあごは外れ、顔はたちまち原形をとどめないほど膨れ上がった。意識を失いかけた被害者をこの2人の少年は高さ60センチほどもあるコンクリート台からプロレス技のバックドロップで頭から地面にたたきつけた。さらに、別の場所に移動し、2回バックドロップを繰り返した。失禁して泡を噴いた被害者をさらに1メートルほどの高さからコンクリートに頭を打ちつけた。そして、障害者だから助ける価値がないとか、こういうことをいろいろ言っていた。そう言って、この2人の少年は実際に被害者に水をぶっかけて、そして、この暴行は1時間半も続いたというんです。むごたらしいったらありゃしない。

その被害者のお母さんと大臣はテレビ番組で一緒になられました。被害者のお母さんに何と言われたんですか。ここでもう一回言ってください。

[141]
法務大臣 平岡秀夫
今、平沢委員の方から、その事件の詳細についてお話がございました。

実は、あのとき、番組のタイトルは、少年法を廃止すべしということのマニフェストに賛成か反対かということの議論をする、討論をする、そういう番組だったんです。それで、私は、当然、少年法の重要性というものがありましたので、少年法は維持すべしであるという立場に立って議論をさせていただきました。

ただ、そのときに、平沢委員が今御指摘になった事件というものについては全く予備情報は持っておりませんでしたし、まさにその被害者のお母さんが出てこられることも、我々には一切何も、事前の通知もありませんでした。

番組がそろそろ終わりのころになってきて出てこられて、息子さんが本当にひどい目に遭ったということについてお話をされ、そして、その状況について、少年法は廃止すべしだというふうに言われたものですから、私としては、少年法は廃止するということではなくて、やはり可塑性に富む少年の更生とかなんとかが必要だというつもりで申し上げました。

今の、何と言ったんですかということについては、私も手元にちょっと持っておりますので、関係箇所だけですけれども、改めて読み上げたいというふうに思います。

むしろそういう悪いことをした子供たちは、それなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけれどもと私が言ったところで、お母さんが、事情って何ですかという問いかけがありまして、いやいや、事情というのは、要するに彼らがどういう環境の中で育ってきたとか、どういうふうにその大人とか親とかの関係であったとか、まあ、いろいろなことがあったわけで、それはとにかくおいておいて、その加害者であった子供たちにどうなってもらいたいのか、その子供たちが自分を反省し、これからの人生を歩んでくれるということについては、そういうようなことというのはもういいから、とにかく死の恐怖を味わわせてやりたいということですかというふうに言いました。

ただ、この場合の死の恐怖を味わわせてやりたいという言葉は、これは私が使った言葉ではないんです。私も、あえて申し上げれば、お母さんが言われたものですから、本当にそういう気持ちでいいんでしょうかということを私として申し上げたということでございます。

[142]
自由民主党 平沢勝栄
ちょっと大臣の答弁、長いから、私の聞いたことだけ簡潔に答えてください。

大臣は、このむごたらしい犯罪の被害者のお母さんに、犯人を擁護するような発言をしているんですよ、犯罪を犯した少年にはそれなりの事情があったでしょうと。それは、事情はいろいろあるでしょう。だけれども、こんな犯罪は絶対許せないわけですよ。にもかかわらず、犯罪の被害者じゃなくて、加害者に同情するような発言をされたんじゃないですか。もう一回答えてください。

[143]
法務大臣 平岡秀夫
その私の発言については、当時、被害者の御遺族への配慮に欠けていた部分があったということで、おわびの気持ちを明らかにさせていただいたところでございますけれども、あくまでも、少年法の議論をしている中でございましたので、加害者だった少年たちをどう取り扱っていくべきなのか、この議論をしていたというふうに私としては認識をしておるところでございます。

[144]
自由民主党 平沢勝栄
今、被害者のお母さんにおわびの気持ちを示したというような話がありましたけれども、では、具体的にどういう形でおわびをされたんですか。

[145]
法務大臣 平岡秀夫
当時、私のおわびに関する文書をホームページに掲載させていただくとともに、お母さんに対して電話をさせていただいて、私の気持ちを伝えさせていただいたということでございます。

[146]
自由民主党 平沢勝栄
被害者のお母さん、きのうもちょっと電話でいろいろ話しましたけれども、まだ大臣にえらい怒っていますよ。きのう、私は、被害者のお母さんと話して、これを質問してもいいですかと、もういろいろなお話を伺いました。これを質問してもいいですかと言ったら、怒っているということを言ってもいいですかと言ったら、怒っているんですから、言ってもらっても結構ですと。だから、言うんです。大臣、まだ、被害者のお母さんは大臣に対して怒っているんですよ。まだ、あの発言に対する怒りを忘れていないんですよ。

大臣のこのホームページ、ここにありますよ。確かに、配慮に欠いた質問をしたことを申しわけなく思い、深くおわび申し上げたいと思います、こう言っています。

大臣は、ホームページで先におわびしたんでしょう。要するに、このテレビが流れて、世論が沸騰して、ネットが沸騰したものだから、大臣は、まずホームページでおわびして、それから大臣は新幹線の中から電話したんじゃないですか。そうじゃないですか。

[147]
法務大臣 平岡秀夫
当時の記憶をたどってみますと、連絡先というのは、当然、個人情報でございますからなかなか教えてもらえないという状況の中で、ようやく携帯電話番号というものを把握できたということでございましたので、その時点で電話をかけさせていただいたと。

確かに私、新幹線の中で話した記憶はありますけれども、その前にも何度か電話をさせていただいていて、なかなか通じなかったというような記憶もございます。

[148]
自由民主党 平沢勝栄
もう一回確認しますけれども、被害者のお母さんの方にまずはおわびすべきじゃないですか、ホームページに載せる前に。順番としてはどっちが先だったんですか。

[149]
法務大臣 平岡秀夫
今、平沢委員が言われたように、順番として、そういう順番であるべきだったのかもしれません。ただ、先ほど申し上げたように、私としても、何度か電話を差し上げたけれども通じなかったという事情もあったので、その辺の前後関係がどのようであったのかについては定かな記憶はございません。

[150]
自由民主党 平沢勝栄
これは被害者のお母さんの心をいたく傷つけただけじゃないんです。もちろん今も傷つけているんですよ、被害者のお母さんを。亡くなられた少年、少年の人間性、それから尊厳を著しく冒涜していると私は思いますよ。

そこで大臣、大臣はお母さんに電話されたらしい。だけれども、その亡くなられた少年に対してはどういうおわびを示されたんですか。

[151]
法務大臣 平岡秀夫
亡くなられた少年を冒涜しているという表現は、ちょっと私には納得がいきません。私は全くそんな気持ちは持っておりません。

ただ、繰り返しになりますけれども、そのときの議論というのは、少年法を廃止するか廃止しないかという問題についての議論でございましたので、私は加害者の少年の問題について議論をさせていただいたというふうに考えております。

[152]
自由民主党 平沢勝栄
被害者、亡くなった少年の人間性、尊厳を冒涜していないですかということを言っているんです。

あなたは、テレビで被害者のお母さんに向かって何と言ったんですか。加害者にも、こんなむごたらしい犯罪を犯した加害者にもそれなりの事情があったんだと思いますと、むしろ、そのむごたらしい犯罪、犯行を是認するようなことを言っておいて、それでお母さんは今でも怒っている。にもかかわらず、あなたは何ですか。被害者、亡くなられた少年、悔しいでしょう、残念でしょう、その被害者に対してはどうやっておわびするんですか。

[153]
法務大臣 平岡秀夫
私が被害者の少年を冒涜しているとか、さっきも言いましたけれども、当時、我々はこの事件については、事前には全く何も知らされていなかったんです。平沢委員が御指摘になったような事実関係も全く示されない状態でありました。まさに我々が議論していたのは、加害者の少年に対してどう向き合うべきなのかという議論をしている中でありましたので、私は少年法の問題として発言をさせていただいたというふうに思っています。

被害者の少年を冒涜するという気持ちはそのときも今も含めて全くございませんし、私は、委員の御指摘についてはちょっと、どうしてそういう御指摘になるのかということについてはわからないところがございます。

[154]
自由民主党 平沢勝栄
この番組に一緒に出ておられた大村秀章さん、今愛知県の知事になられていますけれども、あの方は直接被害者のお母さんの感情を傷つけたわけでも何でもない。だけれども、この話を聞いて、余りにもむごたらしい犯罪だ、被害者の少年がかわいそうだということで、大村秀章さんはその後、大津まで行って、お線香を上げてきたらしいんですよ。

大臣は何をされたかと聞いているんです。同席していたでしょう、大村さんもそこの場に。その大村さんは、被害者のお母さんはともかく、これだけむごたらしい犯罪で少年がかわいそうだということで、亡くなった少年がかわいそうだということで、被害者の御自宅にお伺いして、お線香を上げに行ってこられているんです。

被害者のお母さんを傷つけた、そして亡くなられた被害者も無念な思いでしょう。その被害者、そしてお母さんに対して大臣は、何ですか、新幹線から電話一本かけた、それで終わりなんですか。

[155]
法務大臣 平岡秀夫
具体的にどういう行動をとったかという点について言えば、被害者の少年に対して私が特に何かしたということはございません。

ただ、先ほど、電話一本でおしまいかということについて言えば、私は、先ほど申し上げたように、被害者の御遺族への配慮に欠けていた部分があるということについては十分に誠意を込めておわびをさせていただいたというふうに思っております。

なお、つけ加えさせていただくと、この事件については、実は少年法に詳しい弁護士の方も出ておられていろいろ発言をされておられたんですけれども、この事件がこの番組で取り上げられるということは一切事前の情報がなかったということで、その弁護士の方は、その番組に出ていたということは、名前も出さないでほしい、自分の発言も放映しないでほしいという形で申し入れたというようなことがございまして、私としても、この事件がもし番組の中で取り上げられるのであれば事前に十分に勉強していかなければならなかったと思います。

実は、お母さんもその事件について説明する資料を持ってこられたんですね。それで、出演者の方々に事前にこれをお渡ししてほしいというふうに依頼されたんですけれども、テレビ局の制作担当が、これは事前には渡すことはできない、終わった後に渡しますからというふうに言われたそうです。しかし、終わった後にも私たちにはその資料は一切渡されなかったというようなこともございました。そういう状況の中で起こった話であるということも御理解をいただきたいというふうに思います。(平沢委員「私の質問に答えてください。ちょっと無駄が多過ぎる。ちょっと委員長、注意してください。ちょっと余計なことを言い過ぎる。ちょっと注意して」と呼ぶ)

[156]
委員長 小林興起
では、大臣、改めて短く簡潔に今の平沢さんの質問に対して。

もう一度、平沢さん。

[157]
自由民主党 平沢勝栄
もう一回言いますよ。

被害者のお母さん、本当にしっかりした普通のお母さんですよ。今でも怒っているんですよ、大臣に。大臣、大臣になられたら、そんな可視化とかなんとかという前に、被害者のお母さんのところに行かれて、そして謝ってお線香を上げてこられるのがまず先じゃないですか、法務大臣として。まだ怒っておられるんですよ、あの大臣の発言で。大臣、どうですか、行かれるおつもりはないですか。

今、法務大臣としていろいろやっているでしょう。しかし、政治に最も大事なのは何なんですか。情とか人間性じゃないですか。理屈とか理論とか、何かさっきも外国の死刑制度がどうのこうのとかと理屈をいろいろ言っていましたけれども、そんなことじゃなくて、政治に最も重要なのは情とか人間性じゃないですか。大臣にはそれがないんですよ。だったらば、滋賀県に行かれて、そして大村秀章さんのようにお線香を上げてこられたらどうですか。そして、お母さんにおわびしてこられたらどうですか。もう一回答えてください。

[158]
法務大臣 平岡秀夫
お母さんの方がお許しをいただけるのであれば、平沢委員の御指摘になったように、しっかりとしたおわびを申し上げてきたいというふうに思います。

[159]
自由民主党 平沢勝栄
では、大臣、滋賀県大津まで行かれる、そしてちゃんとお母さんに、そして亡くなられた被害者の墓前におわびされるということでよろしいですね。もう一回確認させてください。

[160]
法務大臣 平岡秀夫
お母さんの方がお許しをいただけるのであれば、そうしたいというふうに思います。

[161]
自由民主党 平沢勝栄
お母さんはやはり怒っておられますから、私自身もそれは、大臣をお母さんが受け入れられるかどうかというのはわかりません。わかりませんけれども、やはり法務大臣として一番大事じゃないですか。やはり、そうした傷ついた、これだけむごたらしい被害を受けた少年のお母さん、まだ傷ついておられる。そして、大臣の発言でまだ傷ついておられる。そのお母さんにまずはきちんとおわびして、そして亡くなられた少年にぜひおわびしていただきたいなと思います。



[243]
自由民主党 稲田朋美
それで、大臣は一体、番組に出られた大臣の発言の中でどこが被害者のお母さんに対して配慮に欠けていて、どこをおわびしよう、そのように認識をされてお母さんのところへ行かれるんですか。

[244]
法務大臣 平岡秀夫
私なりに考えてみますと、一つは、加害者の子供たちにもいろいろな事情があってというふうに申し上げたところが、被害者の方の心情を察することなく申し上げたというところが一番やはり被害者の御遺族の方に配慮に欠いた発言であったというふうに思っております。

[245]
自由民主党 稲田朋美
それだけですか。お母さんが死んでもらいたいぐらいに思っていると言ったことについて、大臣が、本当にそれで納得するんですか、そして、加害者にとにかく死の恐怖を味わわせてやりたいということですか、そういう発言をされたことを、私、自分も息子の母親として、もし息子が先ほど平沢先生がおっしゃったような虐殺に遭ったら、死んでもらいたいと思うのは母親の情だと思うんです。そこを大臣が批判されているということは非常にお母さんの感情を害していると私は思いますけれども、いかがですか。

[246]
法務大臣 平岡秀夫
私は、そのとき、お母さんを非難するつもりで言ったつもりではありません。むしろ、本当に被害者という立場に立ったときに、どういう状況に至れば自分の心というものがある意味では休まるのか、そういうことを考えたときに、私の頭の中にあったのは、やはり加害者であった人が、自分が犯した罪というものをしっかりと受けとめ、そして二度とそういう悪いことはしないという改悛の情、そして何とか被害を受けた方に対して償いをしていこう、そういう気持ちを持って生きていかれるということが被害を受けた方にとってみてそれなりの納得感があるのではないか、そういう思いがあったものですからそういう発言になったということでございまして、決して被害者の方をないがしろにするようなつもりで言ったことではございません。

[247]
自由民主党 稲田朋美
大臣、答弁が長いんです。端的に答えていただいたら結構ですから。

今大臣がるる述べられたその態度でおわびに行かれたら、必ず、さらに怒りを増すことになりますよ。

大臣、お伺いしますけれども、先ほど平沢委員が犯罪事実を述べられて、その事情を知らなかったとおっしゃいました。もし知っていたらこのような発言はしなかったという意味でお答えになったんですか。

[248]
法務大臣 平岡秀夫
先ほどもちょっと申し上げましたけれども、この被害者のお母さんが最初から出ていたわけではないんですね。最後の場面で、まさにこれから採決しようというような場面で出てこられて発言をされたということで、私にとってみれば全くの意外であったという状況の中での話でございます。

ですから、そういう、中身を知っていればどうだったのかというような話については、私にとってみれば、今、あの時点でどうであったかということについては、とても想像できるような状況ではなかったというふうに思います。

[249]
自由民主党 稲田朋美
質問に答えてください、大臣。時間がないんですから。

私がお伺いをしているのは、先ほど平沢委員が述べられた大変むごたらしいリンチ殺人、そして、そこの被害者のお母さんもお見えになっている、そのことを知っていたら、例えば、それなりの事情があってそうだったんだろうとか、死んでもらったからといってそれで幸せですかとか、そういう受け答えはお母さんに対してしなかったという趣旨ですかと聞いているんです。知っていてもその発言はしたんですかと。

[250]
法務大臣 平岡秀夫
知っていてどういう発言になったかということについては、今の私にはちょっとわかりません。

[251]
自由民主党 稲田朋美
だから私は、大臣は情がないと思うんですよ。知っていたらこんな発言は絶対できませんよ。そして、知らなかったとしても、犯罪被害者、息子が殺されたお母さんの気持ちはどうなのかということを想像して自分の身になれる人でないと、死刑の問題を論じたり、そして少年犯罪の問題を論じたり、まして法務大臣である資格はないと私は思いますよ。





平成23年10月27日 参議院 法務委員会
[195]
自由民主党 森まさこ
それでは、犯罪被害者の問題に参ります。

先ほど、御自分の秘書官も犯罪を犯したけれども、もう執行猶予期間が満了したのでということをおっしゃられましたけれども、今度は被害者の問題についてお伺いしようと思います。

大臣が犯罪被害者に対してどういうお考えでどういう施策をしていくかということ、大臣所信には書かれておりません。

大臣が民主党ネクスト法務大臣の時代にテレビで発言したことがいろいろと取りざたされておりますので、大臣は大臣所信で犯罪被害者の施策をきちっと書き込んでくださるのかなと、過去の大臣は書いておりましたので、私も思っておりましたけれども、犯罪を犯した側のいろいろな処遇等については所信の中に書かれてあるものの、被害者については何も一言も言及がございませんでした。大変そのことについて残念に思っています。

衆議院の法務委員会で3人の委員からこの問題を、自民党についてだけでも3人の委員から質問がされたようでございますけれども、テレビ番組で、息子さんを少年のリンチで殺害された被害者の母親の前で、その被害者に発言したということで、どういう発言をしたんですかという質問に対して正確にお答えになっておられないので、もう一度お伺いします。

この被害者の母親にどのような発言をなさったんですか。

[196]
法務大臣 平岡秀夫
私、同じ質問を受けましてそれなりに正確に答えたつもりではございましたけれども、こういうふうに発言をしておると思います。

そういう悪いことをした子供たちはそれなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけどと申し上げたところ、被害者のお母さんの方から、事情って何ですかという問いかけがありまして、私の方からは、いやいや、事情というのは、要するに彼らがどういう環境の中で育ってきたとか、どういうふうにその大人とか親とかの関係であったとか、まあいろんなことがあったわけで、それはとにかくおいておいて、その加害者であった子供たちにどうなってもらいたいのか、その子供たちが自分を反省し、これからの人生を歩んでくれるということには、そういうようなことというのはもういいから、とにかく死の恐怖を味わわせてやりたいということですかというふうに話したというふうに承知しております。

[197]
自由民主党 森まさこ
大臣のホームページにはもう少し書いてあるんですけれども、この事件は大変残酷な事件ですけれども、被害者の方が交通事故で体が不自由な高校生、定時制に通っていたけれども、勉強して今度全日制に移ることになった。そして、非常に喜んでいたら仲間の2人がお祝いの会をしてやると呼び出して、障害者のくせに全日制に行くのは生意気だと言って、顔、頭、足、腹、所構わず無抵抗の被害者を70回以上殴った。それで、被害者の顎は外れ、顔はたちまち原形をとどめないほど膨れ上がった。意識を失いかけた被害者を、この2人の少年は高さ60センチほどもあるコンクリート台からプロレス技のバックドロップで頭から地面にたたきつけた。さらに、別の場所に移動し、2回バックドロップを繰り返した。失禁して泡を吹いた被害者を更に1メートルほどの高さからコンクリートに頭を打ち付けた。そして、障害者だから助ける価値がないとか、こういうことをいろいろ言っていたと。こう言って、この2人の少年が被害者に水をぶっかけて、暴行は1時間半以上も続いて命を失ったという、こういう本当にむごい犯罪でございます。

この被害者のお母さんが、大臣がテレビ番組に出ているとき、これ、民主党ネクスト大臣のときに出ておられるときに被害者のお母さんが来たときに何と言ったかというのは、これは平岡大臣のホームページに、私はこういうふうに発言をいたしましたという、以下に記させていただきますと書いてあるところを読み上げますと、その加害者の人にその死の恐怖を味わわせるという気持ちで、あれですかね、私は、あなた、あなたというのはお母さんが、本当に幸せというか納得するというか、できるとはちょっと思えないんですね。むしろ、そういう悪いことをした子供たちはそれなりの事情があってそういうことになったんだろうと思いますけどというふうに言った。それに対して、お母さんが事情って何ですかと問いかけたら、ここから先は、先ほど大臣がおっしゃったとおり、いやいや、事情というのは、要するに彼らがどういう環境で育ってきたとか、どういうふうに大人とか親とかの関係であったとか、まあいろんなことがあったわけで、それはとにかくおいておいて、その加害者であった子供たちにどうなってもらいたいのか、その子供たちが自分を反省し、これから人生を歩んでくれるということには、そのようなことはもういいから、とにかく死の恐怖を味わわせてやりたいということですかと、そういうふうにおっしゃったというふうに大臣のホームページに書いてあります。

確かに、少年法の精神は精神としてあります。私たち法曹、そして法務委員会の国会議員はそれは理解していると思います。ただ、犯罪被害者のお母さんにこれを言うというのは、これは本当に人間としてどのような気持ちでおられたのかと私は思うんですよ。そして、その後、お母さんに電話一本の謝罪をしたということですけれども、お母さんはまだ怒っていらっしゃる、気持ちが傷ついていらっしゃる。

そういう中で、一昨日、我が党の平沢議員がお線香を上げに行ったらいかがですかと言ったら、そう言われて初めて、じゃ、そうしますというような趣旨のことをおっしゃいましたけれども、その前の答弁では、自分は電話で謝罪をし、その前にホームページで、先ほどのような引用をした上で、ホームページで謝罪をしたので、それで十分な謝罪をしていると考えているというふうにおっしゃったんです。

私はそれは違うと思うんです。先ほどからの、被災地のことも大臣所信に書いていただけませんけれども、そういうようなことの一つ一つの答弁を見ても、何か本当に誠意が感じられない気持ちがいたします。犯罪被害者の施策については、その後の衆議院の質問で答えていらっしゃいますけれども、その答えたことを本当に魂を持って取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。



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