処分請訓規程 ~ 外患誘致の告発を受理したら自動的に指揮権が発動される

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昭和51年07月21日 参議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会
[214]
日本共産党 橋本敦
法務大臣に最後に伺いますが、造船疑獄のような指揮権発動は絶対にやらないということはあなたの所信として間違いございませんか。

[215]
法務大臣 稻葉修
間違いございません。

[216]
日本共産党 橋本敦
重ねて聞きますが、具体的に処分請訓を検事総長があなたに申し上げるということではなくて、庁内には報告規程というのがある。国会議員の逮捕は処分請訓に該当するのではなくて、報告規程に該当すると聞いております。

そして、事実上検事総長から国会議員の逮捕ということを報告という形であなたに申し上げた場合に、事実上、その逮捕はしばらく待てとか、それはどうだとかいう御意見をあなたが述べられれば事実上の指揮権発動になる。そのようなことも一切しないという意味において、指揮権発動は絶対しないというように所信を表明されたものと承ってよろしゅうございますか。

[217]
法務大臣 稻葉修
処分請訓規程は、法務大臣が昭和23年4月1日に定めた訓令で、その後数次の改正を経ておりますが、その内容とするところは、国の存立を危うくするような犯罪、外国の元首に対する犯罪等きわめて重大な罪にかかわる犯罪について検察が起訴または不起訴の処分を行う前に、検事総長より法務大臣の指揮を受けるべきことを定めております。

したがって、国会議員の逮捕については、一般にはこの処分請訓規程により法務大臣に請訓して指揮を受けることとはされておりません。

[218]
日本共産党 橋本敦
それは私が言ったとおり。

[219]
法務大臣 稻葉修
もっとも、事柄の重大性にかんがみ、検察の行うべき措置について、検察の方からその発意により法務大臣に請訓をして指揮を受けることはあり得ます。

[220]
日本共産党 橋本敦
その場合にも……

[221]
法務大臣 稻葉修
ええ、そういう場合にも、一般的にお答えするとすれば、法務大臣がその指揮に対し、かれこれ指図をするようなことはいたさない所存でございます。

[222]
日本共産党 橋本敦
わかりました。

終わります。





昭和53年05月10日 衆議院 ロッキード問題に関する調査特別委員会
[187]
新自由クラブ 加地和
最後に一点、ロッキード事件等にも関連することでお尋ねしたいのでございますが、法務大臣のいわゆる指揮権発動というものが大きな問題になったことがございますし、また現在の検察庁法を見ましても、具体的な事件については検事総長を指揮できる、検察事務一般については一般的に指揮できるという規定になっておるのでございますが、いわゆるロッキード事件の起訴、これはやはり法務大臣、検事総長あたりすべて御相談になった上での起訴になるのでしょうか。

また、こういう具体的な指揮がなされる事件、そうでない事件、何か内規的に区別があるんでしょうか。

[188]
政府委員(法務省刑事局長) 伊藤榮樹
まずロッキード事件について申し上げますと、法務大臣は検察当局を全面的に信頼しておられましたし、個々の事件の処理、逮捕その他につきまして、法務大臣の御指示を仰いだことはございません。

それから一般的な問題でございますが、法務大臣が具体的事件について検事総長を指揮される事件は事件の種類によって定められておりまして、処分請訓規程という外部には出しておりませんがそういう訓令がございまして、それに基づいて指揮をしておられます。

たとえば一例を挙げますと、外国の国家元首あるいは外交官に対する罪等につきましては、検事総長はその処分について法務大臣の指揮を仰ぐ、こういうこととされております。これは申し上げるまでもなく、外交的な関係等もありますからそういうことになっておるわけでございます。

これらについて私の知る限りと申しますか、私は戦後のことしか知りませんが、戦後それらの処分請訓規程に基づく処分の請訓について、請訓と異なる御指揮をなさったことは一度もございません。





昭和57年12月16日 衆議院 予算委員会
[205]
日本共産党 三浦久
次に、法務大臣にお尋ねいたしたいと思います。

法務大臣はおととい予算委員会で、今後ロッキード事件についての指揮権の発動は軽々にすべきではない。しかし、絶対にしないというのは制度の否定になる、こういうように述べて、そしてロッキード事件についての指揮権の発動の可能性というものを残す、そういう発言をされておられるわけでありますけれども、それでは、そういう指揮権の発動をする場合に、法務省内に一定のルールが制定されています。これは法務大臣自身も一定の基準があるというようなことでちょっと言われておりますけれども、そうすると、この法務省に定められているルール、これはもう数十年間にわたって行われているルールですが、これはお守りになるのですか、守らないのですか。

[206]
法務大臣 秦野章
ルールというものは、まず守るべきものでございます。

[207]
日本共産党 三浦久
べきであるなんと言うけれども、べきでありながらそれに違反してやる、そういう人だから、あなたはね。だから私は、べきであるという発言には納得しないけれども、まあ守るということを宣明したというふうに解釈をしましょう。

それでは法務省、刑事局長ちょっとお願いいたしますが、その指揮権の発動のルールですね、もうかなり定着しているものだと思いますが、それはどういうような内容でしょうか。

[208]
政府委員(法務省刑事局長) 前田宏
お尋ねの指揮権の問題でございますが、俗に指揮権の発動というふうに言われますと、何か強権力を発動するような印象を与える言葉のようにも言われるわけでございますが、むしろ事務的に言えば、指揮権の行使とでも言った方がいいんじゃないかというふうに思うわけでございます。

そこで、従来どのような扱いになっているかということの御説明でございますけれども、私どもといたしましては、たとえばわが国の存立にかかわるような犯罪であるとか、あるいはわが国の経済秩序に重大な影響を及ぼす犯罪であるとか、何種類かの一定の犯罪につきまして、その事件を処理する場合には大臣の指揮を受けるべき旨を一般的に定めておるわけでございます。したがいまして、そういう事件に当たります場合には、当然のことながらいわゆる請訓がなされて、これに対して指揮をする。

この指揮の場合には、当然そのとおりで差し支えないという指揮もあるわけでございまして、何か指揮権発動といいますと、先ほど申しましたように、検察当局の意向と反するようなことをする場合だけが指揮権発動みたいに言われるのも、ちょっと誤解ではないかと思いますけれども、それはそれといたしまして、そのほかにどういう場合があるかということになりますと、いま申し上げましたように、ごく限られた数の犯罪でございますけれども、それが一定のものが決められている。

そのほかには、いわばケース・バイ・ケースと申しましょうか、当然のことながら法務大臣は法務行政の責任者であられるわけでございますから、その法務大臣が当然知っているのが相当だという事案につきましては、検察当局から随時連絡といいますか、報告があるわけでございまして、その場合に、その事案によっては大臣に指揮を仰ぐということもあるわけでございまして、それにつきましては、特段の基準といいますか、明確なものはないわけでございますが、先ほど来お話しのように、まあ良識によるといいますか、慣行によるといいますか、そういうことによって円満な、円滑な運用がなされているというのが実情でございます。

[209]
日本共産党 三浦久
処分請訓規程というのがありますでしょう。その処分請訓規程に基づいてそういう請訓というのが、いわゆる指揮を仰ぐための請訓というのが行われるのではありませんか。

[210]
政府委員(法務省刑事局長) 前田宏
先ほどのお答えの中で、一定の犯罪を決めて、それについては処分する場合には指揮を仰ぐようにというふうに決めているというのは、そのことでございます。

[211]
日本共産党 三浦久
そうすると、その処分請訓規程ですね、その中に収賄罪は入るのでしょうか。

[212]
政府委員(法務省刑事局長) 前田宏
御指摘の規程と申しますのは、部内の内規みたいなものでございますのでそういうふうに御理解をいただきたいわけでございますし、どういうものがどういう扱いになっているかということは、それ自体問題にもならぬ面もあるかと思いますけれども、やはり部内の扱いを公表するということは適当でない面もありますので、どういうものがある、どういうものが当たる、どういうものが当たらないということを個々に申し上げるのは差し控えさせていただきたいわけでございます。

まあ当面の問題についてのお尋ねでございますから、結論から申しますと、先ほど申し上げましたように、国の安危にかかわるといいますか存立にかかわるとか、あるいは経済秩序に重大な影響を及ぼすとか、そういう種類の犯罪に限られているというふうに御理解いただきたいわけでございます。





平成01年03月28日 参議院 法務委員会
[153]
日本共産党 橋本敦
刑事局長、万が一政治家に対して検察庁が強制捜査に踏み切らざるを得ない場合が起こった場合は、逮捕の許諾請求をしなくてはならぬことになりますが、これは請訓として、その場合は検事総長からまず法務大臣に請訓を受けるということに手続はなるわけですか。

[154]
政府委員(法務省刑事局長) 根來泰周
私どもで請訓という言葉を使うときには、内部規定といたしまして処分請訓規程というのがございます。その処分請訓規程につきましては、例えば、こういう事件については起訴するときあるいは不起訴にするときは順次法務大臣の指揮を仰げ、こういう規定がございます。

そういうものを前提にしますと、そういう場合は請訓には当たらないということでございます。





平成04年02月03日 衆議院 予算委員会
[123]
日本社会党(社会民主党) 山花貞夫
昭和23年法務省検察局秘第36号訓令、処分請訓規程というものがあるとされています。一般的な指揮権に関連してということだけではなく、常時いろいろ相談事があるのだということについて、元検事総長であった伊藤栄樹さんが検察庁法解説の中で言っているわけですが、「検事総長は、国会議員を逮捕する場合(ことに、国会の会期中)その他将来政治問題化することが予想されるような事件については、国会における検察権の代表者である法務大臣に対し、折りにふれて積極的に報告を行うものと考える」、その際「とくに法務大臣の指揮を仰ぐこともある」ということで、日常的にこうした政治問題化する場合、代議士がかかわる場合には法務大臣と検察庁が相談するとなっている。

処分請訓規程について、これを提出していただきたいと思いますけれども、この点いかがでしょうか。これ、提出していただかないと、今のお答えのままではこれは納得することができません。

[124]
政府委員(法務省刑事局長) 濱邦久
お答えいたします。

今委員御指摘の点につきましてお答え申し上げますが、昭和23年に大臣訓令として定めました処分請訓規程というのがございます。これは私どもの内部規則でございまして、特に検察運営にかかわる事柄を定めているものでございまして、これを国会に提出するということはいたしかねるわけでございます。

ただ、その内容について先ほど委員から若干のお尋ねがございましたので申し上げますけれども、これにつきましては、例えば内乱の罪のような国家の存立を危うくするような罪につきまして起訴、不起訴の処分をする場合に、その処分の適正を期するために法務大臣の指揮を仰ぐということが定められているものでございます。





平成04年02月04日 衆議院 予算委員会
[085]
日本社会党(社会民主党) 加藤万吉
ただいまの我が党の山花書記長に対する法務大臣の答弁ですが、処分請訓規程については、法務大臣はあらかじめ、特に重要な事件については捜査の着手または起訴、不起訴の処分について法務大臣の指揮を受けるべき旨を一般的に定めてあるものでありまして、これに当たる場合には、具体的事件について検事総長から法務大臣に対して請訓が行われる旨規定をされているわけであります。特に国会議員を逮捕する場合は、将来の政治問題化ということを踏まえますと、極めて重要な請訓事項と言わなければならないわけであります。



[091]
日本社会党(社会民主党) 加藤万吉
ですから、私は、やはり山花質問にありましたように、そういう状況をつくり上げるであろう処分請訓規程というものをどうしても提出してもらわなければ、国会における我々の、いわゆる行政機関として時の政府が問題を隠ぺいしなければならないことを、我々は国民の前で本来あるべき姿というものを追及する、その接点が見出すことできないじゃないですか。私は、この処分請訓規程を山花質問に引き続いて本委員会に提出していただくことを強く求めます。

[092]
政府委員(法務省刑事局長) 濱邦久
お答えいたします。

まず初めに、先ほど委員がお触れになりました上申書云々の問題でございますが、上申書の提出があったという前提で御質問になっておられるようでございますが、上申書の提出があったかどうかということも含めまして、捜査の秘密に属することでございますので、御答弁を差し控えているわけでございます。

それから、処分請訓規程についてのお尋ねでございますが、昨日、山花委員の御質問にもお答えしたわけでございますが、正確に御理解いただきますために、もう少し詳しくお答えを申し上げたいと思います。

処分請訓規程は、内乱あるいは外患というような罪につきまして、要するに、我が国の存立にかかわる犯罪あるいは経済秩序に重大な影響を及ぼす犯罪というような一定の重要な犯罪に限りまして、その事件処理について法務大臣の指揮を受けるべき旨を定めておるものでございます。したがいまして、贈収賄、贈賄あるいは収賄というような罪を初めといたしまして、一般的な刑法犯はその対象となっておらないわけでございます。

また、請訓を要する事件につきましては、罪の種類によって特定しているわけでございまして、例えば、犯罪を犯した者が国会議員であるかどうかというようなことで区別をしているわけではございません。したがって、一般論として申し上げますと、国会議員が逮捕されるかどうかというような、国会議員が例えば収賄罪について逮捕されるかどうかというようなことにつきまして請訓を必要とするというふうに規定しているものでは全くございません。関係ないものでございます。そこを御理解いただきたいわけでございます。





平成04年03月17日 参議院 予算委員会
[056]
日本社会党(社会民主党) 佐藤三吾
そこで、法務省に要求したいんですが、いずれにせよ検察が政権党の判断で手かげんするということがあってはならないわけでございますから、そのための担保が必要である、こう私は思うんで、法務大臣、法務大臣の検察に対する指揮権発動の仕組みを定めた刑事関係報告規程、処分請訓規程、この二つの公開を大臣に要求したいと思いますが、いかがでしょう。

[057]
法務大臣 田原隆
処分請訓規程ですか、これらは非公開、秘密ということになっておりまして、ただし汚職事件に関するものは秘密の取り扱いをしない、その他は秘密の取り扱いということになっております。

それから私自身、検察に不当な制圧を加えて捜査をゆがめるようなことはいたさない覚悟でおります。これは検察を信じ、公正公平、厳正中立にやっておる、過去にも現在にも未来にわたってもそうであると信じております。

[058]
日本社会党(社会民主党) 佐藤三吾
大臣、汚職に限っては公開するんですね。

[059]
法務大臣 田原隆
先ほど言葉が足りませんでしたが、私も専門家でありませんので、細かい法規の規定については政府委員に答えさせます。

[060]
政府委員(法務省刑事局長) 濱邦久
お答えいたします。

今、委員お尋ねの処分請訓規程あるいは刑事関係報告規程についてでございますけれども、このいずれも私ども法務省の内部規程でございまして、検察権行使の具体的内容にかかわるものでございますので、公にすることはひとつ御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。

ただ、正確に御理解をいただきたいと思いますので内容を申し上げるわけでございますけれども、まず処分請訓規程と申しますのは、例えば外患罪とか内乱罪というような国の安危にかかわる犯罪等につきまして、これは犯罪の罪種を限定列挙しているわけでございますが、そういうものにつきまして検察官が処分をする際に検事長、検事総長を通じて法務大臣の処分の指揮を受けるという仕組みになっているわけでございます。ただ、今申しましたように、挙げてあります罪種は内乱罪とか外患罪とか特殊な罪種だけを挙げているわけでございます。今仰せになりました贈収賄罪というような罪はもちろんこの中には入っておりませんし、したがいまして処分請訓規程の適用のらち外にあるわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。

この点につきましてはここで申し上げるのはいかがかと思いますが、衆議院の予算委員会におきましても委員の方からお尋ねがございまして、同様の御説明を申し上げて御理解を賜ったというふうに私どもは承知しているわけでございます。

それから刑事関係報告規程は、これは今申しました処分請訓云々とは全く関係ございませんで、各種の事件がありますと、これももちろん特殊の罪名を挙げておるわけでございますけれども、事件の受理、処理あるいは処分の際に報告をするということでございますので、これは事後に報告される場合が多いと思いますが、そういう内容のものでございます。

いずれにいたしましても、今申し上げましたように、具体的な検察権の行使の内容にかかわるものでございますので、公にすることはひとつ御勘弁をいただきたいというふうに思いますので御理解を賜りたいと思います。





平成04年12月08日 衆議院 法務委員会
[264]
日本共産党 木島日出夫
最後に、法務大臣に一つだけ聞いて、質問時間を切ってしまったから終わります。

法務大臣は、昭和23年法務庁検務局秘第36号訓令という存在を知っておりますか。

[265]
法務大臣 田原隆
知りません。

[266]
日本共産党 木島日出夫
じゃ、刑事局長はその存在を知っていますか。

[267]
政府委員(法務省刑事局長) 濱邦久
処分請訓規程のことでございましょうか。――もちろん知っております。

[268]
日本共産党 木島日出夫
最後に、今現に有効に生きているんですか。

[269]
政府委員(法務省刑事局長) 濱邦久
もちろん生きております。

[270]
日本共産党 木島日出夫
終わります。





平成21年03月17日 衆議院 法務委員会
[048]
民主党(民進党) 古本伸一郎
それでは、先ほどの刑事局長の話に少し戻りたいんですが、仮に、検事総長を通じれば、検察一体の原則に立てば、全国の地方検察庁、区検察庁を含めた、約1700名になんなんとする検事全体を法務大臣は指揮監督できる、これで正しいでしょうか。

[049]
政府参考人(法務省刑事局長) 大野恒太郎
検事総長は検察のトップとして非常に重い職責を担っているわけであります。

法務大臣の御方針と検察の方針が食い違う場合に問題が生じ得るかというふうに思うわけでありますけれども、そうした場合にも、実際のところは、十分に法務大臣と検事総長との間で話し合いが行われて、そこで納得の得られる妥当な結論が得られることが期待されているというように考えております。

[050]
民主党(民進党) 古本伸一郎
そういたしますと、お互い、片や政治家、党人ですね、そちらは不偏不党で検察業務を遂行する。他方で法務大臣は、検察が万が一独善に走らないように監視する役割もある。したがって、ある意味でのお互いの利害は、検察行政の公平な、そして正当なる遂行という意味においては互いに一致しているんですけれども、片や政治家、片や行政という中で、万が一これが反することがあった場合、互いの意見が分かれた場合には、検事総長は、法務大臣の指揮監督に背き、別途、みずからの次長検事以下に対して指揮命令する権能は有しておりますか。

[051]
政府参考人(法務省刑事局長) 大野恒太郎
先ほども申し上げましたように、実際の運用としては、法務大臣と検事総長との間の意見交換等によりまして適正妥当な結論が得られるだろうというふうに考えております。ただ、それでもどうしても結論が一致しない、いわば極限的、例外的な場合にどうなるか、こういうお尋ねかというふうに存じます。

そこで、申し上げますと、検事総長は、その際に、法務大臣の指揮に従うという選択肢があろうかというふうに思います。これは、先ほど委員が指摘されました造船疑獄事件のときの処理がその形で行われたというふうに理解しております。

一方、法務大臣の指揮がやはりどうしても納得ができないという場合に、その指揮に従わない場合には、これは実は国家公務員法の、上司の命令に……

(古本委員「98条ですか」と呼ぶ)

そうですね、98条、上司の職務上の命令に忠実に従わなければいけない、これに反することになるわけでありまして、その場合には懲戒処分の対象になり得るというふうに考えております。

[052]
民主党(民進党) 古本伸一郎
そうしますと、議論を整理しますと、法務大臣と、検事総長を頂点とする検察一体である検察機能が意見に相違があった場合には、法務大臣の判断を尊重する、これでよろしいですか。

[053]
政府参考人(法務省刑事局長) 大野恒太郎
先ほども申し上げましたように、極めて極限的な場合でございます。

私が先ほどお答えいたしましたのは、あくまでも理論上の枠組みについて申し上げたものでございまして、実際に運用上どのような対処がなされるのか、今申し上げた理論上の枠組みも踏まえて適切に判断されるだろうというふうに考えております。

先ほど申し上げたのは、あくまでも理論上の話であるということを申し上げたいと思います。

[054]
民主党(民進党) 古本伸一郎
恐らく、日常の会話で、そもそも、大臣、検事総長と例えば一日一回ぐらい会話したりとか、そういう感じなんですか。

何かいろいろ読んでいますと、文献によれば、かつて法務大臣が検事総長を大臣室に呼んだだけで事件になったという話もあるそうなんですが、何か構造的に、そもそも検事総長室と法務大臣の部屋というのは行き来できるようになっているんですか。常日ごろコミュニケーションというのはやはりとっておかないと、刑事局長がおっしゃるような不幸な事態を招く可能性がありますから、念のため。

[055]
法務大臣 森英介
日常的に検事総長と会うということはございません。ただ、いろいろな式典ですとか、そういった法務省の幹部ががん首そろえるようなときにはお会いしますけれども、特に日々、情報交換するということはありません。

[056]
民主党(民進党) 古本伸一郎
そうしますと、そういった極限の状態を招かないために日常的にどれだけ上に情報を上げるか、つまり、大臣に上げるかということに尽きるわけであります。

例えば、読売新聞に連載されました「赤レンガの実像」の記述によりますと、いつどういう事件を報告するかを定めた規定はないとされている。大臣の関心にも配慮しつつ、あうんの呼吸で耳に入れるタイミングをはかる。

他方、事柄の基準、何を報告し、何は報告しないか。何せ送致案件は年間240万件ありますから、これはやはりある程度の基準がないと、恐らく報告に参る刑事局長も大変だと思うんですね。これは何か基準はあるんでしょうか。

[057]
政府参考人(法務省刑事局長) 大野恒太郎
検察庁から法務大臣に対する報告といいますのは、法務大臣が法務行政の最高責任者であり、また、国会の場で検察の活動について説明すべき立場にあるから行われるものであります。その場合には、当然のことながら、検察の案件につきまして、法務大臣を補佐する立場にある刑事局を通じてそうした報告が行われるということになるわけであります。

そして、どういう場合に報告が行われるのかということでございますけれども、処分をする前に大臣の指揮を受けなければいけないと定められている事件もございます。これは処分請訓規程という法務省の訓令がありまして、外患罪、内乱罪等、かなり例外的な罪名でありますけれども、そうしたいわば国家の安危にかかわるような事件の処分に際しましては、あらかじめ検事総長が法務大臣の指揮を受けるべきものであるとされているわけでございます。

それ以外の点につきましては、刑事関係報告規程等によりまして、事件の重要性、特異性あるいは国会等における説明の必要性等の事情を踏まえて報告がなされる運用とされておりまして、大臣がそのお立場上、職責上、当然承知しておくべき事柄につきましては、検察当局から法務当局、刑事局を通じまして適時適切に法務大臣に対して報告をしているということでございます。





平成21年07月07日 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会
[060]
民主党(民進党) 階猛
それから、我々民主党では、この西松献金事件を発端として、政治資金問題に関する第三者委員会というのを立ち上げて、有識者の方にいろいろ検討をしていただいたわけです。

その中でわかってきたこととして、政治資金規正法違反事件のような政治的影響の大きい重大事件については、捜査の着手あるいは起訴といった処分について、検事総長から法務大臣に対して請訓というものが行われて、これにこたえて法務大臣が指揮をすることになっているというふうに報告書には書かれておりました。

今、第三者委員会の報告の中で法務大臣の指揮権発動をもっと積極的にやるべきだという部分がけしからぬというような御指摘もあるようなんですけれども、今の話が事実だとすれば、これはもう請訓そして指揮という形で、ごく普通のこととして法務大臣が指揮権を発動しているんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、今の請訓と指揮の関係というのは、実際に普通に行われていることという理解でよろしいでしょうか。

[061]
政府参考人(法務省刑事局長) 大野恒太郎
検事総長が法務大臣の指揮を受けるべき事件につきましては、法務大臣訓令に処分請訓規程というのがございまして、ここで定められているわけでございます。そして、あらかじめ検事総長が法務大臣の指揮を受けるべき事件としては、内乱罪、外患罪、国交に関する罪等がこれに当たるとされているところでございます。今お尋ねの政治資金規正法違反等は、この請訓の対象にならないわけでございます。

一方で、法務大臣は、法務行政の最高責任者でありますし、また、国会の場で検察の活動について説明すべき立場にあるわけでございます。したがいまして、刑事関係報告規程等に基づきまして事件の報告を受けているほか、職責上当然承知しておくべき事柄については、検察当局から法務当局を通じまして適時適切に法務大臣に報告をしているわけであります。

先ほども申し上げましたけれども、お尋ねは政治資金規正法違反のように政治的影響の大きな重大事件ということでございましたけれども、捜査の着手あるいは起訴の処分について、事前に検事総長から法務大臣に対して請訓が行われ、これに基づいて法務大臣が指揮をするというような規定はありませんし、そのような運用は行われていないわけでございます。





平成22年10月22日 衆議院 法務委員会
[012]
民主党(民進党) 辻惠
平成17年8月15日法務省刑総訓第1045号ということで、処分請訓規程というものがあるようでありまして、この第1条によれば、起訴または不起訴の処分を行う場合に、ある特定の罪については検事長の指揮を受けなければならないというふうにされていて、検事長にその指揮を請うた場合には、検事長は検事総長、法務大臣にその旨を報告しなければならない。それで、直接検事総長の指揮を受けることもできるというような規程になっておりますけれども、本件は、この処分請訓規程の第1条に準ずるような扱いで決裁の処理がなされていったのかどうか、この点はいかがですか。

[013]
政府参考人(法務省刑事局長) 西川克行
処分請訓規程に記載されている罪名のものについては必ずその旨の決裁を受けなければならない、こういうことになっております。

ただ、そのほかの事件につきましても、その事案の軽重に応じまして、例えば地検の内部の決裁で終了する場合もございますし、それから高検、それから事案によっては最高検まで上がって、最終的に検事総長の了解まで求める、こういう事件もございます。そういうことでございます。

(辻委員「いや、本件はどうなのか」と呼ぶ)

本件につきましては、最終的に、逮捕の段階それから処分の段階、いずれにつきましても、最高検までの了解を得ております。





平成22年11月18日 参議院 予算委員会
[520]
自由民主党 宮沢洋一
指揮権を発揮しなければいけない、そういう事案が法務省の中で決まっていますよね。指揮権を発揮しなければいけない、あなたが指揮をしなければいけないということが決まっているのがこのまさに法務大臣訓令、処分請訓規程というものがあります。この内容を少し教えてください。

[521]
法務大臣 柳田稔
今御指摘の処分請訓規程は法務大臣訓令でございまして、検察当局が同規程に規定されている犯罪に関する事件の起訴、不起訴の処分を行う場合には、あらかじめ法務大臣の指揮を受けなければならないとされております。

また、この処分請訓規程に規定されている以外の犯罪に関する事件の処分についても、検察当局において事件の性質等にかんがみ法務大臣の指揮を仰ぐことが相当と思料される場合には、検事総長から法務大臣に請訓し、法務大臣の指揮を受けることができるということでございます。

[522]
自由民主党 宮沢洋一
今、検事総長が請訓しというふうにおっしゃいましたけれども、検事総長の請訓がなければ指揮権というのは発揮できないんですか。

[523]
法務大臣 柳田稔
今申し上げましたのは処分請訓規程と、それと、先ほど申し上げましたように、指揮権というものは有していると、そういうふうに考えております。

[524]
自由民主党 宮沢洋一
処分請訓規程では請訓を受けてやると、こう書いてあります。しかし、その後の答弁で、処分請訓規程以外でも指揮権はもちろん発揮する場合があるとおっしゃった。そして、検事総長の請訓を受けて行うというふうに聞こえたものですから、その他の場合は請訓を受けなくてもできるんですね。

[525]
法務大臣 柳田稔
じゃ、もう一回丁寧に答弁をさせていただきます。

検察当局による請訓がなくとも、刑事局において事件の性質や重大性などを考慮し適宜各種事件に関し法務大臣に報告しているほか、法務大臣は刑事局を介し必要な報告を求めることができるものであり、その際に指揮権を行使することは可能である。

もっとも、私は検察権の行使に不当な制約を加えるようなことはいたさないと、そういうふうに考えております。

[526]
自由民主党 宮沢洋一
当然不当な制約を加えようと思われていなくて、当然正当な制約を加えられる場合の話をしております。

大臣訓令というのは、法律的にはこれはどういうものですか。

[527]
法務大臣 柳田稔
処分請訓規程の対象となっている犯罪は、一つ、刑法第2編第2章から……(発言する者あり)

訓令、処分訓令の具体的な対象の……(発言する者あり)

じゃ、もう一回、済みません、お願いします、質問を。

[528]
自由民主党 宮沢洋一
大臣訓令とは法律的にはどういう位置付けのものですかと聞いています。

[529]
法務大臣 柳田稔
失礼しました。

訓令の根拠は国家行政組織法14条2項であり、上級官庁が下級官庁の権限行使につき、これを指揮するために発する命令である。下級官庁としてはこれに従わなければならないが、法規ではないから、下級官庁がこれに違反する行為をしても、その効果自体が違法、無効になるものではないということでございます。失礼しました。

[530]
自由民主党 宮沢洋一
それでは、処分請訓規程の少し具体的中身。先ほどちょっと先走って答えられたようですけれども、どういう場合に法務大臣は指揮権を発揮するんですか。

[531]
法務大臣 柳田稔
済みませんでした、先の話、質問を先にしまして。

処分請訓規程の対象となっている犯罪は、

1つ、刑法第2編第2章から第4章に定められている、内乱に関する罪、外患に関する罪、国交に関する罪。

2つ目が、外国の君主若しくは大統領又は外国の使節に対して犯した犯罪。

3つ目が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する規定の実施に伴う刑事特別法第6条及び第7条の罪。

4つ目が、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の罪。

以上でございます。

[532]
自由民主党 宮沢洋一
まさに、外交とか国家の主権とか国家の安全保障に関する罪についてはあなたが指揮をしなければいけない、こう書いてあるわけですね。



[601]
自由民主党 宮沢洋一
もう一度総理に聞きますけれども、処分請訓規程というのは分かられましたね、御理解されましたですね。こういうものがあって、指揮権を発動することを前提にした制度があるということ、これはお分かりになったと思うんです。

そして、その中にまさに規定されているのは、外患、まさにスパイ罪とか内乱とか外国に通謀するとか、そういうような、国家の安全保障また日米安保条約、そして外交官に対する罪といったようなものが規定されているわけであります。

まさに日本の外交、安全保障、主権といったものに関する罪は政治家が、法務大臣がしっかりと判断、捜査の指揮を執って判断しろと、こういうことが書かれているのが処分請訓規程であります。残念ながら、今回の事件はこの処分請訓規程の対象ではありません。

しかし、例えば処分請訓規程の対象となる何らかのことで、東京にある中国の大使館の参事官が何らかの犯罪、何でもいいんです、に巻き込まれて被害者になったときには、これは法務大臣が捜査の指揮執って起訴、不起訴の処分を決めるまさに責任者になる。一方で、今回の話は、だれも政治家が判断しないままいってしまった。

処分請訓規程を変えるなり、少なくともそういうものについては政治家が判断するというしっかりとしたルールを作るべきではありませんか。どう思われますか。

[602]
内閣総理大臣 菅直人
率直に申し上げて、処分請訓規程というこの名称を含めて、今日この場で初めて伺いました。その議論を聞いている中で申し上げますと、やはり検察の独立性というのは極めて重要でありますので、今、この規程を含めて、どうこうするということは極めて慎重であるべきだと、こう考えております。



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