徴兵制 21 ~ 第3次安倍晋三内閣

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平成27年02月16日 衆議院 本会議
[012]
自由民主党 谷垣禎一
先般の閣議決定の大きな柱は3点あります。

第1に、武力攻撃に至らない侵害、すなわち離島に武装集団が上陸したケースなど、平時とも有事とも言えない、いわゆるグレーゾーンへの対処です。

第2は、自衛隊による国際協力等であり、例えば、他国軍隊への支援活動、PKOでの任務遂行やいわゆる駆けつけ警護に伴う武器使用、在外邦人救出を初め領域国の同意に基づく警察的活動の実施が挙げられます。

そして第3が、武力の行使に当たり得る活動であり、これには、国際法上、集団的自衛権が根拠となる場合も含まれるとしています。

閣議決定から半年が経過しましたが、いまだに報道では集団的自衛権という言葉が大きくひとり歩きしております。一部では、将来的には徴兵制が導入されるという、事実とかけ離れた論議すらなされていることもあり、国民の間に誤解や漠然とした不安が根強く存在していることも否めません。

自衛隊の全ての活動は法律に規定する範囲の中で実施されることから、先般の閣議決定に基づき自衛隊が実際の活動を直ちに行い得ることはなく、政府において必要な法案の準備が整い次第、与党協議を経て、国会に提出されるものと承知しております。

したがって、与党協議や国会における与野党の論戦等を通じて、改めて政府は丁寧な説明を行い、国民の誤解や不安を払拭することが不可欠であります。

一方で、我が国をめぐる情勢は日々刻々と変化しており、国民の命と幸せな暮らしを断固として守り抜くためには、一刻も早く必要な法案を成立させることが求められます。

そこで、改めて総理に、今般の安全保障法制の整備の意義、早期成立に向けた意気込みについて伺います。

[013]
内閣総理大臣 安倍晋三
安全保障法制の整備についてお尋ねがありました。

我が国を取り巻く安全保障環境は大きく激変しております。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできません。いかなる事態にあっても国民の命と幸せな暮らしは断固として守り抜く、そして、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献していく必要があります。

安全保障に想定外は許されません。グレーゾーン事態から集団的自衛権にかかわる事態まで、あらゆる事態に切れ目のない対応ができる安全保障法制の整備が不可欠です。

ただし、海外派兵は一般に許されないという従来からの原則は一切変わりません。また、徴兵制は明確な憲法違反であり、いかなる場合であっても導入する余地はありません。

引き続き、与党と御相談しながら万全の法案準備を進めるとともに、国民の皆様の御理解を得る努力を続け、今国会における成立を図ってまいります。





平成27年02月18日 参議院 本会議
[027]
内閣総理大臣 安倍晋三
また、徴兵制が復活するのではないかとの議論もあります。徴兵制は明確な憲法違反であり、いかなる場合であっても導入する余地はありません。





平成27年02月19日 衆議院 予算委員会
[168]
民主党(民進党) 岡田克也
安全保障法制、時間が非常に限られてしまいましたので、総理、徴兵制について。つまり、集団的自衛権行使をすると自衛隊員のリスクが高まる、だから自衛隊を希望する人が減って徴兵制になるんじゃないかという議論がありますよね。

それに対して総理は、徴兵制は憲法上許されるものではない、この解釈に変更の余地はありませんというふうにお答えになっています。きのうもその趣旨の答弁をされていました。

憲法解釈の余地はないんですか。

[169]
内閣総理大臣 安倍晋三
憲法解釈上、政府としての立場は定まっておりまして、苦役にこれは匹敵するということであり、これはもちろんさまざまな議論があるところかもしれませんが、政府においては、これはもう議論の余地がないという考え方でございます。

徴兵制はいわば憲法違反になるということははっきりと、重ねて申し上げておきたいと思います。

[170]
民主党(民進党) 岡田克也
今、政府と言われましたが、安倍内閣においてはと言うべきでしょうね。

もし、いや、徴兵制は憲法は認めているというふうに主張する総理大臣が出てきたらどうされますか。

[171]
内閣総理大臣 安倍晋三
いや、これは安倍政権だけではなくて、今までの政権においても、これは憲法上許されないという答弁をしてきているわけであります。

[172]
民主党(民進党) 岡田克也
もちろん国会でも、徴兵制は憲法は認めていないという議論は何度もなされています。本人の意に反する苦役を科することはできない、憲法18条に反するという解釈ですね。だけれども、内閣が憲法解釈を変えたという悪い前例をつくられたんですよ、総理は。集団的自衛権の行使は認められないというのは歴代内閣がはっきり言ってきたこと、それを一内閣でお変えになったわけでしょう。

では、徴兵制は憲法違反だという解釈を変える内閣が将来出てこないという保証がどこにあるんですか。何を根拠にそんなことを言われているんですか。お答えください。

[173]
内閣総理大臣 安倍晋三
今回の我々の憲法解釈の変更については、これは、昭和47年の政府のつくった答弁書、これは閣議決定を経ていないものでありますが、との関係においては、基本的な規範、基本的な考え方を変えるものではないということであります。

それといわば徴兵制との関連でいえば、それはまさに苦役に当たる、そういう明々白々な解釈をしているわけでございます。ここに大きな違いがあるわけでありますし、そもそも、徴兵制が始まるというのは、かなりこれはためにする議論なんですよ。

集団的自衛権と徴兵制というのは何の関連もないわけでありまして、世界じゅうの国がほとんどみんな集団的自衛権の行使を認めているわけでありますが、むしろほとんどの国が徴兵制ではないわけでありますし、逆に、国民皆兵のスイスは集団的自衛権は行使をしないわけですよ。ですから、全くそれは関連がないということははっきりと申し上げておきたい、このように思うわけでございます。





平成27年03月20日 参議院 予算委員会
[378]
内閣総理大臣 安倍晋三
今回の安全保障法制については、日本人の命とそして幸せな暮らしを守る、これがまさに目的でございます。そのために、法律の不備はないのか、今までの憲法改正のままでいいのかという観点から検討を重ね、昨年の閣議決定に至ったところでございます。その上で、法整備に向けて、本日与党が合意に至ったところでございます。

安全保障法制の議論というのは冷静に議論をするべきであり、国際情勢をしっかりと俯瞰しつつ、政策の立案に当たっていかなければなりません。そこでは、レッテル貼りあるいは無責任な批判の投げ合いは避けるべきなんだろうと、こう思うところでございます。言わば、例えば戦争法案、徴兵制が始まる、これはデマゴギーと言っても私はいいんだろうと思います。

自由民主党は今年立党60年を迎えたところでありますが、我々の誇りは、決してデマゴーグにはならず、そしてデマゴギーには負けずに責任を果たしていくということではないかと思います。





平成27年05月26日 衆議院 本会議
[018]
自由民主党 稲田朋美
平和安全法制については、最大限の外交努力によって我が国と国際社会の平和と安全を確保することが肝要ですが、他方、万が一の事態に備えて法整備を行うことも重要です。

にもかかわらず、今般の平和安全法制に対して、戦争法案であるとの根拠のないレッテル張りがなされております。

先ほど述べたとおり、日本が戦後70年間守り続けてきた平和国家としてのあり方は全く変わりません。また、徴兵制が採用されるとか、米国の戦争に無制限に巻き込まれ世界じゅうのどこででも戦争するようになるとか、どれもこれも全く的外れの批判です。

我が国の平和国家としての歩みは不変であり、このような無責任な批判が根拠のないものであること、そして、この法制が国民の命と平和な暮らしを守るものであることを総理から明確にしていただきたいと存じます。

[020]
内閣総理大臣 安倍晋三
平和安全法制の整備により、徴兵制が採用される、あるいは米国の戦争に巻き込まれるなどというのは、全く的外れな議論です。

徴兵制は明確な憲法違反であり、いかなる場合であっても導入する余地はありません。

アメリカの戦争に巻き込まれるようなことは絶対にありません。新たな日米ガイドラインの中にも、はっきりと書き込んでいます。

日本が武力を行使するのは、日本国民を守るため。これは、日本とアメリカの共通の認識であります。

安保条約を改定したときにも、戦争に巻き込まれるといった批判が噴出しましたが、そうした批判が全く的外れなものであったことは、既に歴史が、皆さん、証明しています。

したがって、戦争法案という批判は、全く根拠のない、無責任かつ典型的なレッテル張りであり、恥ずかしいと思います。

国民の命と平和な暮らしを守り抜く、その決意のもと、日本と世界の平和と安全をより確かなものとするための法案が、平和安全法制であります。





平成27年06月11日 衆議院 憲法審査会
[027]
日本共産党 田村貴昭
私の地元でも、こんなリアルな声を聞きました。自衛隊員の希望者が少なくなると、次は徴兵制ではないですか、安保法制に反対ですと話す大学生。父親が自衛隊員の女子高校生は、お父さんは他国の人を殺すために自衛隊員になったのではないと言っている、戦争でお父さんを殺さないでと。若い自衛隊員が集団的自衛権反対の請願署名に署名されたこともありました、日本が攻撃を受けていないのに武力を行使するのはおかしい、自分は不正義の戦争で命を落としたくないと。もっともな声ではありませんか。自分や家族は戦地に送られるのであるのか、未来を生きる青年にこんな心配な思いをさせている政治でいいわけはありません。





平成27年07月08日 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[505]
自由民主党 宮崎政久
私は、週末いつも沖縄に帰ってきて、いろいろな話を、特に最近はこの平和安全法制の話ばかり皆さんとするんですが、若い世代の人たちは相当冷静にこの法制を見詰めているなとよく感じます。

今どき日本の国が本当に戦争に向かっていこうという法律をつくるということがあるんですかと聞かれることもあるぐらいです。

戦争法案、戦争になる、果ては徴兵制が来る、こういう論調に引っ張られるというよりも、少し引いて、実際、本当はどんな議論をされているんですかというような冷静な質問を若い方から受けることも多くあります。



[585]
自由民主党 岩屋毅
私どもは、この法制は危機管理法案であって、そして目的としては紛争を抑止する、戦争を防止する法案であるというふうに考えております。しかしながら、この法案に反対する方々の中からは、これは戦争法であって最終的には徴兵制が採用されるんだなどという、私どもからすればかなり的外れな御批判も聞こえてくるわけであります。

先生にお尋ねしたいのは、この法案が成立することによって、我が国並びに地域全体への紛争抑止にどのような効果をもたらすとお考えか。一部には、安全保障のジレンマなどというようなマイナス効果もあるのではないかという御指摘もあるんですけれども、トータルで先生はどのように見ておられるか、お教えいただきたいと思います。

[586]
参考人(慶應義塾大学法学部教授) 細谷雄一
紛争抑止法案ということは、私はごもっともだと思います。安全保障研究の常識として、軍事力というのは、使った時点で本来持っている軍事力の役割は失われて失敗したというふうに言われています。つまりは、本来、軍事力というのは、抑止、戦争させないためにあるのであって、軍事力を行使するということは、その最大の目的である抑止が失敗したということでございます。

したがって、私は政府の説明を聞いていてやや違和感を覚えるのが、いかにして使うかということが説明されているわけですね。この場合にこういうふうに使う、この場合にああいうふうに使う。そうではなくて、シナリオ、さまざまなケースを挙げているわけですが、いかにしてそういう事態を起こさないかということがこの法案の目的であって、使うことを目的とするのではなくて、使わないことを目的とする、つまりは、そのような事態を起こさないためにそのような法案が必要である。

これは、アメリカで非常に有名な、著名な戦略研究家であるエドワード・ルトワックという人が「戦略論」という本の中で、戦略というのはほとんどの場合が逆説である、つまりは、戦争をしたくなかったら戦争の準備をしなければいけない、逆に、平和を求めることによってその平和は崩れてしまう。

つまり、今回の安保法制も同じようにそのような逆説を秘めていて、この安保法制の最大の目的は、この安保法制がケースとして示すような事態が起こらないということを求めるべきである。

したがって、説明するとき、丁寧な説明も必要ですが、あたかもそのような事態が今すぐ起こりそうな説明がたくさんされているわけですが、そうではなくて、このような安保法制があるからこそそれが想定するような事態が起きないということにむしろ説明の力点を置く。

集団的自衛権も全く同じであって、過去70年間で14回、集団的自衛権が行使された例が国連に報告されています。しかしながら、今回の新三要件ということを考えたときには、この14のケース、1つも当てはまりません。つまりは、今後70年間、私は、日本が新三要件に基づいて集団的自衛権が行使されるような事態は起きないと思います。また、先ほど例に挙げたベルギーも、一度もアメリカの戦争に協力して軍隊を送ったことはありません。集団的自衛権が行使できるベルギーであっても、実際にはアメリカの戦争には協力していないわけです。

このようにして、必ずしも、日本がこれによってより自衛隊の海外派兵がふえる、あるいはそれによってリスクが高まるということではなくて、むしろ、この法案によってそのような事態を防ぐということを、ぜひ与党の方々、政府の方々には、国民の方々に理解していただけるような、丁寧な説明をしていただきたいと思っております。





平成27年07月27日 参議院 本会議
[004]
自由民主党 山本順三
私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました平和安全法制について安倍総理の答弁を求めたいと思います。

衆議院では116時間もの審議が行われましたが、野党各党は、これが戦争法案である、徴兵制につながるなど情緒的な議論に終始し、時間は長くとも法案の必要性や中身についての真正面からの議論は十分ではありませんでした。これこそが、国民に法案の中身が伝わらず、理解を妨げた原因ではないでしょうか。

戦後70年、我が国は平和国家として確固たる歩みを進めてまいりました。その矜持を持ちながら、更なる時代の変化に対応するのがこの平和安全法制です。

(中略)

次に、今回の法案は徴兵制につながるという声もあります。これこそは、なぜそうなるのか全く理解ができない、根も葉もない、悪意に満ちた感情的、扇動的論理であります。大前提として、徴兵制は憲法上認められません。安倍総理も、これは何度も説明をしてこられました。憲法を改正するつもりだろうと言われますが、自民党の憲法改正草案でも徴兵制など全く考えておりません。

また、自衛隊には多くの志願者がいます。最新の防衛白書によれば、採用の倍率は、職種にもよりますが、主な種目では3.6倍から58倍に上ります。事実として、徴兵制の必要は全くないのであります。

今回の法案は、他の主要先進国はどこでもやっている活動を一部可能にするものです。

[005]
議長 山崎正昭
山本君、時間が来ております。簡潔に願います。

[006]
自由民主党 山本順三
それがなぜ、どこでもやっていない徴兵制につながるのか、私には全く理解ができません。徴兵制を主張する方には、今後の審議で是非御説明いただきたい。今回の法案は徴兵制にはつながらない、この点を改めて総理からも御説明ください。

[014]
内閣総理大臣 安倍晋三
徴兵制についてお尋ねがありました。

そもそも、徴兵制は憲法第18条が禁止する意に反する苦役に該当するなど、明確な憲法違反です。徴兵制の導入は全くあり得ません。このような憲法解釈を変更する余地は全くありません。いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わることはありません。

更に申し上げれば、自衛隊はハイテク装備で固められたプロ集団であり、隊員育成には長い時間が掛かります。安全保障政策上も徴兵制は必要ありません。長く徴兵制を取ってきたドイツ、フランスも21世紀に入ってから徴兵制をやめており、今やG7諸国はいずれも徴兵制を取っておりません。

なお、国際的に見ても、集団的自衛権の行使の有無と徴兵制か志願制かは関係ありません。例えば、スイスは集団的自衛権を行使しないが徴兵制を採用しており、集団的自衛権の行使を前提とするNATO構成国である米、英、独、仏などは志願制の下で軍を維持しています。

総理大臣が替わっても、政権が替わっても、徴兵制の導入の余地は全くありません。どうか国民の皆様には安心していただきたいと思います。





平成27年07月29日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[309]
社会民主党 吉田忠智
今日、石破大臣においでをいただきました。防衛政策に深い見識をお持ちの石破大臣に質問します。

徴兵制について、石破大臣は結論的には政府見解に従うとおっしゃられているのは承知をしています。一方で持論をお持ちだと思います。兵役、自衛隊の服務は奴隷的な苦役に当たるとお考えですか。

[310]
内閣府特命担当大臣(国家戦略特別区域) 石破茂
お答えを申し上げます。

これは、政府が昭和56年3月10日に森清議員に対します答弁書というものを作成をし、閣議決定をしておるところでございます。委員御案内のことかと思いますが、そこにおきまして、政府答弁書はこのように述べておるところでございます。

すなわち、政府は、徴兵制度によって一定の役務に強制的に従事させることが憲法18条に規定する奴隷的拘束に当たるとは毛頭考えていない、このように政府として申し述べておるところでございます。まして、現在の自衛隊員がその職務に従事することがこれに当たらないことは言うまでもない、政府が徴兵制度を違憲とする論拠の1つとして憲法第18条を引用しているのは、徴兵制度によって一定の役務に従事することが本人の意思に反して強制されるものであることに着目して、さきに述べたような意味でその意に反する苦役に当たると考えているからである。これが政府の立場でございます。

この考え方に私は全く異を唱えるものではございません。このとおりでございます。

その前の昭和55年8月15日、稲葉誠一議員の質問に対します政府答弁書におきましては、憲法の趣旨、すなわち幸福追求権を定めました憲法第13条、そして憲法18条、この趣旨から徴兵制は違憲であるというふうに申し上げているものでございます。

ですから、委員の質問にストレートにお答えをするとすれば、奴隷的苦役ということを政府は言っておりません。意に反してというところに意義があると、そういうことでございます。

[311]
社会民主党 吉田忠智
徴兵制を取るか否か、政策判断であると過去にお答えになったというふうに私は承知をしていますけれども、12年4月に発表された自民党憲法改正草案では、前文に国民の国防義務が明記されています。

また、現在、自衛隊の新入隊員は、陸自で約6か月、空自でも半年から1年半ぐらいの教育訓練で第一線部隊に配属されると。10年も専門的な訓練をやらないと使い物にならないというのはデマ宣伝ではありませんか。少子化もありまして、新入隊員の採用も困難になっています。特に、海自などで募集業務に苦労していると聞いております。必要性がないとは言い切れません。

そこで、最近問題になっているのが経済的徴兵制と言われることであります。文部科学省の学生への経済的支援の在り方に関する検討会では、昨年5月、奨学金返還延滞者に自衛隊でインターンさせたらどうかとの発言がなされ、経済的徴兵制として報道されました。

今後、徴兵制を導入する以前に、自衛隊に入隊すれば例えば奨学金返還免除などの経済的インセンティブを与える、そういう制度を導入する可能性はないのでしょうか。中谷大臣。

[312]
防衛大臣 中谷元
防衛省におきまして、自衛隊に入隊することを条件に学生支援機構の奨学金の返還、また国の教育ローンの債務を免除するという制度は存在をいたしません。

ただし、自衛隊貸費学生制度というのがありまして、これは有能な技術系の幹部自衛官となる人材を確保するための制度でありまして、平成27年度の貸費学生、これ16名おられます。

この制度は、学校教育法による大学又は大学院で理学、工学、これを専攻している学生で、卒業後、その専攻した学術を応用して自衛隊に勤務しようとする者に対して、本人からの応募に基づく選考の後、採用した者に毎月定額の学資金を貸与することによってその修学を助成し、卒業後に陸海空自衛隊の幹部候補生として任用する制度でございますが、貸与された学資金は、自衛官として一定年度以上勤務をいたしますと規定に従って返還が免除をされるということですが、これはあくまでも志願に基づいて選考採用する制度でございまして、先ほど申し上げましたとおり、奨学金の返還、また教育ローンの返済を免除するという制度は取っていないということでございます。

[313]
社会民主党 吉田忠智
アメリカは入隊する際に奨学金免除という制度もありますから、この経済的徴兵制という問題も決してこれは無視できない課題だと思っています。

そして、憲法18条の解釈で、総理も法制局長官も、それは苦役に当たるから、徴兵は、これは絶対、徴兵制など18条の解釈からしてあり得ないんだということでありますけれども、憲法9条の解釈をあんなにいとも簡単に変えたら、やっぱり国民の皆さんは不安に思いますよ。防衛省の官僚経験者の方からもやっぱり徴兵制導入の懸念の声が上がっていますから、素人だけの議論じゃないんですよ、これは。その点だけ申し上げたいと思います。





平成27年07月30日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[009]
自由民主党 森まさこ
いろいろ、このような審議がなされていても、私はこんな声を伺うんです。私自身も10代の子供が2人おりますので子育て中のお母さんとお話しすることが多いんですが、子育て中のお母さんたちが、平和安全法制の話をすると、でも、徴兵制になるんじゃないの、国の防衛が大事なのは分かるんだけど、自分の子供が兵隊に取られるのは嫌だと、そういうふうに言われます。

国民の皆様もそれが不安なんだと思いますが、総理、徴兵制はあり得ないと明確な御答弁をお願いいたします。

[010]
内閣総理大臣 安倍晋三
徴兵制は、憲法第18条が禁止をする意に反する苦役に該当します。明確な憲法違反であり、徴兵制の導入は全くあり得ない。このような憲法解釈を変更する余地は全くありません。

いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わることがないわけでありますから、今後とも徴兵制が合憲になる余地は全く変わりがありません。

これは、たとえ総理大臣が替わって、また政権が替わっても、徴兵制の導入はあり得ないわけでありまして、森さんのお子さんたちも含めて、子供たちが兵隊に取られるという徴兵制がしかれることは断じてないということは、明快に申し上げておきたいと思います。

[011]
自由民主党 森まさこ
総理、ありがとうございました。

子育て中の者として大変安心をいたしました。徴兵制はあり得ないという御答弁をいただきました。明確な憲法違反であり、憲法解釈で変更する余地はないという御答弁をいただきました。憲法の大前提ですから、これは変更する余地がない、政治家が替わっても変わらない、総理が替わっても徴兵制が取れないという御答弁をいただきました。(発言する者あり)

済みません、ちょっと野党の皆さんのやじが、声が大きくて、なかなか質疑が、私の声も聞こえないような状態でありますけれども。福山さん、ちょっとやじを控えていただいて。

私は、やはり冷静な議論、大事な議論、国民の皆様が、これが本当に必要な法案か、今のままで日本を守れるのか、子供たちの未来を、安全を守れるかということを、しっかりと法案の内容を、議論を聞いていただきたいと思うんです。どうぞよろしくお願いをいたします。

さあ、この平和安全法制の徴兵制の話をしていました。徴兵制にはならないという総理の御答弁をいただきました。でも、これに対して、自民党は憲法を改正するのではないのか、憲法を改正してそこで徴兵制が入ってくる、そういうことはないのかという疑問の声もあります。これについては、総理、いかがでしょうか。

[012]
内閣総理大臣 安倍晋三
自民党は、野党時代に谷垣総裁の下で憲法草案を作ったわけでございますが、その新しい草案の中におきましても意に反する苦役という文言はそのまま維持をしておりまして、徴兵制の採用は全く考えておりません。

[013]
自由民主党 森まさこ
ありがとうございました。

徴兵制については憲法上これはあり得ないという御答弁ですが、さらに総理は、そもそも必要性もないんだということを言っておられますが、これについての御説明をいただけますか。

[014]
内閣総理大臣 安倍晋三
自衛隊は、ハイテク装備で固めたこれはまさにプロの集団であります。世界はもうそういう傾向になっていて、隊員の育成には長い時間と相当な労力が掛かるわけでありまして、短期間で隊員が入れ替わっていくという徴兵制では精強な自衛隊はつくれないということになるわけでありまして、短期間で入れ替わっていく、それに対しての教育をするというそういう負担だけがこれは掛かっていくということになってしまう。

したがって、安全保障政策上、徴兵制は必要ないし、また、長く徴兵制を取ってきたドイツやフランスも、21世紀に入ってからは徴兵制をそういう観点からやめました。そして、今やG7の諸国で徴兵制を取っている国は1つもございません。

[015]
自由民主党 森まさこ
総理から、徴兵制については憲法理念上も、そして必要性もないし、世界中でも減少傾向だという話がありました。徴兵制のことばかり聞いて申し訳ないんですけれども、この徴兵制のことを本当に私もよく聞かれるんです。何か子供が兵隊に取られるような、そんなイラストも見かけたことがございました。

徴兵制と集団的自衛権がさも関係があるかのような話になっているような気がするんですが、総理、これ関係があるんでしょうか。

[016]
内閣総理大臣 安倍晋三
徴兵制と集団的自衛権があたかも関係するかのごときの議論があります。集団的自衛権を一部容認するから徴兵制に日本はなっていくんだと、そういうビラもありますが、それは全く間違いであります。

例えば、永世中立国であるスイスは、集団的自衛権を行使をしませんが、徴兵制を採用しています。

一方、集団的自衛権の行使を前提とするNATO構成国であるアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどは志願制を取っているわけでありまして、集団的自衛権の議論と徴兵制を結び付けることは、これは国際的にも全く非常識であると思います。

[017]
自由民主党 森まさこ
徴兵制は世界でも減少傾向にあるし、集団的自衛権とは関係がないというお話をいただきました。

しかし、自衛隊に志願する人が減っていくんじゃないか、少子高齢化でもある、そうなると徴兵制になるんではないか、そういうことを言う人もいます。これについては、総理、いかがなんでしょうか。

[018]
内閣総理大臣 安倍晋三
自衛官の応募者数の動向は景気や雇用の動向に影響を受けるわけでありますが、ここ数年7倍を上回る水準を維持をしております。集団的自衛権に関する閣議決定を行った昨年度も7倍を上回っておりまして、依然高い水準のままであります。

また、少子化や高学歴化が進行し、自衛官の募集環境が厳しくなっている中においても、多くの優秀な若者が自衛官を志していただいています。今後とも優秀な人材を十分に確保できるものと確信をしております。

[019]
自由民主党 森まさこ
少子高齢化とも関係のないというお話でございました。私、少子化問題の担当大臣もしていたんですけれども、非常に厳しい少子化の中でも7倍を上回る若者が自衛隊に志願をしていただいている。御嶽山のときもそうでありましたし、私のふるさと福島県、東日本大震災のときも自衛隊の皆様は本当に大活躍をしてくださいました。そういった自衛隊を志願する若者が増えているということを本当に有り難いことだと思っています。

私は、この平和安全法制については感情論ではなく冷静に議論すべきだと思っています。不安をあおるようなことではなくて、現実を見詰めて、目の前の危機にどう対処すべきか冷静に論ずるべきだと思うんです。

東日本大震災と原発事故のときにも、これは過去の反省として、安全神話で危機意識が薄らいでいました。しかし、現在は自然災害や原発事故に対する備えについての国民の理解は高まっていると思います。それと同時に、テロや他国からの攻撃といった危機に対する備えも常に見直していかなければならないと思っています。



[219]
維新の党 真山勇一
次に行きますけれども、先ほど安倍内閣の不支持ということを申し上げたんですけれども、やっぱりその中で女性の不支持が今ここへ来て増えているという話もありますね。それはなぜかというと、将来、自分の夫、子供、戦争に送り出すようなことがあってはならない、あってほしくないというお母さんが増えているということなんですね。

こちらのパネル、出すまでもなく憲法18条。(資料提示)ここに奴隷的拘束、苦役は許されないという項目があるんですが、徴兵という言葉はありませんけれども、徴兵制は苦役に当たるということで禁止されている。そして、先ほどの質問のお答えの中でも、徴兵制をしくことは絶対にないというふうにおっしゃっていましたけれども、やっぱり私は、それでももう一つ不安なのは、国民の皆さんも不安に思うのは、やはり今、ここのところずっと問題になっている安倍内閣の法的安定性の問題だというふうに思うんです。変えないと、憲法違反になるから変えないと言っているけれども、本当にそうなのかどうかという不安をやっぱり禁じ得ないわけなんです。

もう一回、改めて野党側に対する答弁ということで、徴兵制はない。

[220]
内閣総理大臣 安倍晋三
私どもが憲法の解釈の一部を変更いたしましたのは、そもそもこの憲法の中に自衛権というものが明確な記述がない中において、必要な自衛のための措置は何かということをずっと考えてきたわけでありまして、そして昭和47年には、その中には個別的自衛権は入るけれども集団的自衛権は行使できないという判断を示しました。そして、そのことについては、必要な自衛のための措置は何かということは、これは解釈において考え続けなければいけないというのが我々の考え方でございます。

一方、今お示しをしていただいている憲法18条でございますが、この3行目にございます、「意に反する苦役に服させられない。」と、こう書いてあります。まさにこの兵役というのは、兵役に服する義務をこれは強制的に、徴兵制度というのは兵役に服する義務を、私は嫌だよと言っても強制的にそれは服させるものでございますから、まさにここに当たるわけでございます。

この明文に当たるということを我々は挙げてこの憲法に反するということを言っておりますから、この本質が変わることはないわけでございまして、今後とも徴兵制が合憲になる余地は全くないというふうに申し上げていいんだろうと思いますし、また、それを申し上げて、さらに政策的な要求があるかどうかということでございますが、長年徴兵制を取ってきましたドイツやフランスも徴兵制を21世紀になってやめました。そしてまた、今G7で徴兵制を取っている国はどこもないわけでありますが、それはどうしてかといえば、軍隊のハイテク化が進んでよりプロフェッショナル化していっているわけでございまして、相当な訓練を積んでいかなければ言わば前線でこれは対応できる兵士にならないということでございますから、ある程度の期間でぐるぐる替わっていく徴兵された兵によってはこれはなかなか難しいし、そしてそういう人たちを教育して短期間で替わっていくということになれば、これはまさに非常に非合理的であろうと、こういう考え方の下に、言わば世界は徴兵制ではなくて志願兵制に変わってきているということでございますから、政策的な要求もないし、憲法においてもこれは全く明らかであると、こういうことでございます。

[221]
維新の党 真山勇一
ちょっと振り返ってみると、今、意に反しては苦役はないというふうにおっしゃっていたけれども、だが、かつては国のためだとか、あるいは名誉のためということで徴兵ということが行われたわけなので、やはりその意に反するというふうに言っても、考えようによってはどういうふうにでもできる。特に、法的な安定性を粗末に、粗末というか、きちっと守ってくれないということになると、どうもその辺りが私としては納得もできないし、やっぱり国民の皆さん、特に女性なんかもそういうことというのは感じるんじゃないかというふうに思うのが一つと、それから今、専門的になっているということがありましたよね。

そうすると、例えば、誰でも徴兵ということではなくて、専門的なことを必要とするから、つまり、例えばレーダーサイトで働くからこれは労働じゃないよ、苦しい労働じゃないよということで徴兵ということもあり得る。例えば自衛隊も、いわゆる土にまみれて訓練をやるということよりも、どちらかというと、研究室とかあるいはレーダーサイトで働くような、そういうことになってくることだってあり得るわけですね。そういうときに、それを徴兵制でやるという、そんなこともないということでございますか。

[222]
内閣総理大臣 安倍晋三
今、真山委員が御指摘になったような部門、やっぱり研究職とか非常に専門性の高いところについては、これは既に教育段階から、例えば防衛大学等々においてそういう言わば研修や勉強を重ねてきた、研修を重ねてきた、そしてさらに、その上の幹部学校等々においてそうした分野の専門性を身に付けていく人々がこれはそういう職に当たっているわけでございます。そしてまた、同時に、現在でも7倍の倍率があるわけでございます。

その中にあって、全く徴兵を行うというこれは政策的な要求がないのは事実でありますから、そして今、真山委員がおっしゃったように、徴兵制を取っているところは、選択的にそういう専門的なところからだけ取るというところは基本的にはこれはないわけでございますし、また、戦前のお話をされましたが、まさにこれ、憲法18条は戦前はないわけでございますから、これはそういうことはない。

また、自民党の憲法改正草案、これは谷垣総裁時代に作ったものにおきましても、意に反する苦役は、という文言は残っているわけでございますから、これは我が党の改正案がもし成立をしたとしても、それは徴兵制はないわけでありますし、現在の憲法においてはこれは全くないというのは先ほど御説明をしたとおりでございます。



[278]
日本を元気にする会 山田太郎
実は、この安保法制、テロに対しても対応するというふうに言っているみたいですが、国対国の戦争に関する法制、法案でありまして、国家でないテロに対する対応というのはまた別の議論なわけなんですね。なのにもかかわらず、この法案を強化することによってテロの脅威が高まるのではないかという、こういった矛盾を持っているわけであります。まさに法的安定性がなく、拡大解釈すれば、自民党さんが一生懸命否定している徴兵ということにもつながると。

午前中も徴兵制はありませんというふうに議論をしていましたが、ここまで国民のまさに不安が高まっているのであれば、まさに信頼性の意味から、徴兵制は禁止するという法律を立ててもいいのではないかというぐらいな状況なのではないか。そうでないと、やはり国民の不安というのは払拭されない。今この「三つの不」の状態に、国民と政府の間にあって、これがこの法案を支持できない人たちが増えてきている現実なのではないかな、こう思うわけであります。



[293]
無所属 中西健治
まず初めに、参議院での審議の最初の週ということでありますので、まず安保法制の理解についてちょっと総理の御認識をお伺いしたいと思うんですが、総理は、衆議院で議論が始まった当初、分かりやすく説明を繰り返していきたいと思いますと、こう抱負を述べられていました。しかし、衆議院の特別委員会の最終日においても、残念ながら国民の理解は進んでいないと自ら認められております。

総理の認識として、現時点で国民の何割くらいが理解を示している、賛同しているというふうに考えていらっしゃるでしょうか。

[294]
内閣総理大臣 安倍晋三
私自身が何割かという正確な数字を持っているわけではございません。各種世論調査等によると、残念ながら国民の理解は進んでいない、また随分誤解もあるんだろうと、このように思っております。

戦争法案であるとか、あるいはまた徴兵制が始まる、これは全く理由のないことでありますし、全く間違っているわけでございますが、そういう点もこの国会において、今日も午前中の議論等で大分国民的な理解も見ていただければ深まっていくのではないかと、こんなように思っているところでございます。





平成27年08月03日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[043]
自由民主党 三木亨
7月30日の委員会で、お子様を持つ親の立場からすれば当然のことでございますけれども、森委員の方から、繰り返し繰り返し本当に丁寧に徴兵制に対する質問がございました。

これに対して、憲法18条では、その意に反する苦役には服せられないと規定されておりまして、憲法上、徴兵制は採用できないというふうな御答弁でございました。また、兵器を使うためには長期にわたる訓練が必要でございまして、徴兵制というのはいきなり連れてきて急にやらせるわけですから、それではまた役に立ちませんし、また訓練に時間と費用が掛かるだけだというような答弁もございました。

また、これ以外にも、私は、少子高齢化がどんどん進みまして、どんどん人口が減少していく時代に、徴兵制をしいて100万人も200万人もの労働者、若者を労働市場から奪う、こういったことは日本経済の破滅を意味してしまうと思います。憲法上はもちろんですけれども、政治的にも経済的にも徴兵制はできないというふうに私は思います。

ところが、徴兵制という言葉に踊らされて、いまだに徴兵制に懸念を抱いている方がいらっしゃいます。

この徴兵制の議論の息の根を絶つためにも、しつこいようですけれども、重ねて、先日の答弁に誤りはないか、お伺いしたいと思います。

[044]
防衛大臣 中谷元
徴兵制というのは、憲法18条が禁止する意に反する苦役に該当するなど、明確な憲法違反であり、徴兵制の導入はあり得ません。

このような憲法解釈を変更する余地、これは全くありません。いかなる安全保障環境が変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わることはありません。したがいまして、今後とも徴兵制が合憲になる余地というものは全くございません。





平成27年08月04日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[337]
無所属 中西健治
2点目ですが、徴兵制についてお聞きします。政府は、徴兵制は憲法違反だと繰り返し答弁しておりますが、私もそうだろうと思います。しかし、政府の答弁を冷静に聞いていると論理に穴があって、その穴を塞いでおかないと後々の解釈変更の余地を残すことになりかねないんじゃないかと思います。

次のパネルを見ていただきたいんですが、その穴は何かというと、政府は、徴兵制を軍隊への兵員の徴集を目的とする制度と捉えた上で徴兵制は憲法違反であると、こういうふうに答弁しています。しかし、政府はそれとは別に、自衛隊を通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものと、こういうふうに答弁しております。

そのため、後々、自衛隊は軍隊ではないから自衛隊への隊員の募集は徴兵制に当たらず、憲法上許容される、こういう解釈の余地を残すことにもなりかねません。まさに、徴兵制は違憲だという基本的論理を維持した上で、自衛隊は当てはまらないんだ、こう言い得てしまいかねないということであります。そうしないためにも政府は丁寧な説明を行うべきではないかと考えております。

現在の議論の問題点を整理するためにも、後の解釈変更のおそれをなくすためにも、自衛隊は徴兵制の対象となる軍隊に当たるのかどうかという点を明らかにしていただきたいと思います。

[338]
防衛大臣 中谷元
まず徴兵制につきましては、憲法18条が禁止する意に反する苦役に該当するなど明確な憲法違反でありまして、憲法18条は、徴兵制に限らず、広く本人の意思に反して強制的に役務を課すことを禁止しているということであります。

そこで、自衛隊、これは憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの制約を課せられておりまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なりますが、徴兵制が憲法違反であることは、憲法第9条を根拠とするものではなくて、また、自衛隊が軍隊に当たるか否かによって左右されるものではございません。

[339]
無所属 中西健治
自衛隊が徴兵制で言うところの軍隊に当たるのかどうかということをこれはっきりさせないと、本当はこの徴兵制の定義を変える必要があるんじゃないんですか。それか自衛隊の定義を変えるか、どちらか1つだと思いますが、いかがですか。

[340]
防衛大臣 中谷元
自衛隊というのは憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられておりまして、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものでございます。

[341]
無所属 中西健治
いや、そうなると、後々の解釈変更が許されるということになってしまうかと思いますが、ちょっと押し問答ばかりしていてもと思いますので、委員長にお願い申し上げます。

政府から自衛隊と軍隊、さらには徴兵制との関係につき統一見解を委員会に対して出していただくことを私の方で要望させていただきます。

[342]
委員長 鴻池祥肇
後の理事会において協議をいたします。





平成27年08月11日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[152]
維新の党 柴田巧
昨日の毎日新聞の調査でも、内閣支持率は前回の35%から32%、更に低くなりましたね。今朝のNHKニュースでも、不支持が支持を上回るという状態、41から37、支持が落ちて、不支持が43から46に上がりました。

これは、やはり背景に安保法案があるのは間違いありません。憲法学者あるいは内閣法制局長官OBらから違憲と断じられて、まさに答弁は今のようにころころころころ変わるし、曖昧だし。また、自国防衛が大事だとみんな思ってはいますが、ホルムズ海峡、いや、地球の裏側まで派遣される可能性が否定されなかったり、サイバー攻撃を受けても、我が国に攻撃をしていない、またその意思のない国を攻撃をせざるを得ないような状況になる。まさに欠陥商品だと言わざるを得ないと思いますし、総合的に判断するという言葉がしばしば出てきますが、この言葉こそがくせ者で、結局は時の政権にフリーハンドを与えるような恣意的な運用がされるんではないかと国民の皆さんは強い懸念を持っているわけですね。

事このように、今法案が違憲で無限定で歯止めがなくて、一方、最も必要とされている自国防衛を強化するものではないと国民が実はちゃんと理解をしているからこそ、いい法案なんだけど理解ができないんじゃなくて、もう既に見破っているからこそ、この支持が高まらない、法案に対する賛成が大きくならないんではないかと思いますが、官房長官の御所見をお伺いをしたいと思います。

[153]
内閣官房長官 菅義偉
まさに、我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい状況になってきている中で国民の生命と平和な暮らしを守るのは、これは政府の責任であります。その責任の中で、私たちは新三要件というものの中で、まさに従来の憲法解釈、その論理の範囲内でこの法案を提出をさせていただいておるのであります。

そういう中で、戦争法案だとかあるいは徴兵制とかいろんなことが、誤解に基づくことが言われていますので、そうしたものをしっかり解かせていただきながら、これからも国民の安全を守るための責任を政府として果たしていきたいと思います。





平成27年08月24日 参議院 予算委員会
[306]
次世代の党(日本のこころを大切にする党) 中野正志
時間がありませんから、あえて私たちは、今回、先ほど来紹介をいたしておりますように、戦争法案だとレッテル貼りをされる人がおります。また、徴兵制やるのだということで変に国民の皆様をあおっている人たちもおります。政治陣営がそういう国民にマイナスのあおりをするということは、私は決して良くない。

徴兵制一つ取ったって、そんなことをやったら政権、もう永久に、永久に政権に就くことはできない。そんなことは自民党たりといえ、あるいは民主党たりといえ、やれる話でありませんし、国民の皆さんはその辺を冷静に見ておられるはずであります。





平成27年08月25日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[035]
自由民主党 森まさこ
一方、子供を持つ母親たちや若い世代が戦争法案というレッテル貼りに不安に駆られて、戦争へ行くことになるのではないかなどと、いまだに徴兵制への不安を持っています。学校から帰ってきて、僕たちは戦争に行かされるのと言ったという話も聞きました。私にも2人子供がいます。子供たちにそんな不安を抱かせるなんて、胸が痛い話です。

自民党は戦争に反対です。戦争にならないための方法を一生懸命に考えてこの法案を出しているわけです。子供たちを守るための方法を一生懸命に考えて議論しているわけです。

徴兵制にはなりません。明確な根拠があります。そのことをいま一度、総理から若者へのメッセージとして再度明確に語っていただきたいと思います。

[036]
内閣総理大臣 安倍晋三
徴兵制は、憲法第18条が禁止する意に反する苦役に該当するなど、明確な憲法違反であります。徴兵制の導入は全くあり得ませんし、導入する余地は憲法上全くないということは明確に申し上げておきたいと思います。

このような憲法解釈を変更する余地は全くないわけでありまして、いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わることはないわけであります。したがって、今後とも徴兵制が合憲になる余地は全くないわけであります。

これは、総理大臣が替わっても、政権が替わっても、徴兵制の導入はあり得ないわけでありまして、子供たちを兵役に取ることは絶対ないと。これはもうどうか国民の皆様には御安心をいただきたいと、こう思うわけであります。

まず、これは、憲法において全くこれは禁じられているということを申し上げた上で、例えば、では政策論的にそれが要求されるかといえば全くそれはないわけでありまして、自衛隊はこれはハイテク装備で固めたプロ集団でありまして、隊員育成には長い時間と相当な労力が掛かるわけでありまして、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれないわけでありまして、したがって安全保障政策上も徴兵制は必要ないわけでありまして、長く徴兵制を取ってきたドイツやフランスも21世紀に入ってから徴兵制をやめており、今やG7諸国はいずれも徴兵制を取っていないわけでございます。

徴兵制、徴兵制と、このようにはやす人々はこうした国際的な常識に全く無知と言わざるを得ないと、このように思います。

[037]
自由民主党 森まさこ
ありがとうございます。

徴兵制は憲法上もあり得ない、安全保障政策上もあり得ない、そして諸外国も徴兵制はもうやめていく潮流にありまして、レッテル貼りや決め付けによって不安になるということに関して、総理からしっかりとした御答弁をいただきました。



[336]
無所属 中西健治
8月4日の質問の際にお願いをいたしました徴兵制と軍隊、自衛隊の関係についての政府統一見解、これを8月18日に出していただきましたけれども、これは内容を評価したいというふうに考えております。

質問で私が挙げた論点というのは、これまでの政府答弁におきましては、徴兵制度は軍隊を前提としているのに対して、自衛隊は軍隊とは異なるものであるというものであったので、そうすると、自衛隊は軍隊でないため、強制的に徴集されても徴兵制に反しないと、こう解釈を変えられる、そうした論理の穴があったのではないかというふうに思います。

この点について、政府から出た統一見解はこちらにありますけれども、「自衛隊は、「軍隊」そのものではないが、本人の意に反して自衛隊に要する人員を徴集し強制的にその役務に服させることは、憲法上許容されるものではない。」、そして、「役務の提供先となる組織が、軍隊と呼称されるものであるか否か、また、その役務が、兵役と呼称されるものであるか否かにかかわらない。」、こうはっきりと政府統一見解を出してもらいました。

これ、挙げた論点に対してストレートに明確に答えていただいたものなんじゃないかなというふうに思います。後々の憂いを一つでも減ずるという意味でも意味があるんじゃないかというふうに私は思っておりますが、これは評価をさせていただきたいと思いますが、これまでの委員会での政府側の答弁、今日も一時、止まったりもしましたけれども、本当に法律に則して答弁をしているのかどうか、政策論と法律論がごっちゃになってしまっているのではないか、及び法律の細部について本当に理解をして答弁をしているのかどうか、大きな疑問があるんじゃないかと思います。





平成27年08月26日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[447]
生活の党と山本太郎となかまたち 山本太郎
いきなりですけれども、通告なしの質問です。

日本国憲法第18条にはこうあります。「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。」。これは、人を奴隷的拘束に置くこと、通常考えられる以上の苦痛を伴うような強制的な労務は、犯罪による処罰以外では、たとえ本人の同意があったとしても絶対的に禁止だよということですよね。

日本国憲法第18条を根拠として、徴兵制は我が国では憲法違反であるという理解でよろしいでしょうか、防衛大臣。

[448]
防衛大臣 中谷元
そもそも、徴兵制は憲法18条が禁止する意に反する苦役に該当する明白な憲法違反でありまして、徴兵制の導入は全くないということでございます。

[449]
生活の党と山本太郎となかまたち 山本太郎
ありがとうございました。通告なしの質問にもばっちりのお答えをいただきました。

これ、特に意に反するという部分、意に反するという部分が一番のポイントであり、大切な重要なところだと思いますけれども、いかがお考えですか、大臣。

[450]
防衛大臣 中谷元
戦後の日本は、自由そして民主主義、これが基本でありまして、この自由主義、民主主義に反しているということで、大事な規定だと思っております。

[451]
生活の党と山本太郎となかまたち 山本太郎
意に反するということがすごく重要な部分だということをおっしゃってくださったんですよね。ありがとうございます。





平成27年09月02日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[209]
民主党(民進党) 前川清成
今、これから私がお尋ねするのは、結論は何度も何度もおっしゃるけれども理由付けのない答弁について、ちょっと議論させていただけたらと思います。徴兵制に関してであります。

私は、まず徴兵制に対しては絶対反対でありますし、根拠のない不安をあおりたいとも思っておりません。しかし、与党の皆さん方の質問でも再三再四徴兵制について議論されております。質問に立つたび、毎回徴兵制についてお尋ねになる自民党女性議員もいらっしゃいます。

やっぱり今、世の中のお母さん、お父さんたちは、この安保法案が成立したら、自衛隊が中東の砂漠へ出ていく、地球の裏側まで出ていって戦争をすることになる、そうなれば残念ながら戦死者も出てしまうと。我が国を守るためであったら自衛隊の勇士の皆さん方、危険も顧みず戦ってくれるかもしれないけれども、日本から8000キロも離れたホルムズ海峡で戦死するのは嫌だ、こう思っても当然であります。その結果、自衛隊員が集まらない。集まらなくても日本を守るために自衛隊は必要。自衛隊を維持するために、自衛隊員を確保するために徴兵制がしかれてしまう。これがもしかしたら徴兵制かと、多くのお母さん、お父さんが心配されている理屈であります。

これに対して、これまで総理も、あるいは大臣も、安保法案が成立しても徴兵制は採用しない、憲法18条が禁止していると、こういう答弁をしてこられました。

そこでお尋ねをいたしますが、我が国の憲法で明文で徴兵制は禁止されているでしょうか。

[210]
防衛大臣 中谷元
明文では、徴兵制という言葉をもって禁止はされておりません。

[211]
民主党(民進党) 前川清成
ついては、徴兵制が憲法に違反する理由、これまでの答弁を前提にお尋ねするならば意に反する苦役に当たると、その理由をお答えいただきたいと思います。

[212]
防衛大臣 中谷元
これまで、徴兵制は憲法18条が禁止をする意に反する苦役に該当するなど明確な憲法違反であるというふうに答弁をしております。

[213]
民主党(民進党) 前川清成
いや、私がお尋ねしているのは、なぜ意に反する苦役に当たるんですか、その理由をお答えくださいと、こう申し上げています。理由をお答えください。

[214]
防衛大臣 中谷元
このように憲法解釈をしているということにつきましては、いかなる安全保障環境の変化があろうとも、徴兵制が本人の意思に反して兵役に服する義務を強制的に負わせるものという本質が変わるものでないということで、今後とも徴兵制が合憲になるという余地は全くないということでございます。

[215]
民主党(民進党) 前川清成
意に反する苦役というのは、苦役という名詞と意に反するという修飾語とから成っているんですけれども、大臣のお答えは、徴兵制、つまりは国を守るということは苦役に当たると、こうお答えになっているんですか。解釈をお答えください。

[216]
防衛大臣 中谷元
18条に規定するその意に反するという苦役は、一息に読んで、強制的な役務の提供と解しておりまして、苦役という用語のみを取り出して議論をするということには特段の意味はないと考えておりますが、その上で、その意に反する苦役というのは、その意に反する役務のうち、その性質が過酷なものや苦痛を伴うもののみに限られず、広く本人の意思に反して強制される役務をいうものと解しておるということで、たとえ通常の役務であっても本人の意思に反して強制される以上、その意に反する苦役に当たるということでございます。

[217]
民主党(民進党) 前川清成
大臣、今のは法学部の答案としてはゼロ点だと思います。

例えば、裁判員。これも裁判員という役務を提供するわけですけれども、意に反して抽せんで当たったらやらなければならない。しかし、それは意に反する苦役だから憲法違反だという議論はありません。意に反する苦役に当たる当たるとおっしゃるけれども、根拠が全くこれまでの議論でも示されていないと思います。

少し私の方から解釈論をお話しさせていただきたいので、早く質問しろとかやじらずにお聞きいただきたいと思います。

まず、資料の1ページ目です。意に反する苦役に当たるかどうかについて、防衛庁長官でしたっけ防衛大臣でしたっけ、お務めになられた石破現大臣は、日本の国において徴兵制は憲法違反だと言ってはばからない人がいますが、そんな議論は世界中どこにもないのだろうと私は思っています、徴兵を取る取らないは別にして、徴兵は憲法違反、なぜだかと聞くと、意に反した奴隷的苦役だからと。国を守ることが意に反した奴隷苦役だという国は、私は、国家の名に値しないだろうと、こういうふうにおっしゃっています。

それで、私は押し付け憲法論には立ちませんが、今の憲法がアメリカ憲法の強い影響を受けている、このことは争いがないだろうと思います。今の憲法改正草案もGHQから英文で示されております。

それは資料の2枚目を見ていただきたいと思います。マッカーサー草案の17条が、その後、今の憲法の18条になっております。意に反する苦役、「Involuntary servitude」、こうなっております。じゃ、このインボランタリー・サービチュードというのはどこから出てくるのか。

3枚目を御覧をいただきたいと思います。これはアメリカ合衆国憲法の修正13条であります。ここに「involuntary servitude」と。修正13条のインボランタリー・サービチュードがマッカーサー草案のインボランタリー・サービチュードになって、現行憲法の意に反する苦役になったわけですが、岸田大臣、英語お詳しいと思いますが、このサービチュードというのは奴隷状態あるいは隷属という意味であります。修正13条というのは改正されていますよという意味で、アメリカ憲法の13条は、1865年、南北戦争が終わったときに奴隷制度を禁止する趣旨で改正されました。つまり、インボランタリー・サービチュードというのは奴隷制度を禁止する趣旨であります。徴兵制は射程に入れておりません。

そこで、中谷大臣、通告させていただきました1918年の連邦最高裁判決というのはどのような事案で、どのように判決しておりますでしょうか。

[218]
防衛大臣 中谷元
このアメリカの連邦最高裁判決、アーバー対ユナイテッドステーツということで、これは1917年に成立した選抜徴兵法の合憲が争われた事件でありまして、選抜徴兵法は、本人の意思に反する苦役を禁じるアメリカ合衆国憲法修正第13条と、国教を定め、また自由な宗教活動を禁止する法律の制定を禁じる修正第1条の規定には反しないと判示されたものであると認識しております。

[219]
民主党(民進党) 前川清成
要するに、アーバーさんというアメリカ人がアメリカ政府を相手に徴兵制度は修正13条に違反する、憲法違反になるということで裁判に起こしたわけであります。

資料の4枚目を御覧をいただきたいと思います。その判決の結論部分をここに紹介させていただきました。国家の防衛に寄与するという義務の遂行が意に反する苦役であるなどという主張は、単にその文言において論破されていると、こういうふうにアメリカ最高裁も述べているところであります。
したがって、今の憲法18条の沿革あるいは文言に照らせば、大臣は、何の理由も示さずに徴兵制は意に反する苦役だ苦役だとおっしゃるけれども、解釈論として言えば、意に反する苦役は徴兵制を禁止していないことになります。

そこで、資料の5枚目を御覧いただきたいと思います。昭和45年当時、当時の内閣法制局長官が徴兵制に関して、憲法18条、つまりは意に反する苦役ですけれども、当たるか当たらないかということは、私どもから言いますと確かに疑問なんですと、こういうふうに述べておられます。

6枚目を御覧をいただきたいと思います。これは、この安保法案が憲法違反ではないとおっしゃっている数少ない憲法学者のお一人である西修教授の教科書の部分で、やはりその徴兵制というのは意に反する苦役に当たらない、こういうふうに書かれているわけであります。

そこで、中谷大臣、もう一度お尋ねしたいと思います。

大臣は、あるいは総理は、これまでも何度も何度も徴兵制は憲法違反だと、憲法18条に言うところの意に反する苦役に当たると、こういうふうに述べておられました。その根拠をお答えいただきたいと思います。

[220]
政府特別補佐人(内閣法制局長官) 横畠裕介
徴兵制につきましては、昭和55年8月15日の稲葉誠一議員に対する質問に対する政府の答弁書についてお答えしておりますが、徴兵制は、我が憲法の秩序の下では、社会の構成員が社会生活を営むについて、公共の福祉に照らし当然に負担すべきものとして社会的に認められるようなものではないのに、兵役と言われる役務の提供を義務として課されるという点にその本質があり、平時であると有事であるとを問わず、憲法第13条、第18条などの規定の趣旨から見て、許容されるものではないと考える、これが先ほどの政府が憲法上許されないと解する理由でございます。文言上は、憲法第18条の意に反する苦役、これに当たるから違憲になるという、憲法の文言に照らせばそのような御説明になるわけでございます。

なお、先ほどお示しのありました、高辻法制局長官の答弁のごく一部を御紹介になったわけでございますけれども……(発言する者あり)その趣旨は、憲法第13条を引っ張り出したわけですけれど、18条に当たるか当たらないかというのは、私どもが言いますと確かに疑問なんですという文言の一部でございます。その趣旨は、徴兵制は憲法上許されないということを述べている中で、その根拠として、18条のみではなく第13条も根拠とするということを述べたものでございます。(発言する者あり)

[221]
民主党(民進党) 前川清成
委員長、質問の妨害になるような答弁は厳に御注意いただきたいと思います。

それと、大臣、私、何か過去の法制局長官の答弁をお聞きするとか、専門的、技術的なことを聞いているんじゃなくて、最も基本的なことをお尋ねしています。これ、新しい安保法案ができて、大臣が実際に自衛隊にいろいろ命令されるときに、いつも彼、呼ぶんですか。全部御判断されるのは大臣ですよ。私は、今日お約束したいと思います。専門的、技術的なこと、過去のこちょこちょこちょこちょした答弁は聞きません。大臣の言葉で是非お答えいただきたいと思います。

いずれにいたしましても、今の訳の分からぬ法制局長官の答弁を聞いて分かったという方は少ないだろうと思います。みそは、18条だけでは駄目なんだと、だから憲法13条の文言も今は引用しているんですという墓穴を掘った答弁でございました。

憲法13条というのはどういう条文かといいますと、全て国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とすると、こう書かれてありまして、徴兵制について直接答えられている条文ではありません。つまりは、13条を持ってこなければならなかったというのは苦し紛れなんです。

徴兵制が意に反する苦役に当たるという政府の答弁、今の法制局長官にしたって総理にしたって大臣にしたって、結論をお示しになるだけ。何ら根拠はおっしゃいません。

他方で、戦後70年間、議論の積み重ねのあった憲法9条、集団的自衛権の解釈、これはある日突然、去年の7月1日に閣議決定だけで180度変更されてしまいました。徴兵制は、議論の積み重ねがほとんどない、根拠もありません、理由もありません、したがって解釈変更というのははるかに容易だ、だから国民の皆さん方は心配しておられます。安倍総理は解釈変更しないと誓約しておられたとしても、そして国民が一人残らず安倍総理を信用されたとしても、誰もが生身の体でありますから、10年先、20年先、総理を続けておられるという保証はありません。だから国民は心配しておられる。

そこで、中谷大臣、ちょっとよく聞いて御判断いただきたいんですが、私は御提案申し上げたいと思います。自衛隊法を改正したらどうかと。自衛隊法31条に、隊員の任用は防衛大臣が行うとあります。自衛隊員を選ぶのは大臣がすると、こう書いているんです。そこで、その31条に、何人もその意思に反して隊員に任用されない、こう追加してしまえば、私は国民の皆さん方の心配が解消すると、こういうふうに考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。

[222]
防衛大臣 中谷元
前川委員の御意見といたしまして、拝聴させていただきたいと思っております。

[223]
民主党(民進党) 前川清成
いや、ですから、採用していただけますか、反対ですかというお尋ねです。

[224]
防衛大臣 中谷元
政府といたしましては、憲法上、徴兵制はないということでございまして、殊更自衛隊法にそれを明記するという必要性はないと考えております。

[225]
民主党(民進党) 前川清成
官房長官、通告していないんですが、今、政府としては徴兵制は取らないと、こういうふうにおっしゃいました。政府の方針として徴兵は取らないというのであれば、法律の中に明記しておいていただければ、与党の皆さん方だって再三再四心配して質問しておられます、国民の皆さん方の心配も解消すると思います。是非御判断いただきたいんですが、いかがでしょうか。

[226]
内閣官房長官 菅義偉
先ほど来、防衛大臣が答弁をして、また議論をされていますけれども、政府としては、憲法論的に言ってもこれは明確な憲法違反であるというふうに考えていまして、そして、憲法解釈を変更する余地は全くない、そういう中で、ここについては今の憲法の中で私は理解をしていただけるだろうと思います。

[227]
民主党(民進党) 前川清成
官房長官、その明確な憲法違反だというのは、私が今までおよそ15分も掛けて懇切丁寧に御説明したとおりで、これは根拠はないんです。ただただ当てはめているだけ。解釈の積み重ねはないんです。だから国民の皆さん方は心配しておられると思います。

徴兵制を取らないと、将来にわたって取らないとおっしゃるのであれば、私は、自衛隊法の中に、何人もその意思に反して自衛隊員に任用されないという条文を書き加えたとしても何ら不都合はないと思います。これを拒絶されるのは何か腹があるのかなと思ってしまうのは、私の心が貧しいからでしょうか。

[228]
内閣官房長官 菅義偉
この問題について、総理も何回も答弁をさせていただいていますけれども、まさに、この憲法解釈を変更する余地は全くない、18条の中で明確な憲法違反であると、徴兵制の導入ということは全くあり得ないという今までの総理答弁、そして防衛大臣が答弁されたとおりであります。

[229]
民主党(民進党) 前川清成
最後に、世界人権宣言、これは日本とかアメリカではなくて、国連加入国が全て世界人権宣言というのを了承しているわけですが、その第4条に、「何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。」と。やっぱりこのインボランタリー・サービチュードという言葉があります。

それについて、文部科学省が「やさしい言葉で書かれた世界人権宣言」というのをホームページにアップしておりますけれども、その苦役については、誰もあなたを奴隷にする権利はありません、あなたも誰かを自分の奴隷にすることはできませんと、こういうふうに書かれていまして、文科省の見解としても、意に反する苦役、これは徴兵制を射程に入れていないわけであります。ですから、明確な憲法違反と、こうおっしゃっても、いまだ何ら根拠は示されていないというわけであります。

それで、総理は、例えば8月25日の御答弁ですけれども、自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団だと、隊員の育成には長い時間と相当な労力が掛かるわけでありまして、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれないと、こういうふうにおっしゃっています。

ところが、先日も38度線を挟んで砲撃戦も起こりました。北朝鮮と緊張が高まった韓国、これは徴兵制かと思うんですが、韓国の軍隊というのは精強な軍隊ではないんでしょうか、防衛大臣。

[230]
防衛大臣 中谷元
私は精強な軍隊だと思っております。

[231]
民主党(民進党) 前川清成
そうであれば、総理の御答弁の前提として、徴兵制では精強な自衛隊はつくれない、これが崩れてしまうわけであります。

それともう一つ、軍事的な緊張が高まったから、かつて廃止していた徴兵制を最近になって復活させたと、そういう例は、防衛大臣、あるでしょうか。(発言する者あり)

[234]
防衛大臣 中谷元
私の知る限りにおきましてはすぐに浮かんできませんが、確認をしなければお答えできないということです。

[235]
民主党(民進党) 前川清成
これほど今のハイテクな装備を前提としたら徴兵は取らないんだ取らないんだと、こうおっしゃっている以上は、これ新聞記事のニュースですので、是非御確認いただきたいと思います。

2014年に、ウクライナ、ロシアの軍事介入に備える措置として徴兵制を復活させました。2015年の9月、今日現在復活されているかどうかは確かめていませんが、やはりウクライナに対するロシアの軍事介入を受けて、リトアニア、これも徴兵制を復活させています。

したがって、ハイテク装備なんだと、だから徴兵制は取らないんだと、取っても仕方ないんだというお答えも実は正しくないということは御指摘を申し上げたいと思います。





平成27年09月04日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[351]
生活の党と山本太郎となかまたち 山本太郎
中谷防衛大臣、元自衛隊員ですよね。一人前のレンジャー隊員を育てる教官をされていた。自衛隊の中でもエリート中のエリートですよ、レンジャー部隊といえば。その精鋭たちの教官であられた大臣、軍事のプロでございます。これ、軍事のプロの目から見て、玄人の目から見て、テレビとか見ていて、何かコメンテーターとか何か政治家とかが何か言っていて、違うだろ、それって思わず突っ込んじゃったこととかあると思うんですよ、テレビとか見ていて。

今日は、その違うでしょう、それという突っ込みを、是非軍事のプロである中谷大臣から総理の発言を採点していただきたい、点数を付けていただきたいんです。百点満点の場合は、お答えは点数のみで結構です。満点でない場合は、何が違うのか、その突っ込みをお願いしたいと思います。参ります。

自衛隊はハイテク装備で固めたプロ集団であって、短期間で隊員が入れ替わる徴兵制では精強な自衛隊はつくれない。これは、安倍総理が我が国で徴兵をやることはないという場面での御発言でございます。軍事のプロである中谷大臣から見て、この発言、さあ、何点でしょうか。

[352]
防衛大臣 中谷元
点数は付けられませんが、ハイテクということは、もう今の時代にとって、自衛隊にとって必要でございますので、そういう集団であるべき傾向はますます強くなっておりますので、自衛隊の精強性には必要なものであると思っております。





平成27年09月08日 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会
[011]
参考人(日本弁護士連合会憲法問題対策本部副本部長・弁護士) 伊藤真
徴兵制は、憲法18条に反するから全くあり得ないと言います。憲法18条で「意に反する苦役に服させられない。」とありますが、しかし、これは公共の福祉で制限できると解釈されているものです。

ということは、必要性、合理性が生じたならば徴兵制も可能ということを意味します。サイバー対策のためのIT技術者、輸送、医療、法務など必要な人材の確保に窮したときでも、限定的な徴兵制すらあり得ないと言い切れるのでしょうか。集団的自衛権の解釈でやってみせたように、これまでの政府解釈を、状況が変化したということで、ある日突然変更してしまうという可能性を否定できません。





平成27年09月08日 参議院 文教科学委員会
[032]
民主党(民進党) 神本美恵子
今日一番お聞きしたいことはこれから入りたいと思いますけれども、この間、衆議院、参議院の安保特の中で安全保障関連法案について議論されておりますけれども、その中で首相が再三のやじを飛ばしたり、それから答弁が防衛大臣と総理と食い違ったり、答弁が二転三転するというような中で、特にこの間、国民の声ということで様々な集会で表明されているその中に、徴兵制が導入されるのではないかとか、これは戦争に駆り出されるのではないかというような声が国会の中で、質疑の中で、これは憲法の意に反する苦役になるので徴兵制は導入しないと何度答えてもその声が消えません。特に母親、若者たちのこの心配の声があります。

これは、いわゆる以前のような国民皆兵制度、徴兵制ではないけれども、経済的な徴兵制という形が取られるのではないかというような懸念がございます。

私もこの声に対しては非常に敏感に感じるといいますか、といいますのは、私が議員になる前は日本教職員組合、日教組というところの役員をしておりました。その前は学校現場で子供たちに向き合って平和教育、平和学習などもやって、その中で私が出会った詩がございます。ちょっと御紹介したいと思います。

「戦死せる教え児よ」、これは1952年1月、高知県の中学校の先生だと思いますが、が詠まれた詩であります。

逝いて還らぬ教え児よ
私の手は血まみれだ
君を縊ったその綱の
端を私も持っていた
しかも人の子の師の名において
嗚呼!
「お互にだまされていた」の言訳がなんでできよう
慚愧、悔恨、懺悔を重ねても
それがなんの償いになろう
逝った君はもう還らない
今ぞ私は
汚濁の手をすすぎ
涙をはらって君の墓標に誓う
「繰り返さぬぞ絶対に!」

こういった、戦前、教え子たちを戦争に駆り立てていったというその反省から、日本教職員組合は、二度と再び教え子を戦場に送らないというスローガンを合い言葉に今日まで至っておりますけれども、今回の安保関連法案の中で、母親たちや若者たちが戦争に駆り出されるのではないか、徴兵で引っ張られていくのではないかというような不安を持っている。しかし、それは今の憲法下ではやらないと政府は答弁をしておりますけれども、これからもやられないのかというような問題意識から、今日は自衛隊の人材募集と学校の協力関係について質問をしたいと思います。

文科省の有識者会議、学生への経済的支援の在り方に関する検討会議における前原金一という経済同友会専務理事の発言がございました。奨学金の返済延滞の理由が仕事に就けないからだという議論から発生した発言であります。発言の中では警察、消防庁、防衛省というようなことをおっしゃっていますが、などでインターンをやってもらえばいいという前原委員の意向を受けて、防衛省はそうした計画まで作成したということがこの間の審議の中でも明らかになっております。

そこで、文科大臣にお尋ねしたいと思いますが、学生への経済的支援の在り方に関する検討会議でこのような発言があった、そして防衛省は具体的な案まで作成した。この学生への経済的支援の在り方の中でこのような発言があったことについて、大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

[033]
文部科学大臣 下村博文
神本委員が御指摘されたように、安倍総理も、徴兵制というのはこれは憲法違反である、明確にあり得ないということを申し上げているわけでありますし、また、今回の平和安保法制は戦争を抑止するための法案であるというふうに認識しております。

そして、御指摘の前原委員の発言でありますが、御指摘の検討会におきまして、なかなか就職できない若者の就職を改善することを目的に、例えば現業を有している警察庁や消防庁、防衛省などと連携してインターンシップを活用することができないかという御提案をいただいたものであるというふうに認識しております。

よく国会でも質問されましたが、その奨学金の延滞者への直接的な対策として発言されたものではないというふうに認識しております。

[034]
民主党(民進党) 神本美恵子
奨学金の延滞者に対する支援としてこういった提言がされたという認識のところにとても私は危惧を覚えます。

そこで、お伺いしたいんですけれども、ちょっと角度が違いますが、最近インターネット上で、高校3年生の子供に自衛官募集のダイレクトメールが送られてきたということで、かなりネット上では、自分に送られてきたそのはがきをそのまま写真に撮って、ネット上では赤紙が来たと言ってたくさんの高校生がそれを掲載しているのを、私も目にしましたし、知人からも聞きました。

防衛省にお聞きしますと、こうしたダイレクトメール送付することは随分前からやっていたというふうにお聞きをしました。

しかし、今、これだけ騒ぎになるのは、子供たちが安保関連法案を通じて、これは戦争法案ではないか、自分たちはこういった形で自衛隊に入れというふうに言われているのではないかというような危機感を持っているのではないかと思いますけれども、防衛省としては今回たくさんの、これまでと違うたくさんのダイレクトメールを送付されたんでしょうか。

[035]
政府参考人(防衛省人事教育局長) 真部朗
防衛省におきましては、例年でございますけれど、自衛官の募集の、主たる募集の対象者でございます高校3年生、これを中心といたしまして募集案内の送付等を行っているところでございます。

これ、例年、募集計画を、大体どれぐらいの人が必要になるかということを見越しまして、それに沿って募集予定人員といったものを出しまして、それに沿って、今申し上げたような募集活動を行っているということでございます。今年特に増やしたとか、特にそういったことはないというふうに承知をいたしております。

[036]
民主党(民進党) 神本美恵子
ということは、これまでもやっていたのに、今年ネット上でそういう学生たち、高校生たちの話題が赤紙が来たというような意識が出ているのは、ダイレクトメールの直接のやり方ではなく、やり方は変わっていないけれども、今のやっぱり国会での安保法案の審議が影響しているのではないかというふうに思います。

防衛白書には、第4章、防衛力を支える人的基盤の募集、採用に関わる項目の中に、学校説明会、学校関係者の理解というようなことが書かれております。

大臣にお伺いしたいんですけれども、自衛隊のこうした人材募集に関して、文科省としては、文科省側としては、こうした学校側の協力体制についてどのような認識を持って臨んでいらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

[037]
文部科学大臣 下村博文
御指摘のように、防衛白書に学校関係者の理解と募集相談員などの協力を得ながらとある件につきまして、防衛省によると、自衛隊からの協力要請に基づき自衛隊の入隊に係る学校説明会を実施しており、その開催に当たっての協力等を得ていることから、当該記述を行ったとのことでございます。

なお、キャリア教育や就職支援の観点から、生徒などが自衛隊を含め様々な職業への理解を得られるよう、学校と関係機関が連携していくことは有意義であるというふうに考えております。

[038]
民主党(民進党) 神本美恵子
今日は、内閣官房の人事局おいでいただいておりますが、ほかの国家公務員、自衛隊、防衛省以外の人材募集について、このようなやり方で地方自治体、学校関係者と協力するような法律があるのでしょうか。

[039]
政府参考人(内閣官房内閣人事局内閣審議官) 川淵幹児
お答え申し上げます。

国家公務員の人材確保に関しましては、学生に公務への関心を持っていただくということのために、内閣人事局あるいは各府省等から大学に対しまして、公務の仕事の魅力を伝えるための説明会の実施、あるいは採用に関するパンフレットの配付等について協力をお願いしているところでございます。

これらにつきましては、学生の進路選択に有用な情報を提供するものであると考えておりまして、これらは各大学の自発的な協力を元に行っているところでございます。

[040]
民主党(民進党) 神本美恵子
法律はあるんでしょうか。

[041]
政府参考人(内閣官房内閣人事局内閣審議官) 川淵幹児
私ども、職員の任用を行う任命権者としての各府省、あるいはそれを束ねる立場の内閣人事局、あるいはその採用試験を実施する立場、これは人事院でございますけれども、そういった立場からの一環として行われるものというふうに認識しております。

[042]
民主党(民進党) 神本美恵子
法律があるのはこの自衛隊、自衛官募集に対しては自衛隊法で協力することが自治体や学校に求められているということで、ほかの公務員にはないということだというふうに受け止めました。

実は、これが経済的徴兵制ということで、奨学金と結び付いたことで私が大変危惧いたしますのは、この間、調べていますと、アメリカで、アメリカはもちろん徴兵制ではございません、志願制ですけれども、2002年、いわゆる9・11テロの後だと思いますけれども、アメリカで成立した、日本で訳されているのは、落ちこぼれゼロ法という法律がございます。この落ちこぼれゼロ法というのは、教育改革の一環として打ち出された法律でございます。

この法律の中に、公立高校は、生徒の氏名、住所、電話番号といった、もっと言いますと、それだけではなくて、いわゆる日本でいう4情報だけではなくて、親の年収及び職業、市民権の有無、移民が多いですから、市民権の有無、それから生徒の携帯番号、こういった個人情報を保護者が拒否しない限り軍に提供することが義務付けられたのがこの落ちこぼれゼロ法でございます。

それだけではもちろんないんですけれども、落ちこぼれゼロ法というのはそもそもアメリカで学力が低下した、だから学力テストを全国で一斉にするということを義務付ける、それから成績の良い学校にはボーナスをあげて、悪い学校は教師を降格したり助成金を削減したり全額カットで廃校にするというような強烈な競争システムがまず導入された。しかし、本当の目的は、先ほど言いましたように、個人情報を軍に提供するということだというふうに言われております。

このゼロ法に基づいて、軍のリクーターはその情報に基づいてしのぎを削って、軍のリクルーターですね、ごめんなさい、リクルーターにもノルマがありますので、それを達成できなければ自分が前線に送られるというようなシステムになっているということをお聞きしております。

この学生をリクルートするという様相は、自衛隊の地方協力本部それぞれが様々な工夫の下でリクルート活動、現在はダイレクトメールが中心ではありますけれども、半ば半強制的なリクルートにつながっていくのではないかという、そういう懸念が広がっているというのが今日の日本にも、いわゆる徴兵制ではないけれども、奨学金あるいは職、無職であるから職に就くというようなことでのリクルートにつながっていくのではないかというような懸念が広がっておりますけれども、こういうことにつながっていくような協力を文科省は行うつもりはないというふうに思ってよろしいんでしょうか、大臣にお伺いします。

[043]
文部科学大臣 下村博文
文科省では、今御指摘のアメリカの落ちこぼれゼロ法、そのような法律を制定することは考えておりません。

[044]
民主党(民進党) 神本美恵子
これは、昨日ふとこのことで思ったんですが、日本では今、4情報ですね、氏名、住所、4つですね、4つの情報が提供されるようになっておりますけれども、高校授業料無償化が所得制限が掛かったことで、子供の親の所得、申請するときにはそれを学校に出さなければいけないというような状況になっているので、もちろん守秘義務が掛かっておりますけれども、学校が一部の生徒の所得を今把握しているということについて、こういった現実があることも私は非常に懸念を持っております。

こういった懸念に対して、先ほどから繰り返しおっしゃっていますけれども、政府としては、今は、憲法があるから、18条、13条に基づいて徴兵制はあり得ないというような答弁をなさっておりますけれども、これまで様々な答弁の中で、あるいは集団的自衛権はこれまで憲法では認められなかったのを閣議決定でこれを認められるような法案を今出しているというような、そのときの政権の政策の取り方によっては憲法すら乗り越えてといいますか、無視して政策が取られるということに対して、私は、冒頭紹介しました詩のように、教育が戦争に加担させられるような、そういったことにつながることに対しては、断固として私はこれは認められないということを文科大臣にもしっかりと認識をしていただいて、教育が戦争に加担するようなことにならないようにということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。





平成27年09月18日 衆議院 本会議
[008]
自由民主党 棚橋泰文
この平和安全法制が日本国憲法に合致していることは、まさにこれまでの十分な審議の中で明らかにされてきたことであり、戦争法案、戦争に巻き込まれるとか徴兵制になるとかいうようなレッテル張りは、明らかに間違っているのです。この法案は、まさに名称のとおり、平和と安全の法案なのです。

なお、法令解釈担当国務大臣なるものをかつて設置し、内閣法制局長官による国会での答弁を認めなかった鳩山内閣や菅内閣等に参画してきた人々が、専門家を自称する方々の言を援用して憲法問題を議論するとは、まさに天に唾する行為でしかありません。





平成27年09月18日 参議院 本会議
[017]
自由民主党 江島潔
民主党の蓮舫代表代行は、中谷大臣の答弁について、余りに横暴とおっしゃったそうです。しかし、一部の民主党議員の質問態度こそ、余りに横暴ではなかったでしょうか。民主党は、人のことを言う前に、まず自らの態度を反省すべきであります。

確かに、中谷大臣は答弁を修正したり撤回したこともありました。しかし、そのたびに誠実に謝罪して、修正すべきものは修正し撤回すべきものは撤回しているのですから、全く正しい行動です。

一部の野党は、これまで、平和安全法制に対し、戦争法案だ、徴兵制になる、自衛隊の派遣に歯止めがなくなるといった誤った事実を印象付けてきました。

あなた方は、こうした国民を惑わせる情報を今まで修正したり撤回したことがありますか。していないなら今すぐ撤回し、謝罪を行うべきです。それをせずに中谷大臣を問責する資格などありません。明らかに間違ったことを言い続ける一部野党より、間違ったことをしっかりと修正し撤回する中谷大臣の方がよほど誠実ではありませんか。



[090]
民主党(民進党) 神本美恵子
安倍総理、たくさんの人たちが今も、このときも国会を取り巻いています。ベビーカーを押したママたちを国会内外で毎日見かけます。子供たちが国会の食堂や廊下で楽しげに笑っている姿をこのママたちがどんな気持ちで見守っているか、総理は考えたことがありますか。

徴兵制などあり得ない、そう幾度繰り返しても、なぜそうなのかを説明できない総理が信頼されることはありません。

9月8日の参考人質疑で、伊藤真参考人は次のように述べられました。徴兵制は、憲法18条で意に反する苦役に服させられないとありますが、しかし、これは公共の福祉で制限できると解釈されているものです、ということは、必要性、合理性が生じたならば徴兵制も可能ということを意味しますと伊藤真参考人は述べられました。

そうなんです。憲法9条があり、歴代内閣が集団的自衛権は行使できないとの立場を貫いてきたにもかかわらず、いとも簡単に内閣法制局長官をすげ替え、15日の中央公聴会で、濱田邦夫公述人に今はなき内閣法制局とまで言わしめたように、憲法を踏みにじるあなたが、徴兵制はあり得ない、野党があおっているだけだと幾ら言っても、誰も信用しません。





平成27年09月19日 参議院 本会議
[018]
公明党 谷合正明
平成4年のPKO法制定時の議事録を読み返しますと、PKOは徴兵制につながる、侵略容認法案である、憲法の平和原則に対する真正面からの攻撃であり、じゅうりんであるといった反対論が見受けられました。

しかし、皆さん、どうでしょうか。今や国民の9割が、今後も自衛隊はPKO活動に取り組むべきと答えています。





平成27年09月25日 衆議院 憲法審査会
[014]
高知大学人文学部准教授 岡田健一郎
例えば、従来の政府解釈は、徴兵制が苦役を禁じる憲法18条などに反するため許されないとしてきました。

しかし、集団的自衛権に関する解釈変更が許されるのならば、日本の安全保障環境の変化などを踏まえると、必要最小限度の徴兵制は憲法に反しないなどと政府解釈を変更し、徴兵制を導入することも可能ではないでしょうか。

まさか、そんなことはあり得ないと思われるかもしれません。しかし、政府は昨年7月、国家の基本原理の解釈を、憲法の改正手続をとることなく変えたのです。もしそうだとすれば、徴兵制に関する解釈変更がどうして不可能だと断言できるでしょうか。





平成28年02月16日 衆議院 予算委員会
[062]
民主党(民進党) 長島昭久
それは、皆さんのお手元にお配りをさせていただいた一昨年の毎日新聞の記事をちょっと見ていただきたいんです。

これは要するに、自衛隊の海上輸送力の不足というものを民間の力で補っていこう、こういう発想のもとにつくられた制度なんですけれども、もう既に、試験的にといいますか、1年半前から、2隻の高速フェリーを使って訓練のための兵員の輸送あるいは資材、物資の輸送を行っておりまして、これをより制度化していこう、こういう話だと思うんですが、この新聞記事にあるように、それが、突き詰めていくと、平時はいいんですけれども、有事の際の兵員輸送に民間の船が使われる、あるいは民間の船員さんがそれに乗って運航させられる。民間船員も戦地へ、こういうことであります。

左下の図がわかりやすいと思うんですが、「高速フェリーの活用パターン」と書いてある。平時はチャーターで行くわけですけれども、これが一旦有事になりますと、今度は自衛隊の船に装いを変えてそのまま連れていかれる、こういう危惧の声が民間の船員の皆さんの間で上がっているというのは、もう防衛大臣にも、あるいは国土交通大臣のお耳にも入っていることだろうというふうに思います。

そのことは、2ページ目を見ていただきたいんですけれども、さきの大戦のトラウマというのが、やはり運輸業界、とりわけ海運業界には非常に深い爪跡となって残っている。

これをごらんいただいたらわかるように、戦時中に2500隻、徴用されて撃沈されているんですね。船員さんたちの犠牲者は6万人以上、死亡率43%。これは陸海軍の兵士の死亡率の倍以上になっている。しかも、徴兵の場合は年齢制限がありますけれども、14、5歳の少年が船員として徴用されて、17歳以下の死者は約1万人。

これは、去年の安全保障法制の審議の際にも私申し上げましたけれども、当時のめちゃくちゃな戦争指導によって戦線が伸び切って、補給、兵たん、こういうことを無視して勢力を広げた結果、外地、前線で亡くなった兵士の約6割から7割が戦闘による死亡ではなくて餓死、病死、こういうことがあった。それを、民間を徴用いたしまして、民間の人たちも巻き込まれた、こういう苦い経験があるんですね。もう業界全体みんな、本当にこれはトラウマのように残っている。こういう中で、今回のような報道が立て続けに行われますと本当に皆さん、不安が広がっている、こういう状況です。

まず防衛大臣に伺いたいんですけれども、有事に民間船員が活用されるのではないか、こういう懸念が広がっている。この新聞報道について防衛省としてどのようにお応えになるかということ、こういった民間の船員の皆様の不安にどう応えるか、お答えをいただきたいと思います。

[063]
防衛大臣 中谷元
長島委員が御指摘のように、やはり、有事とか災害緊急事態において補給とか輸送手段、輸送路、これを確保するということは非常に大事なことでありまして、このことは既に防衛大綱、民主党時代の22大綱、また現行の25大綱の中にも、迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保、平素から民間輸送力との連携ということで記述をしておりまして、この民間船舶の運航・管理事業というのは、迅速かつ大規模な輸送能力を、民間の資金や能力を活用するPFI方式、これによりまして効率的に確保しようというものでございます。

具体的には、民間事業者から、2隻の船舶を維持管理し、訓練、災害派遣など平素における自衛隊の輸送に関しては当事業者が船舶を運航するものでありますが、防衛出動時の有事におきましては、自衛隊が民間事業者から船舶そのものの提供を受けて、自衛官が乗り込んで運航するということを想定いたしております。

このように、有事の際に船舶を民間船員によって運航するということは考えておらず、御指摘のような事実上の徴用に当たるものであるとは考えておりません。

[064]
民主党(民進党) 長島昭久
そもそも、自衛力、自衛隊の能力の不足を民間によって補うという発想そのものがいかがなものかという声は強いわけです。

私も防衛省におりまして、次のページに、今大臣もお触れになりましたけれども、22大綱と25大綱、これを両方併記させていただきましたけれども、当時から輸送力の問題というのは相当深刻に防衛省内でも受けとめられていた。

それにしても、まずは自衛隊の独力をもってここは補っていくというのが筋だというふうに思うんですけれども、防衛大臣、改めて、自衛隊の今の輸送力について、現状はどういう状況なのかということを国民の皆さんにわかりやすく説明をしていただきたいと思います。

[065]
防衛大臣 中谷元
防衛省といたしましては、これまでも海上自衛隊におきまして、大型の「おおすみ」型の輸送艦3隻を整備するとともに、輸送能力を強化した「いずも」型の護衛艦DDHを整備するなど、自衛隊としての海上輸送力の確保に努めているところでございますが、これらの取り組みに加えて、自衛隊としての輸送力と連携して大規模輸送を効率的に実施するために、民間事業者の資金また知見を長期安定的に最大限活用するPFI方式の事業によりまして、海上における輸送能力を確保したいと考えているところでございます。

[066]
民主党(民進党) 長島昭久
先ほど防衛大臣は、有事の際には民間の船員を使わないで自衛官で運航する、だから大丈夫だ、心配ない、こうおっしゃったんですけれども。

4ページ目、次のページをちょっと開いていただきたいと思います。

これは私が作図をしたんですが、政策目的は、今大臣が説明されたように、輸送力の確保、これをしなきゃいけない。それには船舶の問題。今、「おおすみ」の話がありました、3隻しかないと。これではさすがに、例えば北海道の兵員を南西諸島に一気に運んでいくには足りない。船舶が足りないという問題が1つある。それから、それを操る人員が足りない。こういう2つの観点がある。

海上自衛隊の輸送艦が限られている以上、民間の船舶を使う。これは、PFIで特別目的会社というのをつくって、そこに高速フェリーを運用させて、そこで自衛隊が利用する。

平時はいいんですよ。平時は、民間の船員さんに操船をしていただいて、それで運ぶ、これはこれでいいと思うんですが、さて、有事になったときに、まず船舶の方は、これは使うことになるんだろうと思うんですけれども、有事のときに本当に自衛官だけで人が足りるのかという問題が1つ大きな疑問としてあるんですね。

新聞報道によりますと、これは大臣に確認したいんですけれども、大型の民間船舶を運航するには、船舶職員法に基づく海技士の資格を持つ船員が必要だ。大型フェリーの運航に必要な国家資格を持つ民間人が予備自衛官であれば、これは有事に、訓練して招集してフェリーを運航させることができるんですが、この資格を持った海上自衛隊の予備自衛官は10人ぐらいしかいない、こういう報道があります。したがって、海上自衛隊のOBだけではそもそも、例えば今有事が起こった場合には運航することは困難だ、こういう指摘があるわけです。

予備自衛官というのは、申し上げるまでもなく、1年間、自衛隊員としての経験がある方だ。そういう人たちをかき集めても、民間の船を運航できるのはたった10人しかいない。こういう事実から、海員組合を初め民間の船員の皆さんたちは、結局自分たちが、足りないからといって、船ばかりではなくて船員も駆り出されることになるんじゃないか、こういう不安が広がっているんですが、防衛大臣、どうお応えになりますか。

[067]
防衛大臣 中谷元
現在、海技資格を保有する海上自衛隊の予備自衛官、これは少ないところでございます。

この運用につきましては、有事におきましては現職の自衛官をもって充てるところでございますが、それだけでは足りない場合におきましては、予備自衛官の活用、その場合も、基本的には退職した元自衛官、これが志願をして採用されるということを想定しております。

この海技資格の問題につきましては、今回のPFI事業によりまして、自衛隊における経験を生かし退職後に予備自衛官として本事業に従事をすることを今後、隊員が希望するということもあると考えておりまして、高い等級を含む海技資格を保有する退職自衛官から採用された予備自衛官がふえれば、当該の予備自衛官をもって本事業に使用される民間船舶を運航する要員を充実、充足することもできると考えているわけでございます。

[068]
民主党(民進党) 長島昭久
今の説明は、海技士の資格を持ったOBの自衛官を活用するんだ、こういう説明ですけれども、大臣みずからお答えになったように、その人数は限られている。

これは、新聞報道では約10人というんですけれども、実数はどのぐらいになっていますか。

[069]
政府参考人(防衛省人事教育局長) 深山延暁
お答えを申し上げます。

現在の海上自衛隊の予備自衛官で海技資格を保有している者は、先生がおっしゃったとおり、約10名でございます。

[070]
民主党(民進党) 長島昭久
いやいや、新聞報道は約10名なんだけれども、防衛省では実数として何名と把握していますか。

[071]
政府参考人(防衛省人事教育局長) 深山延暁
現時点で集計しておりますところでは8名でございます。

[072]
民主党(民進党) 長島昭久
防衛省は、フェリーを1隻運航するのに必要な船員の数を何名と把握しているでしょうか。

[073]
政府参考人(防衛装備庁装備政策部長) 堀地徹
お答え申し上げます。

この船を、フェリーを運航するのには、1号船舶で21名、それから2号船舶で20名ほどを想定してございます。

[074]
民主党(民進党) 長島昭久
ですから、8名では1隻も運航できない、運用できない、こういうことになるんですね。

それに対して、平成28年度予算案で、こういう制度を新たに海上自衛隊は考えているというわけですね。それが、予備自衛官補の制度の活用。

予備自衛官補というのは、既に平成13年から運用されて、これは陸上自衛隊だけだったものを海上自衛隊にふやしていこうと。新聞によると、防衛省の担当の方の説明によれば、海上自衛隊初の予備自衛官補として、フェリー1隻を操船するのに必要な21人の採用ができるように来年度予算案に必要経費を計上していると。

この予備自衛官補なるものが、予備自衛官と違って、今民間の船員の皆さんが心配されているのは、予備自衛官というのは自衛隊で1年間勤務した経験のあるOBの方、これははっきりしているんです。予備自衛官補というのは、民間の方から、海技士の資格を持った方になっていただくようにしたい、こういうことですね。

ことし1月10日の毎日新聞三面の記事によると、「平時と有事、ともに同じ予備自衛官が操船することを考えている。そのためには民間船員に予備自衛官になってもらうことが必要」と。

さっきの大臣の御答弁と矛盾すると思うんですが、いかがでしょうか。

[075]
防衛大臣 中谷元
自衛隊において、護衛艦等を運航する場合には、自衛隊内の資格を保有していれば足りるわけでありまして、国家資格であります海技資格、これは必要ございません。

本事業におきまして、防衛出動時における有事においては、民間事業者から船舶そのものの提供は受けますが、これは自衛官が乗り込んで運用、運航することを想定しておりまして、その際、予備自衛官の活用も考えられるわけでありますが、基本的には、退職した元自衛官が志願して採用されるということも想定しております。

つまり、有事の際の艦船の運航等につきましては、現在、護衛艦を運航する場合の自衛隊の資格を保有していれば足りるということで、国家資格である海技資格、これは必要ないと認識しております。

[076]
民主党(民進党) 長島昭久
これは問題は、もう1度またさっきの図に戻っていただきたいんですけれども、1つの懸念は、有事のときに民間の船員をそのまま直接乗せて戦地に赴くようにしむけられるんじゃないか、こういう不安ですね。これは今大臣がその不安にお答えになりました、そういうことはないと。

もう1つは、さっき申し上げたように、資格を持った予備自衛官が圧倒的に足りない、それを何とか補強するためにわざわざ予備自衛官補というものをつくって、そこに民間の方に志願をしていただくようにしよう、こういうふうに報道されているんですが、この予備自衛官補というものをどう使おうとされるか。もう1回、この点についてわかりやすく説明をしていただけますか。

[077]
防衛大臣 中谷元
有事の際でありまして、防衛出動時におきまして、民間の事業者から船舶そのものの提供を受けて、そして自衛官が乗り組んで運航することを想定しておりますので、民間船員による運航をすることは基本的に考えておりません。

また、予備自衛官補また予備自衛官は、あくまでも本人の意思に基づいて採用されるものでありまして、本事業の船員を含め、いかなる人に対しても強制をすることはなく、本事業の民間事業者に対しても船員の希望を尊重するように求めております。

したがいまして、本事業によって有事の際に民間船員が強制的に活用されるということは、いかなる場合においてもないということでございます。

[078]
民主党(民進党) 長島昭久
大臣、そういうことはいかなる状況においてもないと再三にわたって強調されるんですけれども、有事の際には自衛官をもって充てるんだ、こうおっしゃるんですけれども、では、なぜ予備自衛官あるいは予備自衛官補という制度をわざわざつくるんですか。

[079]
防衛大臣 中谷元
基本的には、先ほど申したとおり、有事の際には自衛官が乗り組んで運用することを想定しておりますけれども、予備自衛官において、これは退職の自衛官でありますが、それなりの技術を有し、またそれなりの希望を持っておる者においても可能性としては排除しておらず、そういう要員において運用することもあり得るということでありますが、あくまでも予備自衛官というのは本人の希望によって志願をし、また国の訓練等も受けるものでございますので、強制的に乗船をさせるとか、そういうことは全く考えられないということでございます。

[080]
民主党(民進党) 長島昭久
今の大臣の御答弁である程度明確になったと思うんですが、国交大臣、民間船舶の運航や船員行政を所管する大臣として、今るるやりとりさせていただきました船員の皆さんの不安に対してどうお応えになるかということがまず1点。

それから、民間の船員の方というのは、例えば、会社側から予備自衛官補になってもらえないかという働きかけがあった場合、1人、では私がやりましょう、こういう方がいた場合、20人なら20人、30人なら30人のチームで動くことになりますから、ほかの人が、自分はやりたくないとなかなか言いにくい雰囲気がつくられるんじゃないかということを船員の皆さんは非常に気にされているんですが、所管の大臣として、こういう半ば強制的に予備自衛官補になるようにしむけられるようなことがないようにどういう監督をされるか、明確にお答えいただけますでしょうか。

[081]
国土交通大臣 石井啓一
民間の船員が予備自衛官になることを強制されることがあってはならないことは当然のことでございます。

防衛省においては、予備自衛官を希望しないで本事業船舶の船員となった者については、その希望を尊重し、予備自衛官には採用しないということを入札の公告に明記されていらっしゃいます。したがいまして、民間船員が強要されて予備自衛官になるようなことはないと認識をしております。

国土交通省といたしましても、本事業の実施に当たってこのようなことが生じていないことを、事業者のみならず船員に対しても確認してまいりたいと存じます。

[082]
民主党(民進党) 長島昭久
ありがとうございます。入札の際の規則の中に入っている、これはかなり明確だというふうに承知をいたしました。

防衛大臣、最後に、問題は、自衛官も人数がなかなか集まらない、そういう状況の中で、特に資格を持ったOBの海上自衛官、予備自衛官が少ない、この人員不足をどうするかという問題が結局この課題の一番のポイントだ、こういうふうに思うんですね。

自衛官の退職時に民間の海技資格を有している者の数が非常に限られているということは、現役のときからこういう海技士の資格を取るように、あるいは取れるように、ふだんからそういう制度的な保障、何度も何度もこの委員会で大臣がそういうことは絶対ありませんとおっしゃっても、制度的な保障がない限り、やはり船員の皆さんは不安が広がると思うんですね。この制度的な保障をするための仕組みづくりについて、大臣、どんなお考えをお持ちですか。

[083]
防衛大臣 中谷元
長島委員御指摘のように、資格を有している者は現在少ないわけでございますので、やはりこういった点におきましては、現職のうちに1級、2級も含めまして資格を有するように、勤務の中でそういうことも考えてやっていくべきではないかということで、今回、長島委員からの御指摘を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。

[084]
民主党(民進党) 長島昭久
これは早期退職された自衛官にとっても、再就職先のあっせんにもなるんですね。ですから、やはり海技資格の取得のための職業訓練の制度というのを防衛省の中でしっかりつくっていくことは、これは両方に有益だと私は思っています。

そこで、国交大臣、たしか海上自衛官による海技資格の取得については特例措置があって、一般の方よりも、もちろん同じ船乗りですから、その経験を生かして、例えば筆記試験は免除するとかそういう仕組みがあると思うんです。今、OBの中では海技資格を持っている人はたった8人しかいないという話がありましたけれども、現役の中で、これまでに海技資格、1級から6級ありますけれども、いずれかを取得した海上自衛官は何人かいると思うんですが、どのぐらいいるか教えていただけますか。

[085]
国土交通大臣 石井啓一
委員御指摘のとおり、民間船舶に乗船するために必要な海技資格を取得するためには、一定期間の乗船経験、海技士国家試験の受験及び消火、救命等の講習の受講が必要であります。

海上自衛官に対しましては、自衛隊内の乗船経験を必要な乗船経験として認めているほか、術科学校を卒業している自衛官については筆記試験及び講習の免除を可能としておりまして、速やかに海技資格の取得が可能となる運用を行っているところでございます。

こういった特例措置を受けた合計の人数については把握をしておりませんけれども、直近の5年間で申し上げれば、この制度を活用し135名の海上自衛官が海技資格を取得されています。

[086]
民主党(民進党) 長島昭久
これで最後にしますが、防衛大臣、これだけ潜在的に、民間の船舶を操れる自衛官が現職でいるんですね。ですから、こういう人たちをうまく組み合わせて、予備自衛官でも、平時から、あるいは有事になってもきちっと所要のフェリーを運航できるようなそういう人数を確保する、人員を確保できるような仕組みをきちんとつくり上げていけば、海員組合の皆さん、あるいは船員の皆さんの不安を、これは大臣が口で言うだけではなくて制度的に保障して払拭することができる、こういうふうに思いますので、その辺の努力をきちっとやっていただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。





平成28年03月18日 参議院 予算委員会
[040]
自由民主党 宇都隆史
次に、防衛費の約半数は先ほどお示ししたように人件・糧食費に支出されており、このことが実員をなかなか増やすことができない主要因になっています。

年を追うごとに任務は拡大し、部隊も新編され、新しい装備が入ってきても人はほとんど増えず、結果、1人の隊員が4つから5つの仕事を掛け持ちし、心身共に疲弊してきている現場も少なくありません。しかし、隊員は少ない人数の中で知恵を絞り、チームワークを発揮して助け合い、涙ぐましいほど本当によく頑張っています。そのような実態を知っているOBや現場から見たら、根拠のない無責任な戦争法のレッテル貼りやありもしない徴兵制論に接するたびに強い怒りを覚えます。

そこで、防衛省に伺います。

最も低い階級、二士の隊員に対し1年間に掛かる費用、コストは幾らですか。また、仮定として、陸海空それぞれに10万人ずつ、トータル30万人の新隊員を強制的に入隊させたとしたら一体幾らの財政負担が生じると試算されますか。

[041]
政府参考人(防衛大臣官房審議官) 西田安範
お答えを申し上げます。

平成28年度予算案ベースでの二士の自衛官1人当たり1年間の人件・糧食費等の維持的経費は、一定の仮定の下に試算をいたしますと、三自衛隊平均で約366万4000円でございます。

その上で、二士の自衛官30万人分の1年間の維持的経費についてのお尋ねでございますが、あくまで仮定の上での機械的な単純計算として申し上げれば、この約366万4000円に30万を乗ずれば約1兆992億円となるところでございます。

[042]
自由民主党 宇都隆史
平成26年の統計によると、20歳の男子は日本に約60万人いるそうです。ですから、仮に約半数の30万人を徴用したら、今答弁がありましたように約1兆1000億円が掛かると。10万人、6分の1でも3600億円、5万人を徴用したとしても1800億円の経費が掛かるわけなんです。つまり、これだけ給料以外にも掛かっているんですよ。

これだけの余剰予算があれば、この資料1にある維持経費等を充実させる方がよっぽど合理的、効率的な防衛予算の使い道だというのは、これ誰が見ても明らかではないでしょうか。

財源の出どころを語らない政策論は常に国民をミスリードします。できもしない夢のような政策で支持を集めたり、ありもしない負担が生じる政策で不要な不安をあおったりするプロパガンダは、民主主義社会が最も忌避すべき行為であり、最も国民の幸福から程遠い政治手法と言わざるを得ません。かつての大日本帝国を戦争に巻き込んだ要因の1つに、マスコミによるこのような大衆扇動があったことへの反省を忘れていないでしょうか。

是非、テレビを御覧の皆様は、甘言や扇動に惑わされることがないよう、政策は必ず財源論とセットで聞くということをお勧めしたいと思います。



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